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無能にだって世界は救える!  作者: 結城 夏月
壱章 異世界に放り出された無能
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-目標へのはじめの一歩!-

 "瞬風"の加護を受けた両脚がまるで風のように軽くなるいつもの感覚。

 あと少しで、あと一歩で刃が届く。


「関西弁がなんか知らんけど……うちが使えるのが捕縛術だけやと思ったら大間違いや! "嵐舞"!」


 流の右手に持つ呪符が緑色に輝き、流を中心に狂ったかのように風が吹き荒れた。

 あと一歩だったのに……!

 天音は吹き狂う風に吹き飛ばされた。

 だが、まだ負けが決まった訳じゃない。

 詠唱省略という半分チートのような能力の持ち主にだって、何か弱点はあるはず。


「"烈火の炎は神をも焼き付くさんと怒り狂う……」

「そんな陰陽術使わせる訳ないやろ! "消魔"!……あれ?」

「蒼炎は主を守らんと怒り狂う……」

「なんで発動せんのや!……こんなときに呪力切れ!?」


 やはり"消魔"の使用には大量の呪力が必要だったようだ。

 もうこの戦いで呪符を無効化されることは無い。

 現状、天音が使える最強の呪符の力を解き放つ。


「双炎は我の剣と盾とならん……双炎龍撃天照"っ!!!」

「こんな大規模な陰陽術……うちにはとても防ぎきられへん……あっぱれや……一本取られてもうたな」


 天音の呪符から発現した龍の形を模した赤と青の炎は流に直撃する寸前に消滅した。

 もちろん、その陰陽術が直撃したらいくら流でも死んでしまうからだ。


『ウィナー! 勝ったのはまさかの超新星! 八重樫天音だあああああ!!』


 審判が興奮して大声で叫んだ。

 観客たちは始めはあまりのうるささに耳を塞いでいたが、叫び終わると同時に大きな拍手を送ってくれた。


「あんた……思っとったより強いわ! 少し惚れてもうたやん! でも、次は負けへんからな?」

「あ、あぁ。俺だって次も勝つさ」

「そうそう! その意気込みや! じゃ、またどこかで会おうや。またな〜!」


 惚れたのなんだの、少し気がかりな事も言っていた気もするが、とにかく不思議な少女だった。

 流との戦いで多くのものを得ることも出来た。

 そして俺は……陰陽師になったんだ!

 早速月影に報告しなくては……!

 天音は任命式を終え、晴れて陰陽師になった。


「やってやるぞ……無能にだって世界は救えるんだってことを証明してやる!」


 天音の叫び声は遠くまで響き、大空へ溶けていった。


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