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白銀の英雄譚(仮)  作者: もぶいち
23/119

王立学園 -寮へ 1-

校庭に着くと、各クラス毎に整列していた。先に集まっていたバリーが手を振り、クラウンを呼ぶ。ガラガラと、荷物を引きずりながらバリーの元へと急ぐと何故か苦笑いしているアックスが目に入る。


「ん?ぼく、なんかおかしいとこあるかな?」


苦笑いしているアックスの目線はクラウンに向かっていた。みっともない所が有ったのかと思い、心配そうにクラウンが聞く。


「いやぁ…大荷物だなぁって思って…『小規模空間(ポケットスペース)』の魔法道具は持ってないのかい?」


「あっ…。そういえば持ってたんだった…。えーっと……どこにやったっけ?」


アックスの質問に焦ったように答えるクラウン。自分の荷物の中からゴソゴソと魔法道具を探す。


「荷物を入れる魔法道具を、荷物の中に入れておくだなんて………」


「ぶははっ。おいおい、クラウン。お前ってお笑いのセンス抜群だぜ」


呆れたように笑うアックスと、大声で笑うバリー。周辺の生徒たちも話を聞いていたのだろう。クスクスと笑い声が聞こえてくる。恥ずかしそうに荷物を収納し、魔法道具を腰に付けている鞄に入れる。


「忘れてたんだよ!…ぼく外に出るとき、荷物持つことなかったからさ…」


「ほぉー。クラウンはお坊ちゃんですからねぇ。フォークより重たい物は持った事がないですってか?」


「坊ちゃん言うなっ!それに、ぼくよりもバリーたちの方がお坊ちゃんだろっ!」


「いやー、流石にお坊ちゃんでもフォークより重たい物は持った事あるしねぇ」


「そうそう。お坊ちゃんだけど、『小規模空間(ポケットスペース)』ぐらいは使った事あるぜ」


言い返したつもりが倍に返ってきてしまい、クラウンは「口では勝てない」と悟る。


(ああー、どうにか話題を変えないとずっとイジられる!)


何か話題は無いかとクラウンは周りを見渡す。少しだけ注目を集めている以外、都合の良いものは見当たらない。逃げ場はない。そう思っていると、救いの手が意外な人物から差し伸べられた。


「バリーさんたち、少し声が大きいですわ。…ほら、ドラン先生がこちらを睨んでいますわよ」


声をかけてきたのは、風の公爵家の娘ヘレーナであった。


「お、ヘレナ。ちょっと聞いてくれよ。さっきクラウンがよー」


「もちろん知っていますわ。先程から大きな声でしたので」


「おんやぁー?盗み聞きかな?五大公爵の娘としては品がございませんこと」


「盗み聞きとは失礼な。大きな声でしたので、耳に勝手に入ってきただけです」


「ふーん…。それで?感想は?」


「大爆笑ですわ」


救いの手では無く、より状況が悪くなる人物の加入であった。今の心境からすれば、クラウンにとって敵と言っても過言では無い。その心境を察してか、ヘレーナがクラウンに声をかける。


「失礼な事を言ってしまい、ごめんなさいね。私はヘレーナ。ヘレナって呼んでください」


ニッコリと天使のように微笑むヘレーナに対し、クラウンは一瞬だけ惹かれそうになるが、無表情になり返答する。


「クラウンです。クラウンって呼んでください」


「あらあら、お固い方ですのね。…まぁ、私が悪いのは認めますけど…。だけど…」


ヘレーナはクラウンの耳元に口を近づけ、囁く。


「先程のままだと、延々と弄られていましたよ。そういうのには二人とも固執しますから」


そう言われたクラウンは、バリーたちを見る。ヘレーナの乱入により、先程の話題とは違う話題で二人は盛り上がってる。無理矢理だったが助けてくれた事には間違いないと、クラウンは考えヘレーナにお礼を伝える。


「…なんとも言えないけど、助けてくれてありがとう。ヘレーナさん」


「ヘレナで構いませんわ。クラウンさん」


「それじゃぼくのこともクラウンって呼んでよ。ヘレナ」


「ふふっ。わかりましたわ、クラウン」


クラウンにとって3人目の友達が出来た。だが、五大公爵家と初日で友人になるという事、しかも美男子と美女と友達になった事で周りからの目線は嫉妬だらけとなっていた。

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