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4-3

「シーナは冬祭りの大会は出ますの?」


マリアがフルーツをフォークで挿しながら聞いてきた。


大会というのは冬祭りの武闘大会である。

寒いけれど皆で動いて暖かくなろうぜ!をキャッチコピーに、八百長以外はなんでもアリだ。

基本殺しは無しだが…不慮の事故はある。


まず6日間ある祭りの1日目に大会受け付け。

2日目に予選で数十人が乱闘し勝ち残った2人が次の戦いに進む事ができ、次の日に準決勝までの4人が決まる。

そして4日目に準決勝、5日目に決勝、6日目に授賞式となる。


この大会は個人戦なため後衛の魔法使いや弓使いが不利になり、接近戦の者が勝ち残りやすい。

なので魔法使いなどはエントリーする事自体が珍しい。


「出ませんよ。今までも出てませんでしたし…。マリアは出るんですよね」


「えぇ、去年はSランクの方に負けてしまいましたが、今回は勝ち抜いてみせますわ」


彼女が口に運んだ果実が、噛まれてシャクリと林檎のような瑞々しそうな音をだす。


確か去年はSランクで体術を扱うアトロという人が優勝したんですよね。

マリアは6位。

でも彼女より上は全員Sランクですから、なかなか良い成績だったと思います。


「シーナが出場したら間違いなく優勝するだろうにね」


魔王様がからかうように言う。

まぁ、自分のチートさは分かっているので否定はしませんけれど、ハーブはそれを随分とおもしろそうにいいますね。

否定はしませんけれども。


微かな苛立ちを感じながらもニコリと笑顔で向き合っていたら、鈴のような声が響いた。


「私…シーナが優勝するところを見てみたいです…」


「「「……」」」


…あ、私いろんな意味で終わったかもしれません。


「シーナ、カチュアからのお願いだよ。もちろん聞いてくれるよね」


さっきよりも満面の笑みを浮かべて聞いてくる魔王様。

これは断ったらめんどうくさそうになるな。


だが、実は大会は毎年レキルスの王族が…つまりエリシア王女とレオン殿下が見学する事になっているのだ。

レオンは私の実力を知らないけれど、それは別に構わない。

だが、エリシアに顔がバレると今以上にめんどくさい事になるのだ。

一応依頼報酬として釘を刺しておいたが、なにかの拍子に私の事をしゃべってしまうかもしれない…。


…あれ、依頼?

もしかしてギルドの人達ってエリシアの病気に私が関わっている事、気づいてるんじゃ…。



……考えないようにしよう。



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