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目立つ影で

 ああ、いらっしゃい、こんばんは。お買い物ですか? そうですか、いい物が見つかるといいですね。おや、きょろきょろしてどうしました。何、私の姿が見当たらないって? それは失礼いたしました。

 見上げてください。店の看板が見えるでしょう? いえ、私は看板ではなく、看板を照らしている照明でございます。丸い電球のはまった、黒い針金の体をしたのが見えるでしょう。それが私でございます。ああ、あまり見つめない方がいいですよ。強い光は目に毒だと言いますからね。

 何故看板だけ照らすのか、とおっしゃるのですね。お気持ちはわかりますよ。人々の手元足下を照らすのには何の役にも立ちません。ですが、これが私の使命なのです。店の名前を冠した看板を目立たせる。私自身は目立ちませんが、これはこれで重要な仕事なのです。人間は暗いところでは物を見ることができませんから、せっかくの看板も暗くては意味がありません。つまり、私たちは見せる物を見せるために毎晩働いている訳です。どうです、殊勝な働きぶりでしょう。


 ところで、こんなところで寒いのではないかとおっしゃるのですね。正直に言いますと、熱いです。だって私は、光っていますから。光っている間は、冬の夜でも熱いのです。光らない昼間の方が寒いくらいです。ここは風を遮る物もありませんし、風が強い日が一番寒いですね。

 私と同じ仕事をしている仲間の中には、看板の“中”で仕事をしているものもいます。ほら、看板が自ら光っているタイプのもの、見かけたことはありませんか? あの中にいれば、風なんて気にならないと思うんです。虫だってぶつかることはないでしょうし。

 そうそう、光っていると、虫が飛んでくるのですよ。蛾や小さな羽虫達が私の光をめがけて真っ直ぐに。冬はともかく、夏が一番嫌ですね。うるさいほど飛んできますもの。おまけにその虫を狙って、蜘蛛までやってきます。あの細ーい糸をまき付けられるのは、やはり気持ちのいいものではないですね。


 すみません、そちらは寒いのに、少々話し込んでしまいましたね。いえいえ、私のことはお気になさらず。最初の通り、お買い物を楽しんでくださいませ。

 というわけで、「看板を照らす照明」でした。

ふとマンションの名前を照らす照明を見つけて、思い立ってしまいました。

しかし、書けるほどネタが膨らまず……私もまだまだ精進が必要ですね

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