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言いたいことはそれだけですか。では、始めましょう  作者: 井藤 美樹
第一章 茶番劇に巻き込まれて独立しました

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第四話 冴えなくて悪かったわね



「あぁ!? この冴えない平民が学年一位だと!? 嘘も大概にしろ!!」


(端からリアス様の言う事を信用していないようね、馬鹿王子は。まぁ、出来ないか……っていうか、誰が冴えない平民だって!?)


 さすがの私も、キレそうになった。だから、声が若干低くなっても仕方ないよね。


「…………私が平民ですか……なら、何故私が、このパーティーに参加出来るのでしょうか? 学園内で催されるパーティーではありませんよ。王族が催したパーティーです。当然、参加が許されているのは、伯爵家以上の家柄のみ。そのパーティーに参加を許されている私が、平民ですか?」


(どう答えるの。ほら、答えてみな)


「リ、リアスに連れて来てもらったのだろうが!!」


(焦って出た答えがそれ? 苦しい言い訳ね)


 心底、馬鹿馬鹿しくなる。同時に、呆れを通り越して貴族である事すら疑問に思うわ。


「何を仰ってるのですか!? 正気ですか!? そもそも、そんな簡単に入り込めるパーティー会場ではないでしょう。王族が催してるのですよ、筆頭公爵家だとしても、無理に決まっています。それがもし出来たのなら、通した門番も騎士も、モリアス公爵家自体も罪に問われます。……所で、第一王子殿下、マリアさんは伯爵家以上の貴族令嬢なのですか?」


 そう尋ねた途端、キョドりだす馬鹿王子とその側近候補達。その反応が、最早答えよね。


(そんな発想が浮かぶって事は、そこのマリアさんは平民じゃないの。もしくは、男爵か準男爵……少なくとも、伯爵家以上の令嬢には見えないわね。この馬鹿王子、幾つ罪を重ねるつもり?)

 

「第一王子殿下、私はミネリア様と共に来ておりませんわ。門番に確認すれば分かります」


 当然、リアス様はきっぱりと否定する。


「第一王子殿下、先程、私は婚約者と一緒に来たと申し上げましたが、お忘れですか?」


 馬鹿にしながら、私も否定する。


(この際、王族だからとかどうでもいいわ)


 扇で口元を隠しててよかった。さすがに、ニンマリと嗤う貴族令嬢はいないからね。


「強かな奴だ!! そうやって、証拠を消して来たのか!! 偶々、その婚約者が伯爵家だったから、入れただけだろうが!!」


(いやいや、普通、伯爵家に輿入れするのに、平民はまず無理でしょ。どこかの養女になってからじゃないと。愛人にはなれるかもしれないけど、妾は無理よ。これ、常識よね)


 ほんと、突っ込みどころが多過ぎる。よく、こんな馬鹿の婚約者をしていたわね、リアス様は。どれだけ、忍耐強いの。マジ、尊敬するわ。忠誠心の賜物ね。それとも、幼馴染だから突き放せなかったのか。周囲見てみたら。完全にドン引きしてるから。


「第一王子殿下、それは我がベルケイド伯爵家に喧嘩を売っているのでしょうか? それとも、辺境の地を領地とする者は、貴族すらないと? まさかと思いますが、王族であらせられる貴方様が、この国の貴族名を把握していないのですか?」


 準男爵家や男爵家までは厳しいかもしれないけど、子爵家以上は把握していて当然。馬鹿王子もそうだけど、彼の後ろに控えている側近候補達も勉強すべき事よね。


 そもそも、こんな側近候補達を選んだ国王陛下って、マジで人を見る目が皆無だわ。家柄と能力だけで選んだだけで、最も大事な頭と常識は蚊帳の外。詰んでるわね。


「王族を馬鹿にするのか!!」


(してますけど)


 馬鹿王子が怒鳴れば、馬鹿側近候補達もそれに続く。


「不敬な!! 聖なる乙女を虐げただけでなく、王太子殿下まで愚弄するとは、女だからと許せるものではない!!」


 側近候補の一人、宰相の次男が怒鳴る。


「……聖なる乙女」


 小さな声で、私は繰り返す。リアス様の顔色が更に悪くなった。


(へぇ〜あの女が、聖なる乙女ね……)


「ミネリアさん、まだ間に合います。罪を認めて下さい。私は貴女を許します」


 馬鹿王子の後ろから、涙をぽろぽろと溢した聖なる乙女(仮)が参戦。


「やってもいない事を認めろと?」


 我ながら、冷たい声が出たものね。


「ヒッ!!」


 可愛い悲鳴を上げ、馬鹿王子の背中に縋り付くマリアは「どうして、罪を認めないのですか……私は許すと言っているのに」と、私に向かって訴える。


「お前には、聖なる乙女であるマリアの優しさと慈悲の心が伝わらないのか!? なんて、冷たい女だ!! アルト、あの女を取り押さえろ!!」


 興奮した馬鹿王子が、騎士団長の三男に命じた。


 ガタイだけいい男が、無抵抗な貴族令嬢に襲い掛かろうとしている。本人も命じた馬鹿王子も、正義のためだと信じてやっているのだろうけど、これだけの目撃者がいたらアウトよね。


 その証拠に、悲鳴と怒声が周囲から上がる。


 リアス様が私を護ろうと前に出る。リアス様の気持ちが嬉しくて、私は彼女の腕を引っ張り、その背に庇った。


 全く怖くはないわよ。だって私には、最強の婚約者がいるし、こんな、実践も積んでいない、見栄えばかりを優先した型の体術や剣に怯むわけないでしょ。


(田舎育ちを舐めるな!!)




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