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白銀の英雄譚(仮)  作者: もぶいち
27/119

王立学園 -寮へ 5-

「202号室はっと…。ここか」


クラウンは自分の部屋を探し見つけたところだった。鍵を回し、ドアを開けると広い空間が広がっていた。


「うわー…。ベッドとか本棚が無いと広く感じるなぁ。…そういえば、父上が荷物は送ってくれたんだった。どこにあるのかな?」


クラウンは部屋に入り、周りを見渡す。すると部屋の隅に『中規模空間(ミドルスペース)』の魔法道具が数個置いてあるのを見つけた。


「あったあった。えーっと?『お前の部屋にあった家具一式を入れてある。それと、必要になりそうなものも入れておく。足りない物があったら連絡せよ』…か。本当、家の中と外じゃ性格が違うんだから」


軽く苦笑を浮かべ、クラウンは手紙の差出人を思い浮かべる。深く思い出すのはやめ、荷物を取り出すことに専念する。


「さてと…。まずは家具の設置しなきゃ。その前に……『肉体増強・火(パワーアップ)』、『速度上昇・火(スピードアップ)』…。よし、準備万端!さっそく行動開始だ!」


身体強化を自分にかけ、家具の設置を始める。『中規模空間(ミドルスペース)』から、本棚、机などを取り出し、場所を決めていく。鼻歌を歌いながら、配置しているとドアをノックする音が聞こえた。


「はーい、今出ます!」


「よう…クラウン。もう部屋は出来たか?」


ドアを開けると、バリーが疲れたように部屋へと入ってきた。


「もうちょっとで終わるけど、そんなに疲れてどうしたの?」


「いやぁ…俺ってこういう整理整頓は苦手でさ…。クラウンにちょっと手伝って貰おうかと思って来たんだが…」


「ああ、そういうこと。別にいいよ!すぐ終わるから待ってて!」


申し訳なさそうにお願いをするバリーに、クラウンは喜んで返事をし、さっさと自分の部屋を終わらせる事にした。


「申し訳ねぇ…。面倒かけちまって…」


「気にしないでっ!ぼくたち『友達』でしょ?」


嬉しそうに答えるクラウンの顔を見て、バリーは安堵する。その顔には一切不満が入ってない事を知って。もちろんクラウンに不満など無い。むしろ、『友達』から頼られてる事に喜びさえ感じている。


「よし、ぼくの部屋はこれで終わったよ!それじゃあ、バリーの部屋に向かおうか!」


「ありがとよ、クラウン!礼は必ずするぜっ」


クラウンとバリーは部屋から出て、バリーの部屋へと向かおうとする。その時、クラウンの隣の部屋から大きな音が聞こえた。2人は顔を見合わせる。何か大きな物が倒れた音に聞こえた2人はその部屋の前へと向かい、ノックする。すると部屋の中から「開いてるよー、助けてー」と声が聞こえた。慌てて部屋の中へと入ると、そこには本棚の下敷きになっている生徒がいた。


「うぉい!大丈夫かっ!?待ってろ、すぐどかすからな!」


バリーはすぐさま『肉体増強・火(パワーアップ)』を唱え、生徒へと向かう。クラウンも少し遅れて生徒のところへ行き、バリーと協力して本棚を動かす。2人で行動した為、素早く助けることが出来た。生徒は『治癒・土(ヒール)』と自分自身にかけ、立ち上がる。


「いててて…。あの…た、助けてくれて、その…ありがとう…」


前髪が目元まで伸びている生徒が2人にお礼を伝える。


「おう!いいってことよ!…それよりもおめーは大丈夫か?頭とかに傷はねーか?」


「は…はひぃ。…だっだいじょうぶれふ」


バリーが心配し、顔を覗き込む。距離が近かったのか、それとも言い方に怖がったのかは分からないが、生徒が一歩後ずさる。


「ん。大丈夫そうなら良かったぜ!…それよりもすっげー本の量だな…。これ1人でやってたのか?」


「は…はい。ほっ…本が好きなので…」


「ねぇ、バリー。君さえ良ければ手伝わない?また本棚が倒れても困るし」


「おー、そうだな!また助けが来るとは限らねーし。よし、おめー俺たちが手伝ってやるよ!」


「い…いえ。だ…大丈夫ですから…」

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