閑話 出場の報告
いい題名が思いつかない…
「シーナ、今年の冬祭り一緒に回らない?」
アイリスからそんな誘いを受けた。
『サクラ』の店内には相変わらず客は常連でたるアイリスとレオンしかおらず、彼女達はそれをいい事に紅茶と菓子を食べながら世間話をしていた。
「すいません、今年は用事があって忙しいので無理そうです」
「そうなの、残念。何かあるの?」
「えぇ、武闘大会に出場しようかと……」
「「は!?」」
アイリスとレオンが同時に素っ頓狂な声をあげる。
そんなに意外か、これは?
アイリスにいたっては机を叩きながら叫んだために、その振動で置いていた紅茶がこぼれそうになった。
しかも、ガチャンと大きな音をたてたので、保存の魔法をかけているとはいえ割れていないかどうか心配になる。
家の中の家具には一応その魔法をかけているのだが、けれど大切に扱ってほしいと思う。
「…シーナ、それは危険だ。やめておいた方がいいと思う」
「そうよ、会場が血で染まるわ!」
レオンの言葉は本気で私を心配してくれている事が分かる。
彼には私の実力を見せた事がないから、毎年死人が出る可能性が高い危険な大会に出る事を無謀と思っているのだろう。
自分でも私は好んで運動するようなものではなく、むしろ室内で本を読んでいる方が好きそうな印象を与える幼い容姿だと分かっているので、余計に心配になるのだろう。
それに比べて、アイリス。
あのセリフは酷い。
いったい私を何だと思っているのだろうか
私は化物かなにかなのか?
少なくとも友人に向けるような言葉ではない事は確かだ。
意図的に背後に不機嫌オーラをだしながらアイリスを睨むと、彼女も自分がつい言ってしまった失言に気づいたらしい。
「ご、ごめん。そんなに怒らないでよ…」
すぐに謝ってくれたので謝罪を受け入れて、オーラを消す。
因みに先程のオーラは魔法で作った幻覚なので視覚可能です。
レオンが状況についていけず目が白黒しています。
「とにかく、今年は大会で良い結果をとるつもりなので、応援よろしくお願いしますね」
ニッコリと言った。
いい成績というか、優勝をとってこいと言われましたけれどもね。
大会で不利な魔法使いであるため参加しないアイリスは頑張れと言った。
だが、レオンはそれにまだ納得できていないらしく、すこし不満気な気持ちであった。
「血で染まる、というか、血の海になりそうね」
「……アイリス…」