表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
言いたいことはそれだけですか。では、始めましょう  作者: 井藤 美樹


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

6/16

第六話 既に未来は決まっている



 おや、おや、国王陛下と王妃殿下だけかと思ったら、第一王女殿下と第二王女殿下まで一緒じゃない。それも、贅を凝らしたドレスでの登場ですか……


(どうやら、嫌な予感は当たっていたのかもしれない)


 上品な装いながらも、大胆なデザイン。意中の男を絶対落としてやる感、見え見え過ぎて正直引くわ。


(まぁ……間違いなく、イシリス様よね)


 もしそうなら、完膚無きまでに返り討ちにしてやるわよ。


 そんな王族達の後ろから、何故か宰相も入場して来た。だけどその表情は、とても疲れていて険しい。


(頑張って止めたけど、止められなかったって事か……)


 苦労してるわね、宰相様。なんせ、彼がいるから国が維持出来ているって、もっぱらな噂だし。事実、そうだと思う。因みに、リアス様のお父様だよ。


 第一王女殿下と第二王女殿下は、イシリス様を熱い目でジッと見詰めている。


(やっばり……あ〜そういう事か)


 無理矢理祝賀会に呼んで、この後泊まれと命じられた意味が理解出来たわ。マジで、小賢しい。


 怒りが沸々と湧いてくる。さっきまでの戯言も一緒になって、私の方がキレそうになった。それは隠せるものじゃなく、纏っていた空気がピンと張り詰めたものへと変わった。


 それを鋭く察知したのは、リアス様と宰相、そしてイシリス様だけだった。近くにいる王族の方々は一切気付いてはいない。馬鹿王子も大概だけど、さすがに製造した親だけの事はあるわ。


(あんた達、この国を滅ばしたいの? それとも、冴えない私に取って代われると、本気で思っているの!?)


「……不愉快だわ。決めるのは、イシリス様なのに」


 思わず声に出た。小さい声だったから、聞こえたのはリアス様とイシリス様だけ。


 因みにイシリス様は、私の声なら、どんなに遠く離れていてもはっきりと聞こえるらしい。番の声だから。


「どういう事だ!? 一体、何があった!?」


 馬鹿王子と同様、国王陛下も負けじと声を張り上げる。


(騎士から聞いてるでしょうが!? 白々しい)


「父上!! リアスとそこにいる女、アルトを踏み付けているあの男の極刑を望みます!!」


 馬鹿王子はマリアの背中に手を添え、切実な表情を浮かべ、国王陛下に嘆願した。


「極刑!? 何を言っている!? リアスとミネリア様だけでなく、そこにいる御方を極刑など!!」


(辛うじて、私を様呼びしているけど、謝罪はなしか……随分と、軽く見られたものね。今まで、特に何も言わなかったから、図に乗ってるのね)


 この時点で、気付く人間なら気付くわよ。でも、馬鹿王子と側近達は全く気付いていない。マリアだけは、少し気付き出したみたい。でも、もう遅いし止まれないけどね。


 確かに、平凡な容姿だけど、私はちゃんとファミリーネームを名乗ったのよ。なのに、ファミリーネームを持たない平民だと思い込んだ。何度も訂正したのにね。


「それだけの罪を犯したのです!! 聖なる乙女であるマリアを足蹴にしただけでなく、酷い虐めを繰り返しました。リアスはそこにいる女に命じさせたのです!! 国が擁護し、護らなければならない存在をです!! 決して、許されるものではありません!!」


 ここぞとばかりに、馬鹿王子は自分達が正義だと訴える。


「……私が悪いのです。ジェイド様をお慕いしたばかりに……リアス様に不快な想いをさせてしまいました。だから、お願い致します、国王陛下、リアス様達の罪を軽くして下さい!!」


 涙ながらに、マリアは訴える。


(さらなる一手を打ったつもりだけど、既にあんた達の未来は決まっているのよ。残念ながらね)


「女、誰が、お前に話す許可を与えた」


 国王陛下は、凍える様は目でマリアを見下ろす。


「も、申し訳ありません!!」


 注意されたばかりなのに、また同じ事を繰り返す。鳥頭並の脳味噌量らしい。


「お前は、国王である我に、同じ台詞を繰り返し言わせるつもりか?」


 国王陛下の台詞に、マリアは子鹿のように震えながら馬鹿王子に縋り付く。それを、国王陛下達は忌々しそうに睨み付けている。


 そして、視線をリアス様に戻すと、国王陛下は尋ねた。


「リアスよ、ジェイドはこう言っているが、そこの女を虐めたのか? ミネリア様を使って」


「そのような事は、決して致しておりません!! ましてや、ミネリア様を使うなど、聖獣様に誓ってありませんわ」


 パーティー会場がどよめいた。


 聖獣様に誓うという事は、その発言に命を掛けるって事だ。つまり嘘なら、その場で自害すると宣言したの。


「そうか……我は、リアスの言葉を信じよう」


「父上!!」


 国王陛下の沙汰に馬鹿王子は反発し、縋るように声を荒げる。


「おって処罰を言い渡す。それまで、ジェイド達を牢屋に放り込んでおけ!!」


「それは、なりません!! 陛下!!」


 勝手に幕引きをしようとしている国王陛下に、宰相は苦言を呈する。それを、国王陛下は「構わん!!」の一言で無下にした。

 

 その言動に、私のブチブチと堪忍袋の尾が切れた。


「はぁ!? 何を仰っているのですか? 国王陛下。まさか、このまま有耶無耶にする気ですか? そのような考えはありませんよね?」


 詰め寄る私に、国王陛下は焦りと不愉快を(にじ)ませ、渋々答えた。


「……有耶無耶にするつもりはない」


 即答でないのに腹が立ったけど、一応言質は貰ったわ。ニヤリと嗤う。


「そうですか、安心しましたわ。リアス様に無実の罪をでっち上げ、このような公の場で断罪し、クラスが違う私を虐めの片棒を担いだという冤罪を吹っ掛けた。ましてや、〈聖なる乙女〉だと偽証し、あまつさえ、パーティーの参加者を殺そうとした。それら全てを正当化し、私とイシリス様、リアス様を処刑するとまでほざいた。その責任を、どうとるおつもりですか?」


 にこやかに言ってやった。まさか、私がここまで言うとは思ってはいなかったみたいね。馬鹿みたいに間抜け面を(さら)しているもの。


 普段は薬草とかに興味がある、ちょっと変わった、大人しくて扱いやすい娘だと、王族の皆は勝手に認識していたからね。私は敢えて、間違いを正さなかった。その方が楽だったのもあるけど、何かあった時は、その方が動けると考えていたからね。


 顔を真っ赤にしながら、国王陛下は唸る。王妃殿下達も私に対し、険しい目を向けている。馬鹿王子達は「王族に対し無礼だ!!」って、まだ怒鳴ってるよ。宰相様は絶望的な表情で項垂れてる。


(カオスだね〜)


 これが国のトップだと思うと、頭が痛いわ。マジで、この国に未来はないと思う。まぁ、私はどっちでも構わないけど。その前に、きっちりとケリは付けさせてもらうわ。当然でしょ。


 先に喧嘩を吹っ掛けて来たのは、貴方達なんだから――




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ