王立学園 -波乱の遠足 10-
ケモナー出したい
「…ここは?あなたたちは…?」
か細い声でヘレーナに女性が尋ねる。女性の目をしっかりと見つめ、微笑みながら質問に答える。
「…ここは私たちにはわかりませんが、私たちはあなたが大鬼に襲われていたみたいなので助けたんですよ」
大鬼という言葉にビクリと身体を強張らせる女性だったが、ヘレーナが諭すように優しく告げる。
「安心してください…。大鬼は討伐していますから」
「…あなたたちが…?どうやって…?」
「まだ疲れていると思います…。ここは安全ですからもう少し休憩なさってください…」
「……いえ、もう大丈夫…。それよりもしっかりお礼を言いたいので…」
女性は起き上がろうとするが、まだ夢の中にいるように力が入らない。ヘレーナが優しく手を取り、女性の上半身を起こすのを手伝う。
「…ありがとう…。なんか力が入らなくて上手く起き上がれないの…」
「…いいえ、お気になさらず。…先ほどあなたに『上位治癒』をかけたのでその後遺症かと…」
ヘレーナの答えに女性は記憶を思い出したのだろう。目を見開き、震えながら脚へと手を伸ばす。だが、そこにはしっかりと硬く潰れていない脚があった。
「…脚は潰れていたはず…。あなたが治してくれたのね?…ありがとう」
感謝の言葉に笑みで返すと、ヘレーナは女性へといくつか質問をする。
「ところで、あなたのお名前を聞いてもよろしいですか?」
「…わっちの名前は『ホウジョウ=マユリ』でありんす。ポートセルム宗教国『ホウジョウ家』の三女でありんすえ」
マユリと名乗った女性の言葉にバリー達は驚愕する。
「…僕からも1ついいかな?ここはどこかわかるかい?」
アックスの質問にマユリは首を傾げながら答える。
「…ここはポートセルム宗教国家でありんすが?…よくよく見るとあなたたちはわっちたちとは顔の作りが全然違いんすね。…もしや他国の者でありんすかえ?」
マユリはヘレーナ達の顔をしっかり見ると僅かに警戒するように睨む。まさか、敵意を向けられるとは思っていなかったアックス達であったが、バリーがしっかりと説明をする。
「待て待て。俺たちはエイジニア王国から飛ばされてきた者だ。同盟国だから安心してくれ」
マユリはエイジニア王国と聞いて少しだけ警戒を解くが、バリーの言葉で気になった事を質問する。
「…飛ばされてきた?…どういう意味でありんすか?」
「そのままの意味だよ。僕たちは魔方陣でここに飛ばされちゃったんだ」
「…よく話がわかりんせんが?」
「ええっとですね…、早い話が移動に使う魔方陣に乗ったら予期せぬところに来たってことです」
「…ふぅん?納得はしんせんが、何かに巻き込まれたということでありんすね?」
「その通りだ!俺たちも何が何だかわかんねーんだけどよ、気がついたらここにいたってわけだ!」
バリーの言葉にマユリは嘘をついてないと感じる。そして、先程まで残っていた警戒心を完全に解く。その様子に安堵したアックスがマユリへとお願いする。
「マユリさん…だったよね?僕たちはこの森から出たいんだけど案内を頼めるかな?」
「…わっちも自信は無いでありんす。…ここは『迷いの森』。魔物に襲撃されて必死に逃げてきたでありんすから、どこにいるかまではわかりんせん」
「それでも土地勘があるのはマユリさんしかいないからね…。謝礼はしっかりするのでお願いします」
「…謝礼など要りんせん。わっちはあなたたちに助けられた身でありんすから、道案内ぐらいさせてくんなまし」
「ありがとう、助かるよ。…それじゃ行動は明日にしよう。さすがに今から動くのはキツい」
「そうね…。クラウンをまだ寝かせてあげたいし、私たちも疲れているものね」
「そうだな。マユリ…さんを最初に見つけて助けようとしたのはクラウンだからな。起きるまでは俺たちも休んでよーぜ」
バリー達はクラウンの状態を考え、明日から行動する事にした。しかし、バリーの言葉にマユリは首を傾げ疑問を口にする。




