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2 エリシアの病

今日はお店の定休日だ。


ついでに、この世界の時間について説明しておく。

1年は365日くらいで6ヶ月、1ヶ月は約60日で、紫月、青月、緑月、黄月、橙月、赤月と並ぶ。

1週間は6日で、月の名前と同じように、紫の日、青の日、緑の日…となる。

1日24時間、1時間60分、1分60秒というしくみ。

ほぼ地球と同じだ。


『サクラ』の定休日は毎月第一、第五の紫の日と青の日である。

今日は紫の日、つまり連続2日間の休暇の1日目。


する事は毎回決まっていて。

ギルドに行って依頼を受けまくる。

そして運動しまくる、これにつきる。


休暇なら休んだ方がいいのかもしれないが、普段の仕事でカウンターに座ってのんびりする事が多いので休暇くらいは動きたい。

そして前の世界ではできなかった事をしたいのだ。





_*____*_





ギルド内に入ると騒がしかった室内が一瞬静まり返り、視線がこちらを向く。

だがそれも一瞬で、部屋はまた元の五月蝿さを取り戻す。


女性、ましてやまだ十代の子どもの冒険者は珍しいので仕方がないのかもしれないが、ジロジロと私を見るのはやめてほしい。

そう思いながら受付まで歩いていく。


「あら、シーナじゃないの。久しぶりね」


向かった先にいるのは薄緑色の長髪をゆったりと三つ編みにした優しげな女性。

私の馴染みのギルド受付嬢であるネリーだ。

年齢は25歳で夫と子どもがいる立派な母親なのだが、子どもが学校に通い始めて時間が空いのでギルドマスターである祖父に頼んで受付嬢をしているという、少し変わった人。

たまに夫との惚気話や親バカな発言をしなければ、仕事のできる美人さんである。


「ネリーさん、何かいい依頼ありますか」


「そうねぇ…あ、これなんてどうかしら。新作ケーキの試食、条件は十代の女性」


ペラリと私の前に差し出した紙の依頼者の欄には王宮御用達と呼ばれる超有名菓子店『パティス』の文字。

ちょっと…いや、かなり気になるが今回はやめておく。

とにかく今は運動したい、遊びたい。


…いや、べつに体重が気になるとかじゃなくて。


「…できれば討伐系でお願いします」


「あら、もったいない」


彼女は紙をファイルにしまうと、別の灰色のファイルから似たような紙を取り出した。

確かそのファイルは極秘の依頼とかが入っていたはずだ。

私に見せたそれには、とんでもない事が書いてあった。



脱走を手伝ってください

依頼主:エリシア・リンド・リア・レキルス

報酬:お互い話し合って決めます

内容:みんなが過保護なので城の外に出れません。城下に行ってみたいので、その為の脱走を手伝ってください。



…この依頼主って、もしかして第一王女のエリシア姫ですか?


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