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白銀の英雄譚(仮)  作者: もぶいち
119/119

-予選 クラウン 1-

クラウンが転移した場所は日差しが強い武闘場であった。観客席には影が出来るように屋根が付いているが、武闘場の上には無い。ジリジリと肌が焼ける様な感覚になり、汗もじんわりとかき始める。カンベエの説明を聞きながら戦略を練っていくと同時に戦力分析も行う。


(……2人いる。もしかしたら、マユリが言っていた兵士の人たちかもしれないな)


マユリから前日にその様な話をクラウンは聞いていた。クラウンの実力を測るため、兵士の中から精鋭を出して戦わせるだろうとマユリは考えていた。事実、マユリの考え通り一般参加者としてヨシツネは何人かを紛れ込ませていた。


(…どうやらぼくを調べてるみたいだ。偽装魔法は展開済みだから大丈夫だと思うけど、露骨に見られてるな)


クラウンを品定めする様に2人の選手が遠目から観察している。その視線を嫌に感じつつもクラウンは戦略を練り直す。


(2対1になったらこっちが不利だもんね。その前に決着がつけばいいけど。さて、どうしようかなぁ)


クラウンが習得したものは防御のみであり、広範囲魔法などは教えて貰ってはいない。空いた時間で調べてはいたが、どれも習得までは達しなかった。それに、エースからも止められているが、基本的に魔法を見せる様なことはしないようにと制限もかけられている。クラウンが戦う手段は、武術のみとなっている様なものだ。


(…あ、下級魔法で目くらましとかならいけそうだ。開幕直後にあそこらへんに火球(フレアボール)放って周囲を気絶させよう)


クラウンは周囲の状況を確認し作戦を練り終える。多人数戦は初めての事なので上手くいくかわからない。出たとこ勝負という気持ちで試合へと望む。クラウンの気持ちが決定するのを待っていたかの様にカウントダウンが始まる。3秒前に魔法を詠唱し開始と共に舞台中央へ火球(フレアボール)を投げつける。


クラウンの場合、ダメージよりも注目を集める意味合いで投げている。だが、クラウンと同じ考えを持っていたのか他の選手も同じように中央へ魔法を放っていた。運が良かったと言うべきか、水などの魔法が含まれてなかったので相殺はされなかった。しかし、風と火の魔法がぶつかり、小さな範囲魔法へと変わってしまう。結果、小さな炎の渦が出来て周囲に散らばってしまう。


(うわっ!まさかぼくと同程度の魔力を込める人がいたなんて!)


先も言った通り攻撃手段では無かったため、魔力は普通より少なく抑えていた。稀に魔法同士が複合し別の魔法へと変化する事がある。それはまさに今みたいな事になったのだ。


(…とりあえず周囲を気絶させよう)


思考を切り替え、近くにいた選手の首元に手刀を喰らわせていく。熱風から顔を守る様に隠していた選手は意識外の攻撃により瞬時に意識を手放していった。順調に4人ほど片付け、今度は警戒に入る。注意人物の行方も気になっている。


(…あの2人はあそこで逃げ回っている。攻撃しないのかな?それと…あそこの集団は混戦しているな)


ざっと見渡し戦局を確認し終えたクラウンは次の一手を打つ。


(よし、牽制の意味も込めてあの2人に飛び道具だな)


ポケットから手裏剣を取り出し、2人へと投げつける。この手裏剣はカンタから貰ったもので使い方も教えてもらっていた。


クラウンの投げた手裏剣に2人は気付くが躱しはしない。そのまま手裏剣は地面へと刺さる。その動作にクラウンはやはりと確信する。クラウンは牽制の意味で投げた為当てる前提では無かった。普通なら飛び道具に対しては躱すか撃ち落とすかを選ぶ筈なのに、2人はどちらも選択せず放置した。それは即ち、2人が実力者であることを決定づける反応であった。

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