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ユナの旅【連載中】  作者: りな


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7/13

7

ガルドとユナは、大きな港町に辿り着いた。潮の匂いと、人のざわめき。並ぶ船を見渡しながら、ガルドは小さく息を吐いた。

「……金がない。稼ぐぞ」

「どうやって?」

ユナが尋ねると、ガルドは指を折りながら言った。

「用心棒か、魔物狩り。手っ取り早いのは――闘剣士だな」

「……闘剣士?」

「そうだ。ユナは、俺だけに賭けるんだ」

そう言って、ガルドはどこか楽しそうに笑った。こうしてユナは、持っている全財産を、ガルドに賭けることになった。

正直なところ、不安しかなかった。

闘技場は円形で、中央に広い舞台があり、その周囲を客席がぐるりと囲んでいる。人々の声が、波のように押し寄せていた。

「おい、ガルドが出るってさ」

「本当か?」

「じゃあ、ガルド一択か」

「いや、あんなん過去の人だ。今はガイ・サンダーだろ」

ユナの耳に、さまざまな言葉が飛び込んでくる。

……大丈夫なのかな?まだ誰も立っていない舞台を、ユナはじっと見つめていた。胸の奥が、落ち着かないまま。


舞台へ、ガルドが姿を現した。その瞬間、観客席が大きくどよめく。

「……本物か?」

「初めて見たぞ」

ざわめきの中、対戦相手も入場する。名の知られていない剣士らしく、観客の反応は薄かった。やがて、両者が向き合う。ガルドの手には、剣。合図と同時に、闘いは始まった。

――そして、終わった。

一瞬だった。剣が交わる音すら、はっきりとは聞こえない。気づいたときには、対戦相手は地に伏していた。

「勝者――ガルド!」

宣言が響く。

次の瞬間、闘技場は歓声に包まれた。怒涛のような喝采が、円形の客席を揺らす。ユナはまばたきすら忘れて舞台を見つめていた。


ガルドは、順調に勝ち進んだ。

気づけばユナは、いつの間にか手を強く握りしめ、息を詰めるようにして試合を見ていた。

「やっぱ、ガルドは強いな」

「いや、次はわからんぞ」

「相手は、ガイ・サンダーだしな」

観客の声が、嫌でも耳に入る。

次の試合が始まった。

剣と剣が激しく打ち合い、そのたびに歓声が弾ける。闘技場の熱気は、みるみるうちに高まっていった。

ガイ・サンダーは速く、鋭い。正面からぶつかれば、危険だとユナにも分かった。だが、ガルドは違った。わざと、隙を作る。

一瞬の油断。誘われるように踏み込んだガイ・サンダーの剣が伸びた、その瞬間――

ガルドの剣が、先に届いた。

勝負は、決した。

「勝者――ガルド!」

正直なところ、ユナはまだ状況を飲み込めていなかった。ただ、胸の奥が熱くなり、ぎゅっと握った手が震えていた。



「これで当分、余裕だ」

ガルドはそう言って、ユナを振り返った。

「船代もあるし、ウマイ物でも食べるか?」

ユナは答えなかった。

「どうした?」

問いかけられて、ユナは少しだけ俯いた。

「……心配、だった」

絞り出すような一言だった。

「その辺のやつらには、負けんよ」

ガルドは肩をすくめ、いつものように笑った。

ユナは、ぎゅっとガルドの服の裾を引いた。

小さな指に、力がこもる。

「……そうだとしても、心配だった」

もう一度、同じ言葉を繰り返す。ガルドは、その手を見てから、何も言わずに視線を戻した。

笑みは消えていたが、表情はどこか柔らかかった。

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