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言いたいことはそれだけですか。では、始めましょう  作者: 井藤 美樹
第三章 神罰が一回だけとは限らない

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第二十三話 新米王女殿下と亡国からの書簡



 ベルケイド王国に戻って来て五日後、私はお父様に執務室に来るよう呼ばれた。


「生きる屍の件でしょうか?」


 マナー教室を途中で切り上げ、軽く身(だしな)みを整えている私に、リアス様が訊いてくる。


「きちんと報告した筈ですが……取り敢えず、呼ばれたので行って来ますね。その間、リアス様は休憩してていいですよ」


 いつもより、かなりゆっくりと動く。幸いにも、それが優雅に上品に見えたみたい。マジで痛いのよ。少し身体を動かしたら、鋭い痛みが走るの。リアス様、遅れを取り戻そうと詰め込んだから。


「分かりました。行ってらっしゃいませ」


 リアス様に見送られ、私は自室を出た。


「全く……そこまで、あの女に気を使わなくてもいいだろ。時間を減らそうって言ってきたのだから、減らせばよかっただろ」


 やせ我慢してたのバレバレだったみたい。文句を言いながら、イシリス様は私を抱き上げる。少し怒りながらも声は小さい。リアス様に聞こえないよう配慮してくれたからだ。


 私を優しいとよく言うけど、本当に優しいのはイシリス様だと私は思う。イシリス様は絶対認めないけどね。今も私の心の声が聞こえるのに無視して、ブツブツ文句を言いながら廊下を歩いているし。


「私のために一生懸命なリアス様を、悲しませたくないの」


 以前執務室に向かった時、筋肉痛で動けなくなった私を、当たり前のようにイシリス様が抱えて運んだ。それを見て、リアス様、自分を責めていたからね。あまり表情が変わらないリアス様だけど、一緒にいたらなんとなく、分かるようになってきたの。


「本当に、ミネリアは優しいな」


(私より、イシリス様の方が優しいのに)


「だから、そう思うのはイシリス様だけですよ」


 私はイシリス様の旋毛にキスをした。本当は耳にしたいのだけど、それをしたら、そのまま部屋に逆戻りになるからね。だから、旋毛で我慢。でも、毛がフワフワサラサラで気持ちいい。


「コラッ!! 煽るな!!」


(怒られちゃった。でも、本当は怒ってないでしょ。尻尾と耳は嘘吐けないものね)


 尻尾、左右に勢いよく振ってるわ。嬉しくて、口元が緩む。


「煽ってませんよ」


 クスクスと笑いながら答える。


「チッ、結婚したら覚えてろよ」


「はい、イシリス様」


(私も、待ち遠しいです)


 ニコニコと微笑んでいる私に、イシリス様は小さな声で「本当に、分かってるのか」ってぼやいてた。


 心配しなくても、ちゃんと分かってる。私も、その日が来るのが楽しみなんだから。だって、イシリス様を独り占めに出来るんだよ。モテ過ぎる婚約者を持つと、色々大変なんだからね。また、あのような馬鹿が出現するかもしれないし。早く、私だけのものにしたい。


 そんな事を考えていると、イシリス様の首が真っ赤になっていた。尻尾の振りも更に激しくなっている。


(正直だよね)


 それが嬉しくて、私の顔も赤くなっているのは内緒。


 お互い、顔を冷ましながら廊下を進む。イシリス様と一緒に執務室に入室すると、遠征から戻って来ていたラリーお兄様がいた。


「休暇中のラリーお兄様も呼ばれたの?」


 巷では強面と言われて怖がられているけど、家族に向ける笑みはとても優しいの。騎士団にも信頼されてて、とっても強い。


「ああ。ミネリアも元気そうでよかった。あまり、無茶をするなよ」


「はい、肝に銘じます」


 昔はよく頭を撫でてくれたけど、イシリス様の番になってからは、撫でてくれなくなった。イシリス様が嫌がるから。しょうがないけど、ちょっと寂しい。


「お転婆な妹で、聖獣様も大変でしょう。でも、幸せそうでよかった」


「安心しろ、ラリアス。ミネリアの幸せには、お前達も必要だ。特別に、触れる事を許そう」


「ありがとうございます、聖獣様」


 ラリーお兄様が頭を垂れる。そして私の頭を、大きなゴツゴツとした手で撫でてくれた。


(ありがとうございます、イシリス様。大好きです)


「……それで、何故、俺達を呼び出した?」


 照れているのか、いつも以上に無愛想な顔でイシリス様はお父様に尋ねる。


「実は先日、こんな物が届きました」


 そう言うと、険しい顔をしたお父様は机の上に書簡を置いた。書簡には、よく知っている王印が押されてあった。


(読まなくても、何が書いてるか予想がつくわ)


「はぁ!? 何、考えているの!? よく、送って来れたわね」


「まぁ、あいつらには恥の概念はないんだろ。それで、陛下、どうしますか?」


 口が悪くなる私に苦笑しながら、ラリーお兄様はお父様に意見を求める。


「決まってるだろ、無視だ無視。でもな、あまりにも面白い事をぬかしていたから、お前達を呼んだ」


 そう笑いながら答えたお父様は、家族以外には見せれない程の悪役顔をしたいた。


(へぇ~なんて言ってきたのかな? とっても興味があるわ)


 お父様に負けず劣らず、私も悪役顔だったと思う。ラリーお兄様もね。宰相様が少し引いていたから。



 最後まで読んで頂きありがとうございます。

 第三章が始まりました。

 王女らしくない王女をお楽しみ下さい。そして、それを支えるイシリス様もお楽しみ頂けたら嬉しいです。

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