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白銀の英雄譚(仮)  作者: もぶいち
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王立学園 -波乱の遠足 4-

アックスがクラウンとしていた事をバリー達へ話す。もちろんクラウンが秘密にしたい部分は言わずに。完全に納得した訳では無いが、バリー達にとっても損ではない為感謝をクラウンへと伝える。隠し事があるので素直には受け止められなかったが、表情を変えずに受け取る。


「それじゃ、『警報(アラーム)』が発動出来るってわかった事だしクラウンとバリーは交代してね。クラウンの休憩が終わったら下流に向かって歩いていこう」


アックスの提案に反対するものはなく、そのままクラウンは休憩へと入る。バリーとアックスが警戒するが、お試しで展開している『警報(アラーム)』があるのでそこまでは気を張らずに済んだ。そして、15分程経ちクラウンが大丈夫だとアックスは伝えると行動を開始する。


「さて、今から下流に向かって歩くけど、隊列は1番前にバリー、僕とヘレナとミリィが真ん中、後方はクラウン。これで行こうと思うんだけど」


「異論は無いわ」


「あたしも」


「俺もだ」


「ぼくもないよ」


「よし、それじゃ向かうけどもし通り道に果物とか食べれそうな物があったら獲っていこう。最悪の場合、野宿ってこともあり得るからね」


バリーが先頭を歩き、アックス達、そしてクラウンと続く。『警報(アラーム)』の範囲から出る際、媒体となった石をアックスが破壊し魔法を破棄する。こうしなければ延々とクラウンの魔力が消耗されるからだ。破壊した後、川沿いを歩いていくと水場である為か(ウルフ)などの魔物と遭遇する。しかし、充分に警戒していた為、苦戦することなく撃退する。死骸などは埋めた方が良いのだが、時間や労力を考えると放置したままその場を離れた方が良いと判断し急ぎ川沿いを進むのであった。



4時間程歩きっぱなして疲労も溜まり、クラウン達は少し開けた場所で休憩する。『警報(アラーム)』は発動させず、交代で休息を取る。ミリィとヘレナは余程疲れたのか珍しく横になる。


「あぁー!もう歩きたくなぁい!ヘトヘトだよぉー!」


「本当に…。ここまで歩くなんて初めてですわ」


ミリィ達の疲れを察してか、クラウンが『小規模空間(ポケットスペース)』から道中で見つけた果実を手渡す。


「はい、とりあえずこれでも食べて疲れを取りなよ」


クラウンがミリィ達に渡したものは『新甘夏(サンフルーツ)』である。初めて見る果物にミリィ達は首を傾げる。


「これは…なんていう果物なの?クラウンは知ってるの?」


「ああ、多分『みかん』の仲間じゃないかと思うんだ。ほら、ちょっと大きいけど見た目とか中身が似てるし」


そういって果物を剥くと中から瑞々しい果肉が姿を見せる。『みかん』という果物の中身しか見たことの無いミリィ達はクラウンを尊敬の眼差しで見つめる。


「すごーい!クラウンって物知りなんだね!見た目は知らないけど、中身は見たことある!」


「こんな見た目をしてるのね…。少し勉強になったわ」


「とりあえずいくつか置いておくから食べてね!バリーたちにも渡してくるよ」


眼差しに耐えれなくなったのか、クラウンはそそくさとその場を後にし、バリー達の所へと逃げていった。ミリィ達はその行動にクスクスと笑うと果物へと手を伸ばし一息つくのであった。


「おう、クラウン。…どうした?そんな赤い顔をして…」


「な、なんでもないよ!それより、はい!バリーたちも食べて!」


「これはなんだい?果物かな?」


バリー達も知らなかったらしく、先程と同じ説明をし果物を渡す。皮を剥き、見た事のある果物と理解するとすぐさま口にするのであった。


「あー、旨かったぜ!ありがとなクラウン!」


「すごく美味しかったよ。よく見つけたね」


「クラウンありがとー!元気出た!」


「美味しかったわ。ありがとう」


バリー達はクラウンに心からの感謝を伝え、クラウンも照れながら感謝を受けとる。そして、重い腰を上げ川沿いへと戻りまた歩くのであった。

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