王立学園 -前途多難 1-
翌日。クラウンは朝の畑作業への準備をしていた。そろそろ向かおうかと扉の前に行くと、丁度ノックする音が聞こえた。
「ク、クラウン?起きてるかい?い、一緒に行かない?」
「はーい!ちょうど今から出るところだよー」
ドアを開けると、ペイトンとバリーが外に待っていた。
「おはよう、2人とも」
「お、おはよう」
「おいーっす。…ふぁーあ…。眠くてたまらねぇ」
欠伸とともにバリーは挨拶を交わす。うつらうつらと歩くバリーを心配しながら、クラウン達は畑へと移動する。まだ、6時になっていないがそこには寮生全員が揃っていた。
「アンタたちおはよう!集合時間前に揃うなんて感心するねぇ。それじゃ、昨日と一緒の作業をしてもらうよ」
昨日と一緒の作業を行うクラウン達。比較的昨日よりかは上達している様で、早めの時間で終わる。収穫したものを袋に入れ、今日はクラウンとペイトンが運んでいる。バリーはエリスに鍬の使い方を教えてもらっている。食堂へと野菜を運び、バリーが帰ってくるまで各々朝食の準備をし全員揃って食事をするのであった。
「今日は時間に余裕があるね」
「昨日は朝の準備に手間取ったからな。みんな、少しずつ慣れてきてるんだろーな」
「な、慣れると楽しいよね」
クラウン達は学校の支度が終わり、今は談笑しながら魔方陣へと向かっている。
「まーな。でもさすがに食器を洗うのはまだ難しいぜ…」
「そ、そうなんだ。ぼ、僕は平気だけど…。ク、クラウンはどう?」
「んー、ぼくはまだ洗ってないからねぇ。食後の片付けとかは少し出来るようになってきたよ」
「まー、まだ鉈婆からはお褒めの言葉は頂いておりませんけどねッ!…よし、じゃ学校に移動するけど忘れ物とかねーよな?」
「だ、大丈夫だよ」
「うん、ぼくも大丈夫」
「なら行くかー。…『校庭へ』」
寮から校庭へ移動し、クラウン達は教室へと向かう。途中でペイトンと別れ、教室へと入る。そのまま他の生徒と挨拶を交わし席へと座る。バリーと談笑しているとアックスが教室へと入ってきた。
「おはよー2人とも。今日は遅刻しなかったんだね」
「おはようアックス。今日は朝に余裕ができたからね」
「ういーっす。別に遅刻したくてしてるわけじゃねーからな」
「ふーん。ところで、クラウンたちはどこの寮に入ったんだい?僕は『玄武』だったよ」
「あー…。俺たちは『鉈婆』のところだぜ」
「ええ?2人ともかい?」
「うん、そうだよ。でも、話に聞いてたような悪い所では無かったよ?」
「まー、口うるさい婆さんがいるけど、メシは美味いし風呂は最高だしな」
「…へぇ。噂は噂だったんだね。で?どんな感じの寮なんだい?僕のところはね………」
3人が自分達の寮について暫く話していると、ヘレーナが会話に入ってきた。
「おはよう、3人とも。ご機嫌はいかが?」
「へーへー、上々でございますよ」
「おはようヘレナ。ぼくも上々だよ」
「おはよー。残念ながら僕も上々だよ」
「何が残念なのかわからないけど、ご機嫌なのね。…ところでアックスたちはどの寮だったの?私は『朱雀』だったわ」
「いまその話をしていた所だよ。僕は『玄武』だよ」
「ぼくたちは『青龍』で、『鉈婆』のところだよ」
「あらっ?『鉈婆』のところなの?それは可哀想に…」
「それが意外と悪い所では無いんだな。口うるさい婆さんがいるだけで、それ以外はかなりいい所だぜ?」
「口うるさいって言っても、『礼儀』とか『挨拶』についてだけどね。まぁ、それもちゃんと教えてくれるから別に悪い所では無いよ」
「所詮、噂ってことなのね。私の所は凄く真面目なのよ。時間が指定されててちょっと窮屈ね」
「へー、ヘレナの寮はお堅い所なんだね。逆に僕の寮は凄く緩いよ?」
「へー、やっぱりそれぞれ違うんだねぇ。…っと、先生が入ってきたね」
クラウンの感想の最中、ドランが教室へと入ってきた。ドランの姿を見た生徒達はそれぞれ自分の席へと戻る。全員が出席していることを確認しドランが口を開く。
「あー、おはよう。今日は遅刻する奴は居なかったようだな。それじゃあ、今日の時間割について説明だ。午前中はこの教室で『社会』と『魔法学』の授業だ。午後は訓練場に移動して、昨日組んでもらったパーティ毎で、『演習』をする。以上の流れだが質問あるか?」




