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白銀の英雄譚(仮)  作者: もぶいち
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王立学園 -教室 5-

この学校、王立学園は全寮制であり成人を迎える16歳まで親元を離れ生活する。長期休暇には、家に帰る事も許されているが、それ以外では団体生活を学び[協調性]を育むことが主とされている。また、将来を見越しての布石でもある。


「あー、それじゃ説明するぞー。まず言っておくが寮は男女別だ。プリントを配るから場所を覚えておけよー」


ドランはプリントを各自に配りながら説明をしていく。


「寮監から説明が別途あるが、大体のことはそのプリントに書いてある。規則だからなー。粗相をする奴はキツーイお仕置きが待ってるからな。必ず守る様に」


「先生質問よろしいですか」


「ん、ヘレーナ。気になることあったのか」


「はい、全寮制ということですがお風呂の時間や、食事の時間などの記述が一切無いのですが」


「んー、いい質問だ。答えは、『わからない』と返させてもらう。………その意味は、寮監次第ってことだ。自由な寮もあれば、規則正しい寮もある。まーそれは運次第ってことだな」


ざわざわと生徒達が近くの人と話をする。知らない者が多いのであろう。兄弟がいる者は動じていない。


「お前らの寮は、寮監が選んだからな。俺たち教師は一切無関係だ。あとで愚痴を言われても俺たちには何も出来ないってことを覚えておいてくれ」


生徒達は、ドランの言い方に不満がある様で次々と文句を言う。長年教師をしているからなのか、この様な雰囲気に慣れているのかは分からないが、怒りもせず、開き直った様に言葉を繋ぐ。


「ああ、毎回言われるんだが寮を変えてくれとかの意見には、出来ないとだけ伝えておく。ごめんなー、力になれなくて。いやいや、ほんと申し訳無いわー」


生徒達の文句の声が次々と出る中、ドランはサクサクと話を進めていく。


「はーい、少し黙れー。…次に教科書類なのだが、各寮にもう届けてある。寮に着き次第、自分のを受け取る様に。あ、ちゃんと名前書けよ。毎年名無しの教科書が忘れ物で出てくるからな。面倒な事はさせないでくれー」


マイペースに話を進めるドランに、生徒達は呆れる。何を言っても無駄だろうなと、生徒達の気持ちは一つになった。それからは淡々と話が進んでいく。ちょこちょこと質問が出るが、そこまで時間を取る内容ではなかった。


「それじゃー、次の時間は荷物を持って校庭に集合してくれ。早速寮に向かうからなー。寮に着いたら暫くは教室に戻れないから、忘れ物はするなよー」


終業の鐘が鳴る前に、ドランは教室から出ていった。


「ふーっ……。なかなかいい加減な先生だな。この先少しだけ心配だぜ」


「…そうだね。凄く個性的な先生って感じがするよ…」


バリーとクラウンがそう話していると、アックスが否定的に答える。


「そうでも無いと思うよ。兄さんから聞いたけど、ドラン先生ってこの学校を首席で卒業したんだってさ」


「「ええーっ、嘘だろ」でしょ」


「信じられないと思うけど、兄さんの一個下なんだってさ。変わり者だけど、才能はピカイチだったって」


「マジかよ…信じられねーなぁ。いい加減そうなのに…」


「…見た目で判断するなってことなのかなー」


「先生の事知らなかったらそう思うのも当たり前だよね。でも兄さんのお気に入りだったみたいで、可愛がってたって聞いたよ」


「へぇー、お前の兄貴がねぇ……。なぁ、アックス…。その可愛がってたってどっちの意味なんだ」


「…さぁ、言葉通りの意味だと思うよ」


「………その含みを持たせる笑顔辞めてってば」


ドランについて話していると終業の鐘が鳴る。次は校庭に集合と伝えられているので、各自荷物を整理し、まとめ終わった者から校庭へと移動していった。

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