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白銀の英雄譚(仮)  作者: もぶいち
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王立学園 -演習 1-

「いたたたた。まだ頬がヒリヒリするよ…」


「自業自得よっ!女の子にいきなり抱き着くとかありえないわっ!」


「ミリィ、さっきから仕方の無かったことだって説明してるじゃない…」


「ふんっ!か弱い女の子にだ、抱き着くだなんて!」


「はぁ…。何を言っても無駄みたいだね…。それよりクラウン、大丈夫かい?」


「痛そうだなー。めちゃくちゃ腫れてんぞ?」


「うん…。すごく痛い…。ヘレナ、治癒魔法かけてくれないかな?」


「ヘレナ!こんな変態にはかけなくていいわよ!」


「だそうですよクラウン。…残念だけど諦めてちょうだい」


「……そんなぁ」


痛む頬を抑えながら、クラウンは小声でぼやく。苦笑しながらバリー達は訓練場へと入っていく。中へと入ると、他の生徒達はパーティで固まり待機していた。クラウン達も空いている場所へ移動しドランが来るまで待機していた。


始業の鐘が鳴りドランが奥から出てくる。手には珍しく何も持っていない。生徒達の前に立ち、話し始める。


「全員揃ってるかー?今から『演習』の授業を行う。…とは言っても今日はパーティを組んだばかりなので、お互いの能力についての話し合いの時間とする。自分の得意不得意や、武器などを話し合ってくれ。それと、各パーティのリーダーも決めてくれ。決まったところから報告しに来てくれー。以上だが質問あるかー?」


「メモを取ったりしなくていいんでしょうか?」


「まー、別に構わんが、もしこれから別のパーティに参加した時毎回メモを取るのか?そんなことしてると、すぐパーティから脱退しろと言われちまうぞ?だから、極力覚えるようにしろ!メモに書く時は箇条書きで大事なことだけ記入しておけ!他に質問あるかー?………無いようだな。それじゃ、話し合い開始ー。俺はここで座って待ってるからなー」


ドランのやる気のない開始の合図とともに、パーティ間の話し合いが行われていく。クラウン達も同様である。


「よし、それじゃまずはリーダーを決めようぜ!」


「リーダーってどんな事をするんだろう?」


「パーティのリーダーに必要なことは『判断力』と『対応力』だと僕は思うよ」


「そうね、臨機応変な対応を迫られるだろうし、柔軟な頭の持ち主がいいわね」


「あたしは出来ないからね!全滅してもいいならするけど?」


「ミリィは直情型だからねぇ…。うーん、リーダーは誰がいいかなぁ」


「ぼくはバリーがいいと思うんだけど…」


「そうねぇ。バリーは次期当主だけど、現段階ではねぇ………。身体が先に動くものね」


「そうだなぁ。先に行動しちまうからなぁ。ちょっとまだ難しいな」


「バリーとミリィは難しい。残るは僕たちだけど…」


「私は後衛で治癒特化ですから………」


「僕も後衛で補助特化だからなぁ。指示なんかは出せる自信あるけど、柔軟な対応は自信ないなぁ…」


「ってなると…自動的にクラウンになるな」


「ええ!?ぼく!?」


「クラウンは剣術もかなり出来るし、魔法も出来るみたいだしね。兄さんが検査してあの評価ってことは事実だろうし…」


「あたしはクラウンがなった方がいいと思う!」


「理由はなんだ?」


「クラウンは頭良いし、『対応力』は凄く高いと思う。『判断力』は普通だけど、『柔軟な思考』はピカイチだよ!」


「…なんかすげー知ってるって言い方だな」


「うん…。すごい分析力だ…」


「そう言われれば、そんな感じがするわね。私的にはクラウンがリーダーでも良いと思うわ」


「いやー…ぼくキレたら記憶失くしちゃうみたいだし辞めた方がいいと思うよ?」


「俺は賛成だなー。クラウンってよく周りを観察してるからな!」


「確かに、さっきミリィを止めた時も1番早かったし!」


「すぐ応援呼んだところも『対応力』が高いってことですわ!」


「………みんな、リーダー押し付けてない?ねぇ?………なんで目を逸らすの?」


「まぁまぁ、クラウン。諦めなさい!あたしが認めるんだから自信持って!ささっ、ドラン先生のところに行きなさい!」


「…わかったよ。このことは忘れないからね!」


無理矢理リーダーを押し付けられたクラウンであったが、バリー達のこの決定がパーティを救うことになるとは、まだ誰にもわからないことであった。

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