王立学園 -前途多難 3-
「次のページをバリー。読んでくれ」
「はい。『ポートセルム宗教国家、フェルト評議国家そして我が国では同盟を結んでおり、停戦協定も結んでいる。また、ドミニオン帝国、エビリアル魔導国からの大規模な侵略に対しては三ヶ国で協力する事も合意している』」
「はい、さっき説明した通りだな。三ヶ国同盟によりどこかの国が侵略を受ける、受けそうになった場合軍を派遣する事になっている。昨日来てくれた騎士団や魔術団が派遣されるってことだな。自衛もしなきゃならんのでいくつかの師団だけだけどな。まぁ、早い話が『戦争になったら協力してね』ってことだ」
ドランの物言いに生徒達は苦笑する。
「いやいや、お前らだってどこかの騎士団や魔術団に就職するかもしれんだろ?そうなれば、戦争に参加することは絶対だぞ?まー、平和なことに越したことはないがな。それじゃ、次のページをクラウン」
「はい。『亜人種の討伐および売買について。フェルト評議国家と締結している条約に重要なものがある。この条約に反した場合、国家間での賠償問題および責任問題となる』」
「はい、ここも重要だぞー。しっかりメモしろよ?えー、『亜人種の討伐および売買』についてだが事細かく記載されている。まずは『討伐』なのだが、これは『フェルト評議国家に属する亜人種』を討伐したときという前提がつく。無論、罪人であった場合は除くがな。ここで重要なのは『一般人』を討伐したときだ。評議国家に属する亜人種が国外で生活するときは『在留許可証』を常備する事が義務付けされているんだ。それはカードだったり、体のどこかに入れてあったりだな。その『在留許可証』を持っている亜人種を討伐した場合が処罰されるってことだ。ま、そいつらが犯罪を犯したとしても原則『生け捕り』が義務付けられてるんだ。ここ出るから気をつけろよ」
「ということは、『亜人種』の犯罪者は無傷で捉えるってことですか?」
「いや、原則は『生け捕り』だ。四肢を削ごうが生きてれば問題ないってことだ。死なせたら大問題って覚えておけば大丈夫だ。次に『売買』についてだが、これはその名の通りだな。『亜人種』には色々な種族がいる。その中でも1番被害に遭っているのが『エルフ』や『猫人間』だな。見た目が麗しい種族は人気ってことだな。もちろん、奴隷としても『売買』してる場合がある。『金銭』や『物々交換』などで『亜人種』を取引することは禁止となっている。この場合は、非常に重い処罰が待っているからな。お前らもそういうことに関わらないように」
「先生、処罰とはどのような物があるんですか?」
「んん?まぁ、お前らの教育に悪いから話したくないが…。ま、お前らも爵位持ちだしな。覚えとかなきゃいけないか。…えー、最低でも『公開処刑』、記録に残っているので1番酷いのは、『一族郎党』だな…。だから、お前らが領主となったときはこういうことが起きないように目を光らせておくんだな。それじゃ、次をミリィ」
「はい。『三ヶ国間の貿易について。貿易に関する条約として、全てのものに対し関税は無いものとしている。ただし、『資源』に関しては別途条約を結んでいる。また、貿易を行う商人には入国料は徴収しない』」
「はい、ストップ。えー、時間的にもここが最後になるかな?貿易についてだが、流通を良くするために三ヶ国では関税を撤廃している。ただし、我が国で商売をする者たちには売り上げの5%が税金として徴収されている。ま、この税金が関税の分みたいなものだ。国としても金がなきゃ何も出来ないからな。細かい説明は後々出てくるのでその時に説明する。大事なことは『関税は無し』ということだ。あと『資源』についてだが、ポートセルムでは『木材』、フェルト評議国家では『化石燃料』、我が国では『希少金属』が代表的な物となっている。ただし、この『資源』にはガッツリ関税がかかっているからな。テストの時は気をつけておけよ。……っと、ちょうどいいところで鐘がなったな。次回からは黒板にも記述していくからノート忘れないようにな!はい!終わり!」
終業の鐘とともにドランが退出する。残った生徒達は各々ノートに記述したり、休憩するのであった。




