閑話 2-前編
エリシア視点で第2話です
空を見ると心が安らぐ。
「エリシア様、薬はきちんと飲んでくださいね」
「分かってる」
そんな薬を飲んだって、いったい何になるというのだろう。
私の病気が過去に前例がなくら治す方法もかかる理由も分からない病気だという事は知っている。
親切(笑)な貴族がまわりくどい言い方で教えてくれたから。
「とうとう今日だわ」
今日の昼、待ちに待ったギルドからの御使いがくる。
私を外に出してくれる救世主たる人が。
今まで眺める事しかできなかった城下町に行く事ができるのだ。
無意識の内に口角をあげながら、また空を眺めた。
_*____*_
時計の針は1時より少し前を差していた。
キョロキョロと周りを見渡すが、目印である銀のペンダントをつけた人はまだ来ない。
っていうか侵入できるのかな?
できなかったら依頼した意味がないけど、侵入されたらされたで城の警備が甘すぎよね。
だいたい常に人に監視されるなんて気持ち悪いだけなのに、護衛なんて1人で充分だわ!
なにが悲しくて何人もの人に監視されなきゃいけないのよ!
お兄様とお父様の過保護め!!
そう心の中で愚痴っていると、急に部屋の中に軽い音が響いた。
コンコン
吃驚して肩を震わせる。
急いで発生源のバルコニーに向くと、そこには…黒を纏った女神様がいた。
一瞬本気で思ったが、彼女の胸元で光を反射させて光るペンダントを見て、依頼を受けた人だと分かった。
女神をそこで待たせて、急いで秘密裏に入手した服に着替えて戻ると、ガバッと彼女に飛びついた。
あ、甘い香りがする~。
レオン兄様じゃなくて、こんなお姉様が欲しかったなぁ~。
「しっかり掴まっていて」
女神様の声は優しさに溢れた柔らかな声で、とても心地よかった。
それからは驚く事ばかりだった。
女神様…シーナが上級魔法使いでも難しいような無詠唱の移動魔法と幻覚魔法を使っていた事。
城下は人で溢れて活気がよく街を歩く人々の会話で騒がしかったが、静かな王城とは違い何もかも新鮮に感じられる。
そこで食べた物は城での味の薄い病人食とは違い、味が濃くてとても美味しかった。
そして私が一目惚れをした猫のしおり。
ダメもとで「欲しい」と強請ると、シーナは微笑みながらそれを買ってくれた。
嬉しくて嬉しくて、大切にしようと思いながら眺めていたら…
また、いつもの発作が起きて、
そこからの私の意識はない。