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白銀の英雄譚(仮)  作者: もぶいち
93/119

王立学園 -波乱の遠足 19-

ネーミングセンス欲しいです

「カッコいい名前がいいだろ!」


「まぁまぁ、…それじゃ各自で名前を考えて発表しようか?」


アックスの提案にバリー達は子狐に付ける名前を考え始める。そして、互いに名前を出し合いしっくり来る名前を探す。クラウンの子狐に名前を付けるというイベントは、夜遅くまで時間がかかるのであった。


翌朝、何かが顔を舐める様な感覚を受けクラウンは目を覚ます。


「ん…。おはよう『ギンチヨ』」


『ギンチヨ』とはクラウンが助けた子狐の名前だ。昨晩バリー達--主にミリィとマユリ--が話し合って決めたマユリのゴリ押しの名前である。『ミルク』と『ギンチヨ』の名付けの争いに終止符を打ったのは子狐で、名前を挙げたとき可愛く鳴いた為渋々マユリの名前にミリィは賛成したのであった。クラウン的にも呼びやすかった為異論は無かったし、何より『ギンチヨ』が気に入ったみたいで尻尾をブンブンと振っていた為マユリの完全勝利となった。


「ふぁ……。んーっ。……今日には捜索隊が来るかなぁ」


クラウンのぼやきにギンチヨが尻尾を振り答えてくれる。クラウンはギンチヨの頭を撫でながら、焚き火に火を付け暖をとる。パチパチと音を立て、その音に反応するようにバリーがこちらへ向かって来る。


「うーす、よく眠れたか?」


「おはようバリー。おかげさまでよく寝れたよ」


バリーはクラウンの対面に腰を下ろし、果物を手に取り食べる。その匂いにつられてギンチヨがバリーの元へと寄ってくる。バリーはギンチヨの頭を撫でながら、果物を一口食べさせクラウンと話をする。


「あー……文句を言う立場ではないが、そろそろ味の濃い物を食べてぇな」


果物を見ながらぼやくバリーにクラウンは笑みを浮かべる。


「そうだね。まともなご飯食べてないし、そろそろ恋しいよね」


「カレーが食べたい。特に鉈婆のカレーだな」


食事について話が盛り上がっているとアックス達も次々と起き上がってくる。そのまま、焚き火の周りに腰を下ろし今何が1番食べたいかという話題に花を咲かせるのであった。



「さて、今日こそは迎えが来ることを信じて待つとするか」


「あたしお風呂入りたーい!」


「私もー」


「迎えが来たらわっちの屋敷に来てくんなまし。助けてくれたお礼もしたいでありんすから」


「それじゃ、昨日と同じ場所に向かうか!」


バリーが声をかけると各々旅立ちの準備を整える。そのまま森の出口へと向かい茂みに身を隠す。今回は飛竜(ワイバーン)の影は無かった。


太陽が頂点へと辿り着く頃にマユリが何かに反応する。


「ッ!!『シキガミ』の反応が近いでありんす!」


マユリの言葉にクラウン達は顔を輝かす。マユリが空を見上げると天上から垂れた蜘蛛の糸の様に『シキガミ』が降りてくる。そして、クラウン達の目にも馬に乗った集団がこちらへ向かってくるのが見えたのだった。



「マユリ様!遅くなり申し訳ございません!」


「よい、ヘイゾウ。急ぎここに向かったのであろう…。謝る必要などない」


マユリの口調の変化にクラウン達は顔を合わせるが、何事も無かったように話は続く。


「それよりもマユリ様、お怪我はございませぬか?」


「ふ、怪我などしておらぬよ。この者たちのおかげで今まで無傷で過ごせたのだから」


マユリがクラウン達を手招きすると、ヘイゾウと呼ばれた男の前へと連れて行く。


「ヘイゾウ。帰りはこの者たちも連れていくが問題は無いか?」


「…馬車に入りきらないかも知れませぬ。何人かは馬に乗ることになると思われますが…」


マユリがクラウン達に目配せをする。クラウン以外が頷くとヘイゾウへと向き直る。


「大丈夫なようだ。…妾の命の恩人たちである。丁重に持て成せ」


「はッ!…ではマユリ様、先に馬車へと…。カンベエ!マユリ様を馬車へ!」


ヘイゾウはカンベエと呼ばれた男を呼びマユリを馬車へ連れて行くように命じる。マユリも慣れたように馬車へと向かっていった。

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