表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
白銀の英雄譚(仮)  作者: もぶいち
118/119

-予選 ミリィ -

転移先ではバリーと同じような雰囲気であった。その中でミリィは静かに瞑想をしている。深く息を吐き、深く息を吸う。何度か繰り返すと心も体も冷静になった。


(さて、ヒューイさん直伝の技を駆使してっと)


バリーと同じ様に周囲を見回す。しかし、強者になり得そうな人物は見当たらなかった。


(うん。これなら先手必勝ね。開幕からぶっ放しちゃおーっと)


アネモネから教わった魔法を使う事にし、その後の行動をシミュレーションしていく。思考に囚われていると歓声が大きくなったのを感じる。カウントダウンが始まり、選手達は戦闘態勢に入る。スタートの合図と共にミリィは自分を中心とした範囲に魔法を使用する。


「--『海龍神(リヴァイアサン)の怒り・水』」


ミリィが使用したのは上級魔法で殲滅(・・)魔法である。術者を中心として周囲に大波を起こす魔法で、辺りを一掃できる強力な魔法だ。もちろん、無効化するのが目的なので威力は弱めにしてあるが、それでも中級クラスの威力である。


ミリィの放った魔法により、舞台は凄惨なものとなった。大半の選手が波に呑まれ、回避あるいは防御に徹した選手も戦意を失っている。舞台には波に呑まれ気を失った選手達が倒れ、その中心となっているミリィは笑顔を浮かべている。


「やったぁ!!大成功っ!あとは残る人たちを倒すだけだねっ!」


無邪気な笑顔で生き残った選手達に目を向ける。その目を向けられた選手達はギブアップを宣告していく。しかし、3人ほどまだ完全に戦意を失っておらずミリィと戦闘する事を選んだ。いや、ミリィと戦うというよりも徒党を組んで自分だけでも生き残ろうと考えている。


「ふーん、3対1かぁー。じゃあ、肉弾戦といこうか!」


ミリィは1ヶ月の訓練で純粋な戦闘狂へと変化した。ヒューイの影響が大きかったのだろう。バリーよりも肉弾戦を好む性格となり、森で戦った時の様な魔法主体の戦いとは違うものとなっている。目は爛々と輝き、3人相手にどうやって勝利を掴むかを考える。身体強化を重ね掛けし、威圧を放つ。その威圧に当てられた3人はミリィと戦う事は無謀だと完全に理解してしまった。


結局、ミリィがどうやるかを考えているとその間に3人での戦いとなった。1人が魔法を放つと開戦の合図となり怒涛の乱戦が始まる。乗り遅れたミリィが参戦しようとするが、意外にも隙が無く割って入る事が難しかった。


「なんでー!!あたしも入れてよー!みんな戦ってズルイよ!」


ミリィの言葉に審判役は苦笑する。実力差が浮き彫りになった試合で最後の1枠を争うのは至極当然の判断だからだ。ミリィが駄々をこねる中、審判は側に立ち寄り勝利を告げる。あくまでも予選であり、判断を任せられてる立場としては正しいだろう。


結果、15分程で最後の1枠が決まりミリィは無事に予選を通過した。観客はド派手な魔法とミリィのルックスに大歓声をあげる。その歓声に気を良くしたのか、先程までブツブツと文句を言っていたミリィは笑顔になり舞台から退場していく。何はともあれ、ミリィは本戦出場を勝ち取る事が出来た。


後の話になるが、ミリィの戦闘は話題となりクラウン達の耳にも入る。クラウン達男連中は、何があってもミリィだけは怒らせない様にしようと固く誓うのであった。


また、会場にいた観客の中でミリィのルックスに惹かれた男がいた。その男をリーダーとしたミリィのファンクラブ--非公認である--がポートセルム宗教国家においての一大勢力となるのはまた別の話であった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ