-神々の加護 2-
「お疲れ様でした。無事に『神々の加護』は終了致しました。それでは、伯爵様がお待ちです。一緒に外に向かいましょうか」
『神々の加護』が終わると、マリーはクラウンの手を握り外へと向かっていった。扉を開けると、クージルが満面の笑みでクラウンを迎えた。
「おお、クラウン。怖いことなど何も無かったであろう。まぁ、緊張はしたとは思うがな。はっはっは。…おや?どうした、そんな不安そうな顔をして」
「…ちちうえ、『かみがみのかご』はこんなかんたんな、ぎしきだったのでしょうか?」
「んむぅ?簡単とはどういう…」
「クラウン様、『神々の加護』はしっかりと出来ておりましたよ。今、まさにクラウン様の心の中には『神々の加護の種』が植えられております。芽吹くまでには、各々差がありますが9歳までには魔法が使えるようになりますよ」
「…めぶく…ってなに?」
「ああ、芽吹くというのは……こういきなりな、ある日突然魔法が使えるようになるのだ。私の場合は、暖炉に火をつけようと思った時に使えたのだよ」
「クージル様の場合は、何歳ごろの時だったのでしょうか?」
「8歳くらいの時だったような…冬だったことは覚えているぞ。マリーはどうだったのだ?」
「私は9歳になる1ヶ月前でしたね。周りがどんどん使えるのに私だけ使えないのでは無いかと、不安いっぱいでしたよ」
「そうなんだ。ぼくも…つかえるようになるかな」
「「大丈夫だ」ですよ」
先程まで不安そうな顔をしていたのは、想像していたものと違い失敗したのでは無いかと思っていたからだ。しかし、2人ともそれを瞬時に理解し自分の経験を伝えることによって、クラウンを安心させたのだった。
「さて、儀式も終わったことだし我が家へ帰るか。これからは毎日勉強と稽古が待っているぞ」
「はい。がんばってまほうをつかえるようになります!」
「うんうん。その意気だ。ではマリー、私たちは家に帰る。『神々の加護』の儀、感謝する』
「いえいえ、それが私たちの仕事ですから」
「ばいばい、まりー」
「クラウン様、魔法が使えるようになったら私にも見せてくださいね」
クージルとクラウンは、マリーに礼をし馬車へと乗り込む。フレイゼン家に進路をとった馬車の中から、小さな手がマリーへと手を振るのが見え、マリーは笑顔で手を振り返すのであった。