王立学園 -休日 1-
翌日からは、時間割通り一日中『魔法学』や『国語』や『数学』、『社会』の授業であり、宿題が沢山出た事以外は何事もなく過ぎていった。そして、入学してから初めての休日。クラウンの姿は寮の自室、机の前にあった。
(し、宿題が多い…。まだ入学して1週間なのに…)
チラリと横を見れば宿題に使用する参考書が積んである。本を読むのが好きなクラウンでも顔をしかめる量だ。『魔法学』の宿題が終わり、『国語』の宿題を始めようと思った時、ドアをノックする音が聞こえた。
「クーラーウーン!あっそびーましょ!」
ノックした主は大きな声で部屋の主人へと声をかける。ペンを置き、ドアへと向かい声の主を扉越しに返答する。
「宿題しているのでお断りさせていただきます」
丁寧な言葉で返事を返し机へと踵を返す。だが、ドアを乱暴に叩く音に足が止まる。
「うおおおおおい!遊び行こうよおおおお!」
ドアを乱暴に叩きながら大声を出し、ドアノブまでもガチャガチャさせるのをクラウンは感心したように見つめる。器用だな、と思いながらもこれ以上放置するのは煩わしいと感じドアを開ける。そこには満面の笑みを浮かべるバリーがいた。
「なんだよ!クラウンもやっぱり遊びたかったんだろ?」
バリーらしい前向きな考えに、クラウンは苦笑を洩らす。バリーはそのまま話続ける。
「ペイトンから借りた本を読んでたんだけどよ、それを見てたら身体動かしたくなってきてさ。だから、一緒に外行かねーか?」
「いや、だからぼくは宿題があるからダメだって!」
「は?休みは明日もあるだろ?明日すればいいじゃん!」
「なら遊び行くのが明日でもいいんじゃない?」
「いや無理。俺は今、身体を動かしたい」
クラウンはバリーの性格を考え、これ以上断る事は無理だと悟る。良くも悪くも直情型は頑固なのだ。諦めたように溜息をつき、バリーに了承を告げる。その言葉にバリーは喜び、行動へと移す。
「よし!なら本を返すついでにペイトンも誘おうぜ!俺先にペイトンの部屋に行っとくから、着替えて来いよ!」
それだけ言うと、バリーは隣の部屋へと向かう。行動の速さに呆れつつも、着替えるために部屋へと戻る。着替えている最中、隣の部屋のドアを乱暴に叩く音と大声が聞こえるのであった。
クラウン達は今、学校の訓練場にいる。寮の外で素振りなどをしていたのだが、それを見たエリスが激怒した為逃げるように魔方陣へと向かったからだ。学校に来てしまったクラウン達は、ペイトンの提案により訓練場へと移動したのであった。
「いやー、休日にも学校だなんて俺たち真面目だなぁ」
「鉈婆が激怒したからね…。でも、休日なのに結構人がいるね」
「そ、外には遊びにい、行けないからね。そ、それと『武術部』と『魔法部』があ、あるからね」
王立学園には、『武術部』と『魔法部』の2つの有名な部活動…サークルのようなものがある。自発的に活動をしているだけなので強制なものはない。ただ、強くなりたい、覚えたい、試してみたいと思う生徒達が勝手に集まりそれが『○○部』という形になった。組織立って動くわけではない為、探そうと思えば他の部活動もある。ただ、人数が多く集まるのがこの2つの部活動という事だ。
「あー、これが『部活動』ってやつか。話には聞いていたけど面白そうだな!」
バリーは周囲で各々活動している生徒たちを興奮しながら見渡す。クラウンも同意とばかりに首を激しく縦に振る。
「ぼ、ぼくは『魔法部』にき、興味があるなぁ」
「ぼくも興味があるなぁ。今度行ってみようよ!」
「んー、俺はこっちの方がいいかな?よし、それじゃとりあえずあそこで手合わせしようぜ!」
バリーが指差したのは人が少ない隅の方であった。クラウン達は頷きその場所へと向かった。場所へ着くなり、バリーがタンクトップ1枚になる。
「あわわわ。バリー!人目があるんだから隠れて脱いでよ!」
「別に全裸ってわけじゃないんだからいーだろ?」
「良くないって!ペイトンもそう思うでしょ?」
「う、うん。そう思うよ。……バリー、君ってす、凄い筋肉してるね…」




