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無能にだって世界は救える!  作者: 結城 夏月
壱章 異世界に放り出された無能
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-無能への道しるべ-

 とりあえず地図を入手した。

 この世界はめちゃくちゃに広い。

 地図を見ればほとんどが陸地なのだ。

 地図をくれた人が言うに、地図の隅に見える海より先はまだ誰も見たことがないらしい。

 そして、その海の名前が魔海。

 その魔海には強力な《(ゴースト)》という生物?が大量に生息していて、それと戦う《王国騎士団》も歯が立たないらしい。


「ここにきてやっと異世界らしいものが……! 霊かぁ……俺は王国騎士団になってそれを倒せばいいんだなっ!」


 俺が地図をくれたおじいさんの前でそう言うと、


「王国騎士団はやめておけ……とても凡人にはなれる職業ではないのじゃ……」


 おじいさんはそう言って歩き去っていった。

 少しムカッとしてしまった。


「俺はこう見えても選ばれた勇者なんだぞー! おのれぇ〜見てろぉ!」


 天音は遠くなったおじいさんの背中に向かって叫んだ。




 次にギルドというものを見つけた。

 ここでは様々な仕事の説明や相談に乗ってくれるらしい。

 天音は自信満々でカウンターに並んだ。

 そして、天音の番が来る。


「次の方、どうぞ〜!」

「は、はーい。お願いします!」


 そのカウンターに立つ女性はとても綺麗だった。

 しかも、胸がでかい。


「ご相談ですか? 案内ですか?」

「んーあー……どっちもなんだけど、そ、そのぉ……王国騎士団ってのにはどどどうやったらなれるんですか?」


 コミュ障全開。

 現世でちゃんとコミュニケーションをとる練習をしておけばよかった。

 自分でも引くほど噛んだ……


「え…………そのぉ……王国騎士団というのは選ばれた精鋭だけがなれる職業でして……あなたの体格では少し無理があるかと……」

「そんな馬鹿な!?」


 確かに身長はそんなに高くない。

 それはまだ高校生だから許して欲しい。

 でも、体は鍛えている。

 いつ引きこもりの生活とおさらばするかわからなかったからだ。


「その、試験みたいなやつはあるのか?」

「え、えぇ……ちょうど明日向かいのコロシアムで行われますが……私はオススメはできま……」

「わかった! 俺は出るぞ!」

「でも……優勝した一人だけしか……!」

「問題ない! 俺は勇者になる男だ!」


 その試験の概要が書かれた紙を見る。

 どうやら木剣を使った模擬戦らしい。

 相手の剣を手から落とすか、相手を降参させた方が勝ち。

 極めて簡単なルールだ。

 もちろん剣なんて握ったことはないが……


 そして、自分を勇者と信じていた男の自信はいとも簡単に打ち破られる……




 試験当日。

 待機室には見ただけで強者とわかる者ばかりが集っていた。

 やはり天音は浮く存在なのだろう。

 ムキムキの男が話しかけてきた。


「おいおい……おいおいおいおい! 兄ちゃんみたいなガキがここでなにしてんだよ。ここはお前みたいなガキが来る場所じゃねぇ! わかったならとっとと帰んな!」

「言ってくれるじゃねぇか……ぶっ潰してやるよ! てめぇみたいな筋肉の塊、相手にもならねぇよ!」

「ワハハッ! 気に入った! こいつぁおもしれぇ兄ちゃんだ!」


 元々悪い目つきをさらに悪くする天音と楽しげに笑う巨漢の男。

 二人は何故か楽しそうだった。


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