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白銀の英雄譚(仮)  作者: もぶいち
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王立学園 -波乱の遠足 13-

「時間はかかりんすが、『シキガミ』を近くの街に送りんしょうか?」


マユリの言葉にクラウン達は首をかしげる。


「…『シキガミ』?なぁにそれ?」


「わっちの一族は『シキガミ』…『召喚術』を得意としてるでありんす。わっちはまだまだ勉強中の身でありんすぇ、立派なのは出来んせんが…」


「…連絡が取れるってことかしら?」


「そうでありんす。往復にどれほど時間がかかるかはわかりんせんが…」


マユリの言葉にクラウン達は一筋の光が見えた。マユリの案に頷くと早速行動を開始する。そこからのクラウン達は素早かった。焚き火を消し、『警報(アラーム)』を解除し水分を取る。そのまま、バリーを先頭、最後尾にクラウンを置き森の出口へと向かうのであった。




「ところでマユリはどうしてこの森に来たの?」


道中、ミリィがマユリに尋ねる。クラウン達みたいに強制的に連れてこられたわけではないので、何か理由があるのかと思ったからだ。ミリィの質問に少し表情を暗くしながらマユリが答える。


「…護衛とともに首都へと馬車で移動していたでありんすが、空から『飛竜(ワイバーン)』の群れに襲われ命からがら森へと逃げたでありんす」


「……そうなんだ。その護衛をしてた人たちは?」


「……さぁ?わかりんせんが、あの群れに襲われたのだから希望は薄いと思いんす」


マユリが目を細めながら話を終えるミリィもこれ以上は聞くことはなく、重い雰囲気のまま一行は歩を進める。そして、遂に森を抜ける事が出来た。


「うおー!!やっと森から出れたぜー!」


「意外とすぐでしたわね!けど……」


「うん……、見渡す限り草原…だね」


クラウン達が森から出ると周囲にはひたすらに草原が広がっていた。


「このまま川を辿れば村か小さな町には着くとは思いんすが…。どうしんしょうかえ?」


マユリがクラウンへと尋ねる。このパーティのリーダーはクラウンだとアックスに言われたからだ。


「…うーん、マユリの話では『飛竜(ワイバーン)』が出るみたいだしこのまま川を辿るのはやめておこう。マユリの『シキガミ』に頼ろうと思う」


マユリはクラウンの判断力に少しだけ驚く。クラウンの事を弱気な男の子だと思っていたからである。


「…なら『シキガミ』を使いんす。その間、わっちを守ってくんなまし」


マユリの言葉にクラウン達は頷き周囲の警戒に当たる。少し時間が経ち、マユリがポソリと言葉を発する。


「……わっちの魔力が少し足りんせん。誰か魔力を分けてくんなまし」


マユリの言葉にクラウン達は顔を見合わせる。しかし、アックスがすぐさまマユリの要望に応えるように指示する。


「…魔力ならクラウンだね。お願いできるかな?」


「わかった。マユリ、どうすればいい?」


クラウンは頷くとすぐにマユリの側へ向かう。クラウンが来るとは思わなかったマユリが少しだけ動揺する。


「ク、クラウンがでありんすか?…てっきりヘレナかミリィかと…」


「魔力量が1番多いのはクラウンだからね。マユリが嫌なら変えるけど?」


「い、嫌なんかじゃありんせん!…ただ、魔力を分ける行為が…その…」


最後の方は小声になり、なんと言っているか聞こえなかったアックスが首をかしげる。


「嫌じゃないならクラウンでいいよね?」


「…ぼくじゃダメなのかな?」


「ダ、ダメってわけじゃありんせん!!」


大きな声にクラウン達は身体をビクつかせる。そして、意を決したようにマユリが口を開く。


「…その、魔力を供給する手段でありんすが…。い、1番手っ取り早いのがキ、キスでありんす!!」


マユリの言葉にクラウン達は目を丸くする。そして、少し間を置き驚愕する。


「「「「えええええええええ!?」」」」

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