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白銀の英雄譚(仮)  作者: もぶいち
116/119

-予選 バリー 1-

バリーが目を開けるとそこは既に闘技場の上であった。周囲を見渡せば観客が大勢居て、バリー達に声援を送っている。地鳴りのような声が響く中バリーは出場者達に目を向ける。


(雰囲気に呑まれるな!ヒューイさんの教えを思い出せ)


見えない重圧がバリーを襲うが、思考は冷静であった。ヒューイから教えてもらった技術『分析眼』を行い、強者がいないかを索敵する。


(…4人ほどいるな。しかし、苦戦するレベルではないな。徒党を組まれたら厄介だがその前に潰せばいけるか)


闘技場には40人程の選手が待機している。リラックスしている者もいれば、緊張している者もいる。しかし、バリーが気になっている4人は武器に手を置き周りを隙なく警戒している。倒す優先順位を考えていると場内にアナウンスが響く。


『えー、あーあー。皆様聞こえますか?あと15分ほどで全出場者が転移し終えるのでそれまではその場で待機をお願いします』


聞き覚えのある声にバリーは苦笑を洩らす。


(おいおい…。カンベエさん、司会をやらされているのかよ…)


『えー。私はホウジョウ家近衛のカンベエと申します。今回の武闘祭の運営責任者であり、司会を務めさせていただきます。以後、お見知りおきを』


カンベエの声に観客達は湧き上がる。バリーには分からないが、観客達からは大人気のようだ。事実、クラウン達は知らないがカンベエは近衛の中でも有数の実力者であり数々の武功を挙げている。密かにファンクラブもあるのだが、意外にも男女半々で構成されている。


『えー、受付にもこのアナウンスは届いているので先にルール説明を行います。しっかりと聞いてください。あ、観客の方々はすこーしだけ声を抑えてくださいね』


不思議とどんな表情で喋っているかがバリーには分かった。カンベエという人物は誰にでもフランクに接しているようで、小さな笑い声と共に会場は少しだけ静まり返る。


『はーい、それではルール説明をします。まずこの予選はバトルロイヤルとなっていて、今回は特別に上位2名が本戦出場の切符を勝ち取ることができます。勝敗は相手を戦闘不能にさせるか場外に弾き出すか。もちろん、殺すのは御法度ですが大怪我までならオッケーです』


意外と厳しい条件にバリーは顔をしかめる。死にさえしなければ良いというルールに気を引き締める。


『もちろんギブアップも可能ですからね。それと、舞台の横には治癒師が10名待機してますのでご安心を。それと、審判役として5人配置しております。この方々には試合を止める権限を持っているので、危険と判断した場合即座に止めに入るので攻撃しないように』


カンベエが紹介すると、周囲にいた審判役が頭を下げる。ちらりと横目で確認すると胸元によく知っている国旗が描かれている。


『えー、今回は特別にエイジニア王国より騎士団の方々を派遣していただいてます。実力はご存知の通りだと思います。なので、素直に従うようにお願いします』


思いもよらない賓客に観客達は歓声をあげる。他国の騎士団を見る事は滅多に無いが、実力は知っている。例年よりも豪華な武闘祭となっている事に観客達は興奮のるつぼだ。


『いやー、凄い盛り上がりですねー。しかし、まだまだサプライズは残っておりますよ!なんと!今回の武闘祭にはエイジニア王国の公爵家の方々が力試しで参加しております!』


カンベエの言葉で観客の視線が集中するのがわかる。またもや重圧に押しつぶされそうになるが、冷静を保つよう心掛ける。


『ちらっと賭けの倍率見ましたけど中々面白いことになってますねー。オレもある人物に賭けてますけど、楽しみですね!皆さんは誰に賭け痛ッ!!!!』


誰かに殴られた様な音が響き、アナウンスからは小さく怒号が聞こえてくる。毎年の恒例なのか観客達からは失笑が洩れている。しばらくすると、平静を装った声が聞こえてくる。

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