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異世界で一番の嫌われ者は誰ですか? ーー俺だと思いますーー  作者: 黒猫
一章 〜ただ産まれた時から人間だったというだけ〜
1/3

陽はまた昇り、いつかは沈む。1

目を覚ますと辺りには木々が広がっていた。

時間帯としては朝真っ只中らしい、未だに鳥が鳴いていた。

それにしても......


「此処って何処なんだ......?」


そう、其れが誰しも最初に抱くはずの疑問。見知らぬ場所、見知らぬ景色。

そんな状況下に慣れているのならばいざ知らず、生憎この様な体験一度とすらした事は無かった。

自分は手を、足を、全身をくまなく調べる。


「...............」


変化は無い。寧ろ逆に変化が無いというのが気味が悪かった。




.........?気味が悪い?





いやいや、変化が無いのならば其れでいいでは無いか。

無事なのが一番に決まっている。じゃあ......何故...何故そんな事を考えたのだろう......。

......気になっても仕方が無い、兎も角今は自分の身の安全を考える事だ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー












ーーまずい事になったーー


自分は森を彷徨いながら、

ゆっくりとその言葉を口にした。その間にも自分は足を一歩、また一歩と進ませる。

その際に重大な問題に気付いた。



”何も持っていない,,



此れはかなりまずい案件である。

見知らぬ土地、見知らぬ場所に辺鄙な道の上に気絶していた。

そんな訳のわからない状況下のうえ、何の所持品すら持っていないとなると......

その先に待っているのは少なからず『死』である。

ああ、そんな事を考えていたら胃が痛くなってきた......

自分は辺りを見渡す。......見渡したとしても木々しか見えないのだが......

どうすれば良いのだろうか...

すると、目の前に看板を見つける。


こんな場所に急に都合よく看板が現れるなんて......幸運すぎる!!

けれど.........何だ?


「この先、○*☆〆$の街......?」


.........奇妙な羅列に戸惑う自分。何だ、頭でも打って脳内の言語中枢でも狂ったのだろうか。


「.........」


自分は近くにあった木の棒を持ち、地面に漢字や何やらを書く。

「怠惰」、「卑屈」、「希望」.........。

大丈夫だ。自分がおかしくなっただとか、そういうことでは無いらしい。

あれ、書いてる字、無意識だったけど重くない.......?まぁ......良いか。

其れを確認して、再びその問題の看板を見る。

...............。


「...............」


駄目だ、分からない。

何か、自分の中の内に秘めている力が覚醒するとかうんたらかんたらな状態にでもなるかなと若干、淡い期待も持っていた訳ですが......見事にぶち壊されましたね、ハイ。


「.........とにかく看板に書かれてる様に歩くか......」


書かれている内容は右に500m先と書かれていた。

......何故、大きく書かれている町の名前が変な羅列にしか見えないのが腑に落ちないが妙な勘ぐりをするのは辞めておく、あまり興味も無いし、面倒くさいし。


「.........歩くか、悩む暇なんてないし......」


と、此処までは良くある事である。

ファンタジーやら異世界やらそういうジャンルの主人公が良く体験する事。

その世界の異文化に慣れきれない、其れは当たり前の事だ。

見知らぬ世界に突然飛ばされ、其処に急に馴染めと言われても最初は混乱するだけだが......

ならば此れもまたその異世界とやらの歓迎なのだろうか。


.........ドドドドド。


......ドドドドドドド。


...ドドドドドドドドドドドド。


真後ろから次第に近づいてくる轟音、その音はまるで地鳴りの様に響く。

流石に不思議に思う、なので体を後ろに向けた。すると、




















「ブオオオオオオォォオ!!!」


.........巨大な猪だった。

その巨軀な体は剛毛に包まれ、鋭く尖っている牙は木を薙ぎ倒していた。

まるでその様は、暴れ馬の様に凶暴で、激流みたいに真っ直ぐに突進してきた。


「ブオオオオオオォォオ!!!!」


.........一言。













「......どうしよう」


本当、どうしよう。













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