王立学園 -午後の授業 2-
「えー、委員長、副委員長も決まったということで次の時間はパーティ決めをしたいと思う。だが、午前中の実力でのパーティ編成をして欲しい。俺は今からすぐ午前中の結果をまとめるので、しばらく自習しておいてくれ。あー、別にお喋りしてていいからな。外には絶対に出るなよ!以上!」
そう言うと、ドランは職員室へとさっさと戻る。生徒達は近くの友人達とパーティ編成について話をしている。パーティ編成の意味を知っている生徒は少数ではあるが、知らない生徒に教えたりしている。クラウンも知らない1人だ。
「パーティ編成ってなんなの?教えてアックス」
「パーティ編成っていうのは、3年生になると『課外活動』があるんだ。魔物の討伐とか、採取とかだね。もちろん、魔物っていっても小鬼とか狼みたいな弱い魔物のことだよ。採取は薬草取ってくるとかそんなの。それをソロでやると最悪死人が出るかもしれないから、パーティを組もうってことさ」
「それとな、パーティを組む事によって色々な可能性がわかるんだぜ。ま、俺ら公爵家は他国との戦争とかの時軍を動かす立場だからな。誰が何を出来るかってのも把握しとかなきゃならねえ」
「あとは将来にも関わってきますわ。騎士団や魔術団、それに冒険者になったとしても個々では出来ませんからね」
クラウンの問いかけに、アックスやバリー、ヘレーナまでもが答えてくれた。さすが公爵家と言うべきか、パーティ編成の重要さとその先を見ている。尊敬の眼差しをバリー達に向けるクラウンに、恥ずかしそうに笑うバリー達。照れ臭そうにアックスは言葉を繋ぐ。
「まぁ、爵位持ちは上に立つ場合もあるからね。後継者となるともっと要求される場合があるしね。…パーティ編成って意外と重要なんだよ」
「パーティの重要さはわかったけど、それってやっぱり攻撃重視とか考えたほうがいいの?」
「そんな事はねーぞ。基本的にバランス良く編成するのが基本だ。考えてみろよ。攻撃に特化している奴らで組んだら誰が傷を癒すんだ?その逆もしかりだ」
「そうですわね。熟練度も関係してきますけど、特化型は私達では対処が色々難しいと思いますわ」
「僕たちは学生だし、そんな難しいことはしないと思うから、バランスよく編成したほうがいいと思うな。それこそ軍とかになれば、色々特化型を作らないといけないけどね」
「なるほどー。それじゃ、ぼくたちはバランス良く編成したほうがいいんだね!」
「まだお互いの事を知らないから、仲のいいパーティを作るってのもありだよ。後々、役割を分ければいいし」
「勉強になるなぁ。みんな頭良すぎ!」
「まぁ、正直に言いますと私たち公爵家でパーティを組むことになると思いますけどね」
「ええー?それじゃぼくは違う人と組むのかぁ。残念だなぁ」
「まだわかんねーぜ?午前の結果で実力別になると思うし。俺的にはクラウンと組むのもアリだな」
「確かに。クラウンは剣術は多分評価高いと思うし…。魔法はわかんないけど」
「えー?ぼくそんな強くないと思うよ?あの時の記憶も無いし…」
「いーや!あの動きには正直俺も勝てねーぜ。ちょっとどころじゃ無いくらい強かったぞ!」
「私は少ししか見てないですけど…。団長さんといい勝負してましたわ」
「うーん……。実感が湧かないなぁ」
「ま、僕たちとパーティ組めればいいね!クラウンなら大歓迎さ」
「そうだね!そうなることを祈っておくよ!」
クラウンはあの時自分の記憶は無いので、半信半疑である。だが、バリー達は最初から見ていたのでクラウンの実力を理解している。ただし、理解といってもキレた状態だけの話であるが…。
終業の鐘がなっても、生徒達は話を続ける。それはバリー達の言ったパーティ編成についての事であり、この機会に、バリー達と仲良くなろうとする生徒達もいる。始業の鐘がなっても席に着く事なく、各々話を続ける。鐘がなってから15分後、ドランが資料を持って入室してきたときにようやく、話が終わるのであった。




