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白銀の英雄譚(仮)  作者: もぶいち
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王立学園 -図書室 1-

始業の鐘が鳴り、息を荒げながらクラウン達は図書室へ到着する。急いでいた為か少し乱暴に扉を開けると、その音に反応するように舌打ちが聞こえる。舌打ちが聞こえた方へ目を向けると40歳ぐらいだろうか、ふくよかな女性がクラウン達を睨んでいる。


「--図書室ではお静かに」


司書の女性からの怒気を含んだ言葉に謝りつつ、クラスメイト達の所へと移動する。クラウン達を迎えたのはドランの皮肉混じりの言葉であった。


「公爵家ともあろう連中が授業に遅れ、静寂な空間を壊すとは……。どんな兄に教育されたのか。きっと、禄でもない兄だったんだろうな。…まぁいい、早く座れ」


ドランの皮肉はある個人への口撃ではあったが、その言葉に反応する事なく素直に席へと座る。クラウン達が席に着いたのを確認し、ドランは静かに口を開く。


「いいか?ここでは静かに活動をすること。大声で話したりは絶対にするな。破れば即座に罰が待っていると理解しろ。…紹介しておくが、後ろに座っているのが司書長のアリエル先生だ。マナーを守らない奴には厳しいからな。心しろ」


ドランに紹介された女性--アリエルが席を立ち、小さくも凛とした声で話す。


「司書長のアリエルです。図書室では、静かに活動をしてください。また、飲食は禁止です。これらを守れない生徒は厳しい罰を与えるので心してください」


そう言い終わると、席へと座る。他に言うことは無いと態度で語り、自分の業務へと戻る。


「…ということだ。ちゃんとマナーを守れよ。…それでだ。今日は図書室で授業をするのだが、来週遠足が予定されていて、予定地は火の公爵家の領地となっているがその場所の近くには海と森がある。大丈夫だとは思うが、『魔物』が出る可能性もあるので今日のこの時間は『魔物』についてパーティ毎に勉強してくれ」


『魔物』とは、『魔族』・『亜人』とは違うものであり、代表的なのは『小鬼(ゴブリン)』であろう。王国には『冒険者』という職業が存在しており、『冒険者』は『魔物討伐』を生業としている。平民や一部の爵位持ちが冒険者となり、領主に雇われその領地に発生する『魔物』を討伐するのが基本である。稀に大量発生、或いは『超位』などの大型が出現した場合は王国から雇われる形となっている。ただ、王国は広大である為完全に『討伐』されているわけでなく、遠足中に遭遇してしまった場合の対処法として今回この場所で授業をしている。


生徒達はパーティ毎に集まり、資料を見ながら『魔物』について静かに勉強している。クラウン達も同様に資料を持ち出し勉強する。


「…予定地なんだけどさ、どんな『魔物』が出てくるの?」


クラウンの質問にバリーが静かに答える。


「…海だったら『海蛇(シースネーク)』や、『骨蟹(スカルクラブ)』とかだな。…森は『小鬼(ゴブリン)』や『(ウルフ)』ぐらいだな」


「…それ以外のは報告されていないのかい?」


「…最近は聞かないが、『角熊(ホーンベア)』が出たことはあるらしい。さすがに、それ以上は聞いたことないな」


「…『森妖精(ドライアド)』や『人魚(マーメイド)』とかは?」


「…ミリィ、さすがに『上位』が出てたら予定地に選ばれてねぇだろ」


「…確かに。さすがにそれはないかー」


「…なら『中位』ではどうなんでしょう?」


「…『妖精(ピクシー)』か、『亜種』ぐらいだろう。俺の知ってる限りはな」


『魔物』には『下位・中位・上位・超位』と階級が定められている。『下位』『中位』は『冒険者』1つのパーティで対処可能で、『上位』となると2つ以上のパーティでの戦闘となる。『超位』は『災害』クラスであり、『冒険者』および『王宮騎士団・魔術団』総員での対処となる。階級も細かく設定はされているが、基本的には4つの区分となっている。『超位』での代表格は『(ドラゴン)』などであるが、純粋たる『(ドラゴン)』は知性を持っており、同族に被害が出ない限りは攻撃してこない。実例としては大昔に『地龍(アースドラゴン)』が同族を殺され、報復をしてきたと歴史に記述してある。

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