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白銀の英雄譚(仮)  作者: もぶいち
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王立学園 -遠足前日 2-

「いやー、笑わせてもらったぜ!あんな皮肉を混ぜるとかアックスの影響かもな」


バリーの言葉にミリィ達も笑いながら頷く。アックスだけはニコニコと笑みを浮かべいるが。


「え?皮肉??なんのこと?」


クラウンは何故今の場面が面白かったのかがわかっていない。さっきの言葉は本心であり笑う要素などなかったからだ。


「ええ?まさか気付いてないのかい?」


アックスが驚いたように言うと、クラウンは首を傾げる。アックスは一瞬固まるが、説明をするのも面倒な為話題を変える。


「それならいいや…。ところで明日の遠足のことなんだけど、どうやら王宮から騎士団と魔術団が派遣されるらしいよ?」


「へぇー。ま、当たり前だろうけど。何番が来るんだ?」


バリーが当たり前といったのは、この学園はこの国の貴族の子ども達が入学しているので、外に出るときは護衛として王宮騎士団・魔術団が必ず派遣される。怪我や事件に巻き込まれると厄介な事になるからだ。


「兄さんからの手紙には第11騎士団と第8魔術団が護衛任務だってさ」


「なるほど。第11騎士団は索敵や守護に長けてるものね…。でも2師団だけなの?」


「ヘレナー、予定地はバリーの領地だよ?冒険者とか沢山雇ってると思うなー」


ヘレーナの心配にミリィが答える。自分ならこうするという考えだったが、それは正解であった。バリーもその事を知っている為、ヘレーナに安心させるように話す。


「ああ、ミリィの言う通り冒険者を沢山雇ってるぜ。だから、俺らの周りに2師団を配置ってところじゃねーかな?」


「そうなのね…。はぁー、私にはまだ指揮などは難しいわ」


「まぁ、ヘレナは後方支援になるから追々学んでいけばいいさ」


「あー、明日楽しみだなぁー!クラウン!一緒にご飯食べよーね!」


「いいよー!ってか、みんなで一緒に食べるでしょ?」


「もちろんさ。ミリィがクラウンと2人っきりで食べたいなら僕たちは別の場所で食べるけどね?」


アックスが小さく含みのある笑みを浮かべると、ミリィが顔を赤くしアックスを睨む。流石のアックスも危険を感じたのかその場から逃げ、それをミリィが追いかける。バリーとヘレーナはやれやれと首を振り、クラウンは意味がわからないまま、2人を目で追うのであった。



遠足前夜、クラウンとバリーは寮の食堂で明日について色々と話をしていた。そこにペイトンも加わり話は膨らむ。


「へぇー、ク、クラウンたちは明日遠足なんだね」


「お前らはいつなんだ?」


「ぼ、ぼくたちは来週の火曜日で、ば、場所は『土の公爵家』のところだよ」


この学園の行事は大体が1クラスずつでの活動となっている。警護や準備にも人員・時間がかかる為、学園内以外での行事は日程をずらす事で調整している。


「あー。ってことは『山岳平原』か?」


「そ、そうだよ。よくわかったね」


「まぁ、一応公爵家だからな。大体の有名な場所は知ってるさ」


「す、すごいね。…と、ところでバリーたちはど、どこに行くんだい?」


「ぼくたちはバリーの領地の『海浜公園』ってところだよ」


「レ、レジャースポットじゃないか…。そ、そういえばクラウンたちのクラスにはこ、公爵家が4人もいるから仕方ないのか」


ペイトンの言う通り、クラスには公爵家が4人もいるので生半可な場所には行けない。ある意味で、学校側からの依怙贔屓である。ペイトンの言葉に、バリー達は少しだけ苦笑し、就寝時間が来たので自室へと戻っていく。布団に入り明日を楽しみにしながら、夢の世界へと旅立って行った。


しかし、クラウン達は明日、予想外の出来事…事件に巻き込まれる事となる。噛み合う事のない歯車が、小さな歯車で噛み合ってしまった。それはまさしく神々の悪戯。そんな事が起こると思う筈もなく、クラウンは幸せな寝顔を浮かべているのであった。

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