表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
無能にだって世界は救える!  作者: 結城 夏月
参章 第二次霊大戦
21/33

-少女の秘密-

《王国騎士団》。

トーナメントを勝ち抜き、頂点に君臨した強者に与えられる職業。

(ゴースト)》を殺し、世界に安寧をもたらす神の使い。

自らの力を《神力 (陰陽師でいう呪力)》に変換し、《騎装 (陰陽師でいう呪装)》という神に与えられた武器を用いて戦う。

その戦闘力は一人で一個旅団分を誇る。


神崎(かんざき) 木乃葉(このは)の話をしよう。

彼女は実力上、王国騎士団の序列二位に君臨するれっきとした実力者。

相棒は《騎装アテナ》。

大きめのハンドガンの形をした二対の拳銃で固有能力として『使用者の神力に応じて弾丸の威力が上昇し、結界をより強固にする』という能力をもつ。

もちろん木乃葉の神力は一級品。

質も量も他の騎士とは比べ物にならない。

そして、彼女には秘密がある。

それは『天音(あまね)と出会うほんの少し前までアテナと共に封印されていた』ということ。

木乃葉がアテナと共に行く場所にはいつも戦いが起こった。

まるで存在が戦いの開始を示すゴングのように。

何代も前の騎士団長は考え抜いた結果、封印することにした。

彼女はその実力をコントロールしきれずに一般人に多大な被害をもたらしたからだ。

昔の木乃葉を知るものは彼女の名をこう呼ぶ。

"破壊の戦女神"と……






「とりあえず、事情はわかった。このははこれからどうする?」

「そりゃもちろん! 戦うよ?」

「それしかできないからか?」

「何言ってるの? 当たり前だよ!」

「そうか……お前はお前でがんばれよ。俺達は俺達のやり方で戦う」


天音は鈴花(すずか)と共に踵を返してこのはの家を出た。

このはは彼女なりの理由で戦うのだ。

天音たちの目的は復讐。

世界を救うなんていつの間にかついでになってしまった。

これで……いいのだろうか……






「そういえば、天音さんには私の呪力の色、教えましたっけ?」

「ん、いや、知らないな」

「私の色は《青》です。それも、かなり純色に近いです」

「《青》って何特化だっけ?」

「そうですね。自己強化に優れていると聞きます。呪符を書けるのもこの色の恩恵があるからなんですよ」

「なるほど……」


帰り道、のほほんとそんな会話をしていると、鈴花の携帯型端末に着信があった。


「こちら陰陽師の天野(あまの)です。なんの御用でしょう?」

『《陰陽師会》の原谷(はらや)だ。お前と八重樫(やえがし)には直ちに本部へ来てもらいたい。以上だ』

「わ、わかりました」


鈴花が少し怯えたような表情になる。

電話の相手はそれほど目上の相手なのだろうか?


「天音さん、《陰陽師会》から招集命令がありました。急いで向いましょう。何やら嫌な予感がします……」

「わかった。急ごう!」


天音と鈴花は"兎跳"を使って宙を走るようにして本部へ向かった。




跳び続けること約十分。

ようやく本部に到着した。

入口の案内人の指示に従い、大きなビルの十五階でエレベーターを降りた。

案内された部屋の扉を開ける。


「待っていたよ未来ある陰陽師たち。私が原谷だ」

「お待たせしました。天野と八重樫です。話とは?」


髭の生えたイカツイ顔のご老人、原谷は腕を組んで話を始めた。

見た目はヤクザとかマフィアの秘密会議にも見えなくはない。


「君たちが王国騎士団の神崎と接触したとの報告を受けた。彼女は騎装を使っていたか?」

「はい」

「そうか……」

「どうしましたか?」

「お前達は知らぬかもしれんが、学校で習ったことはあるだろう。《霊大戦》……聞いたことはないか?」

「なんじゃそりゃ……」

「天音さんは黙っててください。あります。霊の恐怖を人類が思い知った戦争ですよね?」

「そうだ……」


何やら重い話になっているようだが、異世界人の天音には何が何やらでなにもわからない。

しばらくの間をおいて、原谷が口を開いた。


「起こるかもしれない……二回目の《霊大戦》が……」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ