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白銀の英雄譚(仮)  作者: もぶいち
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王立学園 -波乱の遠足 6-

最初に異変を感じたのはバリーであった。大地が揺れる音が聞こえて夢から覚め、周囲を見渡しながら近くに置いてある剣を握る。段々と音が大きくなるにつれ、アックス達も異変を感じ眼を覚ます。----そして、クラウンがいない事に気がつく。


「おい!クラウンがいねーぞ!」


バリーの声に完全に目覚めたアックス達はすぐに立ち上がり周囲を見渡し、クラウンがいない事を確認する。


「--ッ!あっちから何か大きな音が聞こえるわ!」


ヘレーナな指差す方向から確かに音が聞こえてくる。何かが戦っている音であろう、バリー達は最悪の想像しながらその音の方向へと急ぐ。そこには、想像してた事態が起こっていた。



時は戻りバリー達が目覚める10分程前。周囲の警戒に当たっていたクラウンが森の異変に気付く。


(…?何か叫び声が聞こえる。…なんだろう?)


叫び声が聞こえる方向を見ると、遠目にこちらへと向かってくる影が見える。


(んんん?暗くてよくわかんないな…。あれはなんだろう?)


眼を細めその方向を凝視すると、大きな影がその影を追いかけている。そして、大きな影がその影に何かを振りかぶり、聞こえてくる絶叫。


(--ッ!人の声!?追われてる?とにかく助けなきゃ!)


クラウンは不測の事態に正常な判断が出来なかった。この場合はすぐさまバリー達を起こし救援に向かう事が正解であったが、経験不足も重なり最悪の答えを導き出す事となった。

クラウンが声の聞こえる場所へと急ぐと轟音と共に大地が揺れる。なんとか体勢を整えながら目的地へと到着する。そこには巨大な棍棒を振り回す魔物--『大鬼(オーガ)』と脚を潰されて身動きの取れない女性の姿があった。


(ヤバい!あの女の人は動けない!そして、あの魔物は棍棒を振りかざしてる!どうする?)


必死に思考を回転させ、最適解を導き出す。まずはこちらに注意を向ける事が重要だと考え魔法を大鬼(オーガ)へと飛ばす。


「--『火剣(フレアソード)・火』!」


クラウンの魔法が棍棒を振り下ろそうとしている大鬼(オーガ)の顔に直撃する。予期せぬ攻撃に大鬼(オーガ)はたたらを踏む。その隙にクラウンは背後を取り注意を自分へと向ける為、連続で攻撃する。


「--『火剣(フレアソード)・火』!--『火剣(フレアソード)・火』!」


自分の背後から攻撃をされていると自覚した大鬼(オーガ)が振り向きクラウンを睨みつける。自分に注意が向いたと感じたクラウンは大声で女性に話しかける。


「大丈夫ですか!?急いでここから逃げて!早く!!」


クラウンの必死の声も恐慌状態に陥っている女性には届かない。返事がない事にクラウンは少しだけ怒りを覚えるが今は目の前の敵の事を考える。


(チッ…返事はなし。姿が見えないから状況はわかんないな…。とりあえず、目の前のコイツをどうしようか…)


怒りに少しだけ染まり、ノームと戦った時の感情がチラリと浮かび上がる。だが、口調がやや荒くなっただけで思考は冷静そのものだ。


(まずは引き続きこっちに注意を引きつけなきゃ。…魔法を当てながら後ろに退がろう。…近距離戦は論外だ)


先程と同じ様に魔法を飛ばしながら、クラウンは後ろへと退がっていく。絶えず飛んでくる魔法に怒りながら大鬼(オーガ)はクラウンを追ってくる。


(げっ!今度はバリー達に近すぎてる!…クソッ!どうする!?)


クラウンが退がった先にはバリー達が寝ている。一瞬、バリー達の事を考えた為魔法を飛ばす間隔にズレが起きる。そのズレを見逃す事なく大鬼(オーガ)がクラウンへと突進してくる。


(しまった!強化魔法は…ギリかっ?)


しかし、クラウンが強化魔法を詠唱し終わる前に大鬼(オーガ)の突進がクラウンへと当たってしまう。突進の衝撃に耐えれる筈もなく、クラウンは木々にぶつかりながら弾き飛ばされ、意識を失ってしまう。その時、草陰から声が聞こえた。

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