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白銀の英雄譚(仮)  作者: もぶいち
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王立学園 -波乱の遠足 7-

「クラウンッ!大丈夫かッ!」


バリー達が音のする方へ辿り着いた時、ちょうどクラウンが大鬼(オーガ)の突進を受け、飛ばされていたところだった。バリーの声が聞こえたのだろう。大鬼(オーガ)がゆっくりとバリー達の方へ振り向く。 そして、また美味しそうな餌を見つけたとでも言うように雄叫びをあげる。


「「キャアアアアアアア」」


ミリィ達はその雄叫びに耳を抑えその場にうずくまり、バリーとアックスも武器を構えて耐えているが、その手元は大きく震えている。


「ア、アックス!!お前はミリィ達を連れて逃げろ!俺はクラウンを連れて戻る!」


「ば、馬鹿言うなよ!バリー1人で戦えるわけない!…相手は『大鬼(オーガ)』だよ!?みんなで逃げるべきだ!」


大鬼(オーガ)』とは『中位』の魔物であるが高い攻撃力と防御力を持ち『中位』の中でも上の方に区分されている。冒険者のパーティであれば討伐は容易だが、バリー達1年生にとっては倒す事は到底無理な魔物である。


「俺1人ならなんとかクラウンを連れて逃げることはできる!だから早くお前らは逃げろ!」


「待ってバリー!あそこに倒れている人がいる!」


アックスがミリィ達を連れ逃げるかを考えていると近くに人が倒れているのが目に入る。


「チッ!ならソイツも連れて逃げろ!早くしろ!時間ねーぞ!」


バリーはそう言うと、大鬼(オーガ)へと向かい剣を振るう。少しでも注意を向けさせない為に取った手段であった。


「クソッ!……ミリィ!ヘレナ!大丈夫かい!?早く向こうに逃げて!」


アックスは特攻していったバリーに怒りを感じながらも自分がすべき事を優先する。まずは2人の状態を確認し、行動へと移す。


「怖いだろうけど頼みがある!…あそこに倒れている人を助けて、僕たちが野営していた場所に戻るんだ!僕はバリーとクラウンと一緒に大鬼(オーガ)を連れて森の奥に行く。そのまま退却するから準備してて!」


早口で捲し立てるようにアックスは告げると、バリー達の支援をする為大鬼(オーガ)へと向かって行く。その後ろ姿を見送ると震える声でミリィはヘレーナへと声をかける。


「へ、ヘレナ…。あたしにリ、状態緩和(リラックス)をかけて。はやく!」


ミリィの言葉に押されヘレーナが慌てて魔法をかける。魔法によって少し落ち着いたミリィがヘレーナにも魔法をかける。お互いが落ち着いたのを確認しあい、アックスの指示に従って行動を開始する。まずは倒れている人へと向かう。


「--ッ!ヘレナ!この人に回復魔法を!多分、脚が折れてるわ!」


ミリィの言葉に慌てて回復魔法を女性へとかける。しかし、一回では治すことは出来なかった。


「ミリィ!少し時間を頂戴!その間周囲を警戒してて!」


ヘレーナの言葉に頷き周囲の警戒に当たる。その間、ヘレーナは女性の足元に魔法式を記述する。出来上がった魔法式の上に女性の脚を乗せ魔力を流し詠唱する。魔法式が淡く光ると女性の潰れた脚が元通りになっていた。


「よし!治せたわ!…でも意識が戻ってないわ。運ぶの手伝って!」


ヘレーナが女性の脚を抱えると、ミリィも女性の脇に手を入れ持ち上げ、2人で女性を抱え野営場所へと逃げが、無事に逃げる事は出来なかった。いつのまにか小鬼(ゴブリン)達がミリィ達を囲むように現れ、背後からミリィの背中を爪で引っ掻く。悲鳴を上げ、ミリィは体勢を崩してしまう。同じくヘレーナも腕を引っ掛かれ悲鳴をあげる。そしてその悲鳴に反応するバリー達。命がかかってる戦闘中に余所見をしてしまったバリー達に大鬼(オーガ)の巨大な棍棒が振り下ろされる。絶体絶命、どう転んでも待ち受けるのは全滅。その時、バリー達は眼を疑う光景を見るのであった。

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