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ラブストーリー

作者: 辛酸なめお

貴雄の場合― 一日目


貴雄は重い腰を持ち上げた。また今日も一日が始まる。貴雄はもう32歳だ。今働いている会社では課長を勤めている。大変ではないけどやりがいのないそんな仕事ばかりをやらされる立場だ。不満を感じながらも生活を保つために仕方なく続ける・・・そんな毎日。

 しかし、そんな貴雄にも心癒す存在がいた。恋人の菜々子である。同じ会社に勤めるOLだった菜々子に想いを寄せていた貴雄は菜々子にアプローチして二人は結ばれた。二人は籍を入れていないが幸せな日々を過ごしていた。

 今日も菜々子に会える。それだけで貴雄の心は弾む。貴雄は壁に掛けた鍵を手に取り出勤した。


江梨子の場合― 一日目


江梨子は法律事務所に務める弁護士である。しかし法廷に立つことはあまりなく、いつもは六法全書と向き合っている。子供の時から勉学に励みやっと手にした弁護士という肩書きだが、江梨子はそれに満足しなかった。自分にはほかにやりがいの感じる仕事があるかもしれないと思っているが、十分な収入もあるためなかなか自分の殻から抜け出せずにいた。

 江梨子には10最離れた義男という年上の恋人がいる。まだ20代の江梨子にとっては言葉を交わすだけで知識が深まる、そんな気がしていた。

 今日も江梨子は事務所に行く。義男に会うのは仕事の後だが今からでも心弾む。江梨子は壁の鍵を手に取った。


貴雄の場合― 二日目 

 昨日、貴雄は菜々子と喧嘩してしまった。ほんの些細なことだったが、激しい口論になった。

(いい加減けじめをつけなくては・・・)

貴雄は今日有給休暇を取った。


江梨子の場合― 二日目

 義男はやはり素敵な人だ。私の知らないことをたくさん教えてくれる。江梨子は義男に会えてとても嬉しく思っていた。それよりも昨日は義男からプロポーズがあった。このうえない幸福感。

 そして江梨子は今日、市役所へ必要な書類を取りに行く。


最後に―


市役所での用事を済ませたあと、江梨子はファミレスに行った。江梨子はここである人物を待っていた。5分も経たないうちにその人物がやってきて、江梨子の対面に座った。

少し沈黙が続いたが、江梨子が口火を切った。






「貴雄さん、離婚しましょう」

そう言って江梨子は目の前の男に離婚届を突き出した。




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