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言いたいことはそれだけですか。では、始めましょう  作者: 井藤 美樹
第三章 神罰が一回だけとは限らない

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第三十話  王印〈リアス過去編〉



 胸を押さえ、宰相様は苦しそうに「自分が悪い」と吐き出す。


 子煩悩なモリアス様だからかと、一瞬考えはしたけど、あの屑達がいる亡王国の宰相を務めていたのだから、色々あったのかもしれない。そんな事を考えながら、私は尋ねた。


「リアス様を護れなかった……それは、どういう意味ですか? モリアス様」


「ミネリア王女殿下は、あの亡王国の王族達が仕事をすると思いますか?」


 質問を質問で返された。


「しないでしょうね。もししたとしても、自分達の利益になる政策ばかりで、民や下位貴族にとっては愚策でしかないわね」


 宰相様の意図は掴めなかったけど、質問には答える。


 なんせ、皆、下半身に脳味噌が付いている一族だからね。本能により忠実でしょ。今は、その自慢の下半身も腐り落ちてる頃よね。


「その通りです。なので、却って手を出されない方が、こちらとしては助かる有り様でした。とはいえ、全てを、私どもで取り計らう事は出来ません」


 ここまで聞いて、宰相様が何を言おうとしていたのか察した。


「……王印ですね」


 いくら優秀な宰相様でも、王印を自由に扱う事は許されてはいない。


(もし使ったら、極刑ものだわ。一族全員、処刑されてもおかしくはない。それくらいの重罪)


 王印とは、それくらい重い物なの。


 さぞかし、大変だったでしょうね、モリアス様は。屑国王しか王印を持つ事は許されないのだから。


 それだけじゃないわ。絶対、屑王族達は書類には目を通さない。理解しないまま、ただサインをし王印を押す。あの屑達は、それすら億劫だとさぼろうしてそう。っていうか、難癖付けてしないわね。


「はい。正式な決定権は屑とはいえ、国王陛下にありますから」


 さりげに、屑って言ったわね。段々、ベルケイド王国に染まってきたみたい。それにしても、当時を思い出したのか、宰相様、一気に老けたわね。ちょっと、同情するわ。


「仕事をしない屑国王に、王印を押してもらうのは、さぞかし大変だったでしょう、モリアス様」


(私なら、絶対キレて殴ってたわ。殴って、そのまま王都を出奔したわね)


「ええ、途中まではそうでした。のらりくらりと躱され逃げる屑国王を捕まえ、無理矢理、王印を押させていました。しかし、何故か、途中から楽になりました。頼めば、次の日の朝には押されていましたので、根負けして、少しは仕事をする気になったのかと、その時は思ったのです」


 その口調なら、違ったようね。それは、表情からも伺える。とても苦々しい表情だったから。モリアス様の、そんな表情見た事ないわ。


(えっ!? でも、それおかしくない? 王印は国王陛下が持っているのよね?)


 国王陛下不在の時は、王妃殿下か第一王子に渡されるけど、それ以外で、国王陛下以外が使ったら罪に問われるわ。まるで、宰相様は国王陛下以外が押したような言い方をしてるけど……まさか、あの屑達が代わって仕事をしたとは思えない。なら、一体誰が?


 そこまで考えた時、脳裏にリアス様の顔が過った。


(いや、まさか――)


 否定したいけど、否定出来ない。


「…………もしかして、王印を押していたのは、リアス様ですか?」


 思いのほか、低い声で尋ねていた。


「そうです。途中から、王印はリアスが押していました」


「何故!?」


 間髪入れずに問いただす。


「それが罪だと理解しながらも、そうしなければならなかった。屑達は、私が知らない所で、リアスの友人を殺し脅したのです」


 返って来た答えは、悪い方向で、私の想像を遥かに越えてきた。




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