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白銀の英雄譚(仮)  作者: もぶいち
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目覚め -英雄の片鱗 5-

「「おい、どういうことだ!?」」


ノームは目を見開き、ジルは口を半開きにし、クージルに至っては勢いよく立ち上がったのだろう。足が痺れていたらしく、子鹿のようにプルプルと震えている。


その様子がとても可笑しく、クラウンは大きく笑った。


「あははは。みんないつもと違う顔だよ?そんな顔もするんだね」


クラウンが心の底から笑ったのを、3人は久しぶりに見た。しかし、それを見てクラウンは元気であるという事がわかった。もし本当に死を考えていたら、どうしようかと3人とも考えていたのだった。


「ゴホンッ……それで、クラウン。魔法が使えたってのは本当かい?」


「うん、話せば長くなるんだけど…」


そういうと、クラウンは今日あった出来事を話した。マリーに会いに神殿へ行った事。マリーに水属性の身体強化魔法を教えてもらった事。そして----


「それで、マリーのを意識してみたら出来たんだ」


そう言い、クラウンは立ち上がり----速度上昇・水(スピードアップ)と唱えた。そして、その場から扉まで動いて見せた。自信満々に魔法の効果を見せるクラウンに対し、3人はお互いに顔を見合わせ頷きあう。--これは事実だと。


水属性だった事には驚いたが、その様な事は今はどうでもいい。属性魔法が分からなかったクラウンが、属性魔法を使えたのだ。3人とも真面目な顔から、歓喜の顔となった。


「うおおおおおっ。クラウン魔法使えてるじゃねーかっ!よかったなぁ」


「本当にですよっ!本当に…本当によがっだっ…」


「ええいっ、誰か!誰か居らぬかっ。早くっ、早くっ!」


外に待機していたメイドが慌てて広間に入り、興奮しているクージルに話しかけられる。


「急ぎ、今起きている全ての者を広間に連れてきてくれ。話はそれからだっ。廊下は走って良い、今は品が無くても全て許すっ」


それを聞いたメイドは、慌てて一礼をし普段見る事の出来ない足の速さで扉の外に出て行った。そして、広間に居たトールに話しかける。


「すまないなトール。至急寝ている者たちを起こして広間に来させてくれ。申し訳ないが、私が呼んでいると伝えてくれ」


「---はっ。かしこましました」


トールも興奮していたのだろう。普段の彼からは想像出来ない大きな声で返事をし、急ぎ足で外へと出て行った。


それから、15分後。屋敷に勤める全ての者が広間に集まった。


「仕事中の者も寝ている者もすまない、まずは詫びさせてくれ」


緊張した面持ちをした使用人たちを前にクージルはそう言うと、頭を下げる。使用人達は今までに無いクージルの対応に声無く驚いた。長く勤めている者でも、このような事は初めてであったからだ。

何か非常事態が起こったのであろう--と考えた使用人達は、息を呑み、不安げにクージルを見つめる。


「ああ、すまんすまん…。説明を全くしていなかったな。お前達の顔に出ているような、悪い出来事ではない。…実はな私もさっき知ったばかりなのだが……………クラウンがついに魔法が使える様になったのだっ!!」


興奮を抑えない声でクージルは全員に伝える。一瞬、時間が止まった様に広間が静まり返る。


「「「「……---おめでとうございますっっ」」」」


静まり返った後は、歓喜と祝福の声の揺り返しであった。使用人たちは近くの者と肩を組んだり、万歳をする者、涙する者もいた。


「なのでこれから宴を開きたい。ああ、全員の参加を私は希望する。明日は午前中は何もないから、皆で飲もうではないか」


嬉々とした顔で、クージルの言葉に了承の返事を返し、使用人たちは各自準備を始めた。それから30分後、広間には数々の料理と酒が準備された。あまりの早さに少しだけ驚いたクージルであったが、使用人たちも嬉しかったのであろうと思い軽く頷く。


「それでは、皆グラスは持ったな。では………今日は非常に良い日である。皆も楽しんでくれ。----クラウンに乾杯っ」


「「「「「「かんぱーいっ」」」」」

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