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無能にだって世界は救える!  作者: 結城 夏月
参章 第二次霊大戦
15/33

-これが女の戦いだ-

 

「さぁて……終りにしようぜ! 八重樫(やえがし) 天音(あまね)!」

「貴様だけは……許さない……絶対に……!」

「ハハハハッ! お前も同じ場所に送ってやるよ!」






「どうして俺がこんなことを……」

「ほらほら、修行の一貫やと思いや。知りたいんやろ?

 《無詠唱》の使い方」

「確かにそうだけど……これはな……」


 《(ゴースト)》の襲撃から一ヶ月。

 天音は現在、(ながる)による呪符の無詠唱を覚えるべく修行を受けていた。

 今は何故か座禅を組まされて、頭や両肘、両膝に水の入ったお椀を乗せられている。

 流は悠々と紅茶を飲んで天音を眺めてニヤつく。


「ほらほらぁバランス崩れてるで〜?」

「うぐっ……」


 流曰く無詠唱に必要なのは集中力と想像力らしい。

 詠唱を頭の中で行うイメージ。

 流はそれを簡単にこなしてしまうので末恐ろしい。


「ほな、そろそろ実践といこか」

「やっとか!」

「そやな、とりあえず一番得意な呪符、使うてみてや。もちろん、無詠唱で」

「い、いきなりできるかな……」

「教えたとおりにやったら大丈夫なはずやよ」

「わかった……"瞬風"」


 教えられた通りに呪力を高めてイメージする。

 イメージする内容は普段と変わらないがより鮮明に想像しなければならない。

 フワッ、といつもの浮遊感。


「おぉ〜」

「できた!」

「やるやん! 流石自称覚えが速い天才児」

「や、やめろよそういうの……今思えば恥ずかしいんだよ」

「ぷぷっ! やーいやーい天才児〜」

「や、やめろおおお!」


 傍から見れば完全にイチャイチャしているようにも見えなくはない。

 事実、天音は流のことをかわいいとは思っているし、流は天音に惚れているまである。

 基本鈍感な天音は気にしてはいないが……。

 すると、ドンッ、と道場の扉が開かれた。

そこには見覚えのある顔。

鈴花(すずか)がいた。


「天音さん! 他の流派の道場で……しかも女の子とイチャイチャして……! 恥を知りなさいぃぃ!」

「鈴花さん!?」

「あらまぁ。あんた誰か知らんけど、天音はうちがもらうで〜?」

「流っ!? お前何言って……」

「わかりました……勝負しましょう五十嵐(いがらし) 流。私が勝てば天音さんは私がもらいます」

「ええで? その代わり……うちが勝ったら天音はこれから朧月流陰陽師になってもらうで」

「えっ!? ちょ、おかしくね!?」

「いいでしょう」

「俺がよくないよ!?」


 かくして朧月流陰陽術の流と月影流陰陽術の鈴花の戦いが始まった。

 何故かかけられているのが天音なのに天音にはなんの決定権もない。

 だが、鈴花の陰陽師としての実力も非常に興味深い。

 なんといったって月影(つきかげ)の妹。

 そして、れっきとした陰陽師であり、呪符の作成も可能というよく良く考えたら凄まじい実力のように思える。

 それでも、天音は鈴花が戦っている姿を見ていない。

 おもしろくなりそうだな……俺がどうなるかわからんけど……

 しばらくすると和服姿の二人が姿を現した。

 お互い、やる気は充分そうだ。


「ほな、始めよか! 真面目っ子」

「始めましょう。方言娘」


 これは嫌な予感がするな……

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