第一話「求ム、平穏ナ日常」
オリジナルは初めてですので、所々おかしなことになるかもしれませんが、応援よろしくお願いします。
何も悪いこと、やましいことをしていないのに、『何で自分が』という体験はないだろうか。
その場合起きてほしくもないのに、大抵自分の許容量を超えた出来事が起きる。
はい、次。その場合、どのような状態になるだろうか。
普通はパニックを起こすだろう。人によっては、冷静になれる人もいるかもしれない。というか私がそうだと、今知った。
さて、そろそろ私に何が起きているのか説明しますか。
放課後、まだ生徒がたくさんいる中で告白された。
止めてほしい。というか、何でこんな所で告白しようと思ったのか、一切理解できない。
普通は、二人きりになれるような場所に呼び出して、告白するのではないのだろうか?
非常識極まりない。
そんなことを考えながら、目の前の相手に視線を向けてやる。
はい、そこで一言。
「あなた、誰?」
これは本心。マジで知らないから。
私の言葉に、まわりの生徒がざわついた。
何だ? 知らない方がおかしいのか?
目の前の男も、私が知らなかったことに驚いたのか、目を丸くしている。
「僕のこと、本当に知らない?」
「ええ。今の今まで、全く知らなかった」
彼は私が自分のことを、本気で知らないと思っていなかったようだ。
笑えてくる。
「で、何だっけ?」
「えっと・・・・俺と付き合ってください、八雲ひなたさん」
「ごめんなさい」
名も知らぬ彼が『い』を発すると同時に、私は言ってやった。
一つも心を込めないで。
そもそも私は目の前に立っているような、自分が告白すれば女は落ちるだろ、みたいな雰囲気をした男が嫌いだ。
イケメンで爽やかな感じを出していればいい、って訳じゃないぞ。隠しきれてないんだからな。
今まで一度も彼と話したこともないから、完全に私の偏見なんだけど。これは多分間違いではないと思う。うん、多分。
「ど、どうして?」
おー、戸惑ってる戸惑ってる。こういう顔、面白いんだよなぁ。
っと、理由か。
「理由は至極簡単。まずあなたが私を知っていても、私があなたを知らない。というか、あなたの存在を今知ったから」
「でも、そうだとしても――――」
「付き合っていれば、お互いを知れる。例えそうだとしても、私はあなたに興味がわかない」
「っ・・・・」
これだけじゃ足りないか・・・・あ、そうそう。これも必要かな。
「次に好きでもない相手と付き合うのは、私には到底無理。他にも理由はあるけれど、このふたつが一番かな。というわけで、私があなたと付き合うということは、絶対にあり得ないのでごめんなさい」
完全に止めをさしてやった。
これで私に告白しようなんて、二度と思わないだろう。つーか、思ってくれるな。迷惑でしかない。
唖然とした彼の顔を確認して、私は歩き出す。ここにいたくないから。
周りの生徒から、何やら視線を感じるが無視無視。
気にしててもしょうがないし。
早く帰ろう。
「あ、そういえば・・・・」
今日、ドラマの再放送があるんだった。今からでも間に合うな。
今の彼のことはすでに消え去り、私の頭の中はドラマのことでいっぱいだった。
今日の帰ってからの楽しみだから、足も自然と早足になる。
まぁ他にも楽しみはある。ゲームはその中に入るかな。
最近は、超有名某ハンティングアクションゲームをしてる。
アレは面白い。時間を忘れてやってるなんて、よく有ること。へたすりゃ、朝までなんてことも。
問題があるとすれば、友人が誰も持っていないというところ。
この楽しみを分かち合えないのは、とても残念だが無理に押し付けるのも嫌だ。そんなの私が楽しくないからな・・・・。
ゴホン。暑くなっちゃったか。
と、こんな楽しみがあって生きていくのが、私の平穏な日常。壊されたくない、私の日常。
だけど、それは壊されていくこととなる。言い方がおかしいかもしれないけど、多分それが一番ぴったり当てはまるだろう。
今日のあの出来事がきっかけだったのだろうか? それは分からない。分かりたくもない。
でも私の日常から『平穏』という、とても重要な漢字二文字が消えていくスピードを遅くできても、消えることは阻止できなかった。
不公平だ・・・・不公平すぎる。誰が言ったんだ、皆平等だなんて。
俗に言う神様とやらは、私から平穏な日常を奪い去りたいらしい。
調子に乗るなよ、この野郎。
神なんて信じない。信じてやるものか。
だからと言って、悪魔を信じるわけでもないが、それでも神なんて大嫌いだ!