表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/32

1 彼女の事情

ガレストラは今日も賑わいをみせていた。

多くの歩行者よる騒音の中に売り子娘の少し高めの声が響き、人々は思い思いの店で互いに有益になるよう買い物をする。

ある人が興味なさげに視線を外したモノを、他の人が輝いた瞳で見つめたり。

大金を軽く払う人もいれば、お金が足りずに溜息をつく人もいる。

その顔は十人十色。


レキルス王国の主な産業は武器。

その王都であるこの街は、良い武器といえばガレストラ、と言われるほど有名で、それを扱う騎士たちの腕も大陸一だ。

そんな街だからもちろん殆どの店が武器屋。

そのかわり武器屋の競争率は激しいが、他の店の中には街に一軒しかない店などもあるので、そういった店は客を一人占めできるのだ。



そんな街に一軒しかない本屋『サクラ』を営んでいるのが、この私。


シーナ・ターミャ、もとい田宮(たみや) 椎奈(しいな)

3年前、15歳のときに日本から異世界トリップしてきた本好きの少女だ。

この店は、その際に神様から貰ったもの。


本に関わる仕事につくのは小さい頃からの夢だった。

もともと私は知識欲が他人と比べて凄くあり、世界の全てを知りたいと常々思っていた。

まぁ、それは無理だとは分かってはいたが。

体が弱く生まれた頃から入院中だった事もあり、よく本を読んでいたら段々とその魅力にとりつかれてしまった。


そんな所を神様に気に入られて強制的に異世界トリップさせられた。

願いを3つ叶えてあげよう。

そう言われて、言った願いの1つ目が「本屋の店長になりたい」である。

どうやって叶えてくれるのかな~と思っていたら、トリップした先に助けたおじいさんが経営していた本屋を「もう自分は年だから」と言い、くれたのだ。

そのおじいさんは今、隣国にいる息子夫婦の元に住んでいる。


2つ目の願いは「身体能力の向上」。

理由は今まで外で遊んだ事があまりなかったため、向こうではめいいっぱい楽しもうと思ったからだ。

あの神様はついでに魔力も最高にサービスしてくれた。

おもいきり楽しんでこい、と。

ちなみに隠しているが魔力量と質は世界で1番、剣技では宙に投げた玉ねぎのみじん切りを2秒でてきるくらいだ。

チートやばい、そして便利。

おかげで今は異例の早さでギルドランクBだ。


3つ目は「その世界の全てが知りたい」。

国家の秘密から隣の家の晩御飯まで、全て。

そう言ったとき神様は満足気に微笑んで、一冊の本をくれた。

今、私の横においてある鈍色の本がそうだ。

表紙の絵も題名もない中身も白紙なこの本は、実はこの世界の知識の塊。


知りたいと思った情報だけを載せてくれる神様特製の本。

例えば私が「あの人誰だっけ」と思いながら本を開くと、その人物の名前と生年月日、家族構成や育ち方、周りからの評判まで書かれている。

プライバシー皆無もいいところ。


まぁ、こんな能力もあって実は私は本屋件情報屋だったりする。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ