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言いたいことはそれだけですか。では、始めましょう  作者: 井藤 美樹
第一章 茶番劇に巻き込まれて独立しました

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第三話 根本的に無理があるよね



「何をしている!? 早く前に出て来ないか!! それとも、今更罪の重さに怖気付いたか!!」


 馬鹿王子が意味不明な事を叫んでいる。


(罪って何よ……そもそも、その女と話した事ないよね。もしかして、私巻き込まれたの?)


 戸惑いを隠せない。


「――ミネリア」


 反対に、イシリス様は激怒です。


 声からもだけど、寒い日に外に出た時みたいに白い息を吐き出す。室内には、腕や背中を出したドレスを着た人が多いのにね。私は平気だけど。


「急に寒くなったな、窓でも開いているのか?」


 周囲から、そんな声が聞こえてきた。違うけどね。イシリス様の魔力が外に漏れただけ。そんな中でも、馬鹿王子の怒号は止まらない。


「イシリス様、呼ばれていますから、行って来ますね」

 

 溜め息を吐いてから、私はイシリス様に背を向けた。


「行く必要はない!!」


 イシリス様は私の身を案じ止める。


「大丈夫ですわ。どうせ、国王陛下と王妃殿下が来られるまでですわ。それに、私に罪があるとぬかしているのです。きっちりと、晴らさなければなりませんわ。私達の未来のためにも」


 イシリス様の気持ちは嬉しいけど、売られた喧嘩は買わないと。それが、我がベルケイド伯爵家のもっとうなの。元々、イシリス様自身も好戦的だから、私の意気込みを汲んでくれるよね。


「……はぁ、分かった。思いっ切りやってくるといい」


 止めても無駄だって分かったのか、苦笑しながらも認めてくれた。


 イシリス様に許可を取っている間も、馬鹿王子は何度も私の名前を呼び捨てにし、怒鳴り続けている。その度に、イシリス様のこめかみに青筋が立ち、指を鳴らしている。


(ほんと、煩いわね。それじゃあ、行きますか。お腹も程よく膨れたし、頭も冴えてるわ)


 淑女らしく、私はゆっくりと中央まで歩く。


 皆の視線が私に集まった。


 巻き込んでしまった事に対して、リアス様は申し訳なさそうな表情で私を見ている。


(明らかに、顔色が悪くなったわね)


 まぁ、そうなるわ。リアス様は知っているからね。王族の一員である馬鹿王子が知らないのは理解出来ないけど。知っていたら、私の名前を呼び捨てになんかしない。知らなかったで許されない事をしたの。


 私は「大丈夫、気にしなくていい」という言葉を声にしない代わりに、リアス様に向かって小さく頷いた。


「お呼びでしょうか? 第一王子殿下」


 私はリアス様の斜め後ろで足を止めると、淑女らしくカーテシーをする。一応、彼はまだ第一王子だからね。


「遅いぞ!!」


 馬鹿王子は怒鳴る。


「それは、申し訳ありません。婚約者と話をしていましたから」


 私がわざわざ婚約者と口にした事に、リアス様は更に顔色を悪くし、表情を固くした。


 それを、動揺だと勘違いする馬鹿王子と馬鹿側近候補達。息巻いて、声高らかに言い放った。


「さすがのリアスも、これで逃げられまい!! 私は知っているぞ!! リアス、お前の指示で、その女を使い、マリアに酷い虐めをしていた事をな!!」


(いやいや、私、このマリアっていう女、間近で見たの今日が始めてだけど)


「何を仰りますか? 頭は大丈夫ですか? 私がミネリア様を使い、マリアさんを虐めたなどありえませんわ」


 呆れたように答えるリアス様に、馬鹿王子の側近候補の一人が言い放つ。


「どこまでも、面の皮が厚い方ですね。知っているのですよ、マリアさんと一緒のクラスである、そこの女を使い、マリアさんを虐めるよう指示をしていたのを!!」


(ん? 私がマリアさんと同じクラス? いたかな、彼女?)


 首を傾げる私と、扇を器用に広げるリアス様。リアス様は優雅に口元を隠す。


「何を笑っているんだ!!」


 側近候補が怒鳴った。


 馬鹿王子は、あざとく震えているマリアって女を背に庇いながら、リアス様と私を睨み付けている。


(こりゃあ、全部終わった後、全員命ないわね)


 リアス様ほど優雅ではないけど、私も口元を扇で隠しながら思う。


「笑って当然ですわ。ミネリア様には不可能ですもの。そうですよね、ミネリア様」


 リアス様が私に場を設けてくれた。


「ええ、不可能ですわ。何故なら、私はマリアさんと一緒のクラスではありませんもの」


「嘘を吐かないで!! ミネリアさん、私は知ってるの、ミネリアさんがリアス様に脅されて、無理矢理言う事をきかされているのを」


 ここに来て、マリアがしゃしゃり出て来た、


(うっわ〜子鹿みたいに震えてるよ。引くわ〜)


 大きな目に涙一杯溜めて、全身でか弱さと健気さをアピールしてる。これ、傍目から見たら、完全に悪者は私達の方ね。まぁでめ、見た目だけで騙される程、貴族社会って単純ではないわ。単純なのは、目の前にいるお馬鹿さん達だけ。


「マリアさんって仰ったかしら、誰かと間違えていませんか? 私はマリアさんとは違うクラスですよ。リアス様と同じクラスですわ。お疑いなら、後日、先生にお尋ねになられたらどうです?」


(さぁ、どう反論するのかな?)


 私がマリアさんと同じクラスじゃないと、そもそも成立しない話よね。それよりも気付いてるのかな。馬鹿王子達を見ている貴族達の目が冷めてる事に。それとなく察しているのは、マリアさんだけね。少し、顔が歪んだもの。私の目は誤魔化されないわよ。


「この平凡な女が、リアスと同じクラスだと!? 嘘を吐くな!!」


 馬鹿王子が唾を飛ばしながら怒鳴る。汚いから止めて。


「嘘ではありませんよ、第一王子殿下。ミネリア様は学年トップの成績を誇る才女ですよ。二位である私と、同じSクラスなのは当然ではありませんか?」


 傍観している貴族達から感嘆の声が漏れた。同時に上がるのは、馬鹿王子達がどのクラスかって事。


 因みに、Sクラスじゃないわよ。前は一緒だったんだけどね、皆。いつの間にか、いなくなった。そりゃあ勉強もしないで、授業もサボり放題、女と遊んでいたら、クラス替えさせられるわ。一応、実力主義を掲げているからね。


(あの様子じゃ、馬鹿王子、気付いてないわね)


 リアス様が馬鹿王子の名前を呼ばなかった事の意味を。


 筆頭公爵家が完全に見限ったって事だよ。彼らを敵に回して生きていけるのかな、この国で。筆頭公爵家抜きにしても、イシリス様を敵に回した時点で無理なんだけどね。




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