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2-2

あ、この依頼内容を見た時点で、断る事はできないから。


ネリーにそう言われて泣く泣く受けたこの依頼。

第一王女の城脱走のお手伝いは、一歩間違えれば王女誘拐事件の犯人となるほど危険な仕事だ。

信頼できる人にしか任せられないため困っていたらしいが、信頼されている事に喜べばいいのか、それとも面倒な依頼を押しつけられた事を悲しめばいいのか。


あと、これがバレたらレオンにどんな顔して会えばいいのか…。


「はぁ」


鈍色の情報本を見ながら溜息をつく。

今見ているのは勿論エリシア姫の事。

犯罪者にならないためにも彼女の事は知っておかなければいけない。




エリシア・リンド・リア・レキルス

レキルス王国第一王女

金髪に緑の瞳をもつ10歳

幼い頃からクリエッタ病にかかっており、周囲の過保護により城をでた事がない




クリエッタ病ってなに?

思うと反対側のページに情報が出てくる。




※以下の事は創造主にしか知られていない


クリエッタ病

体内の魔力の器が大きすぎるものが神竜の涙を飲むとかかる事がある

通常なら外に逃がす力まで受け止めようとするため身体が脆くなるが、死ぬ事はない

患者は常に体の何処かに痛みを感じる

コリの果汁を聖水で薄めた薬を飲むと治る




この情報は神様しか知らない情報だったらしい。

どうりで皆が「王女は原因不明の病にかかっている」と言っているわけだ。

神竜の涙なんてそうそう飲めるものじゃないし、その力を全て受け止めるほどの魔力量なんて世界に数人しかいないだろうから、当たり前だな。

今まで発病した人がいなかったのだろう。


しかし、コリの果汁か。

あの果実には確か食べた人の魔力の一部を体外に放つ効果があったはず、その効果を聖水で強めて身体に染み込ませるのか。

なるほど、普段は毒薬扱いされているから誰も飲ませなかったのだな。


パタン、と本を閉じて傍らに置く。

依頼を受け(させられ)たのが朝の早い時間だったので、今は午前9時ごろである。

窓の外ではいつもの半分くらいの人が歩いている。


「どうやって迎えに行こっかなぁ…」


依頼によるとエリシア姫は昼食を食べ終えた昼の1時に私の部屋に忍び込んで迎えに来てほしいらしい。

王城に忍び込むことの難しさを彼女は絶対に分かっていないだろう。

ギルドの者かどうかは、私の胸元にある受付で渡された銀のペンダントで確かめる。

その後城下に脱走、いろいろ買い物をしたりして夕方6時の夕食までに城に帰るらしい。

もしも誰かにバレた場合は、王女がギルドの依頼書を見せてきちんと説明するそうだ。


すごい計画だ、普通のお姫様が考えるとは思えない。


「とりあえず、まだ時間があるから薬でも買いに行こう」


実は、コリの果汁も聖水もそこらの店で買えるような物だったりする。


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