王立学園 -午後の授業 1-
昼食を取り終えた4人は、教室へと戻る。道中の会話は少なめであったが。
午後の始業の鐘が鳴り、クラウン達は席へと座る。その時、ミリィがこちらを見つめていることに気付く。
(いやいや、良い奴って本当かな?物凄い睨んでるんだけど…)
クラウンは先程3人に言われた事を思い出すが、全く想像出来ない。現に、クラウンは睨まれているのだ。…ただし、ミリィの顔には少し赤みがかかっているが。
「はーい、午後の授業始まるぞー。静かにしろよー」
ドランが気怠そうに教室へと入ってくる。手には大量の書類を抱えて。
「あー、くっそ重いな。あー、では今から午後の授業を始めるがその前に、このプリントに目を通してくれ」
ドランが列の最後尾にプリントが行き届いたのを確認してから説明を始める。
「えー、これはお前らの前期分の時間割だ。無くすなよー。前期はこれ通りに実施するので忘れ物とかをしないように。特にクラウン、気をつけろよ」
ドランの中ではクラウンは問題児と認定されてる。午前中を見ていれば間違いはない。
(なんかぼくは厄介な生徒だと思われてそうだ)
「えー、そのプリントをもし無くした奴がいたら、職員室まで取りに来てくれ。場所は他の生徒にでも聞いてくれ。説明するのめんどくさい。それで、次だが…このクラスの委員長と副委員長を決めたいと思う。役割は団体行動するときにみんなを纏めたり、俺のパシリ…手伝いをしてもらったりだな。一応、お前らで決めてほしい。指名制は最終的手段だ。よろしく」
ガヤガヤと生徒達は周囲と話し合う。したくない、めんどくさいと多数聞こえてくるが。それを聞いてたのだろう。ドランは閃いた様に話す。
「やり方が悪かったな。んなら、投票制にしよう。一人一人誰が良いと思うか紙に書いてこの箱に入れてくれ。お前らは無記名で投票するから、心配しなくていい。それで、選ばれた奴はみんなの総意だから、大人しく従ってくれ。んじゃー、紙を配るぞ」
いつのまにかメモ用紙ぐらいの紙束を持っているドラン。壇上の机にはご丁寧に箱も置いてある。配り終えると、思い出したかの様にドランが告げる。
「あ、そうそう。一応男女1人ずつ記入してくれ。多い奴が委員長。2番目に多い奴が副委員長ってことでよろしく」
言い終えると、満足した様に教室の後ろへと進むドラン。生徒達は手元にある紙に思い思い適正な人物を記入していく。10分ほど経つと全員が書き終え、箱に投入していった。それを見たドランが動き出す。
「よーし、それじゃ書き終わった様だから開票していくぞー。その前に、黒板に書いていってもらいたいな…。ミリィ、お願いできるか?」
ドランが記入係としてミリィを指名する。
「わかりました」
おしとやかに返事をするミリィ。昼食の時とは全くの別人である。クラウンはその事に驚きアックスへ振り返る。
「…驚いたと思うけど、あれが普通のミリィなんだよ…」
小声でそういうとアックスは苦笑する。どちらの性格が正しいのかは分からないが、クラウンは考えながら前を向く。その目線は、生徒達に真っ直ぐ目を向けているミリィに向けながら。
(うーん、訳がわからないけど…。公爵然としてるから、こっちが正しいのかも)
「はい、それじゃ開票していくぞー。えー、まずは………」
20分程で全ての開票し終えた。男性で1番多く投票されたのがアックス。女性ではヘレーナが最多であった。
「あー、それじゃ決まった様だな。ま、公爵家としては避けて通れない道ではあるな。委員長がアックス、副委員長がヘレーナって事でよろしくな」
不承不承ながらも、2人はみんなのまとめ役として就任する。生徒達の祝福の拍手の中、ドランだけはこっそり嫌そうな顔をしていたのだった。




