表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ユナの旅【連載中】  作者: りな


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

14/25

14

二人は、いったん村の外へ出た。

畑と家並みが途切れ、風の音だけが聞こえる場所で、ユナは立ち止まった。

「どうするの?」

ユナは、ガルドを見上げて聞いた。

「……情報を集めたい」

ガルドは、足元の枝を一本折りながら答えた。

「理由が、あるはずだ。村長が村を離れるなんて、普通じゃない。しばらく、この村に滞在する」

ユナは、その言葉に静かに頷いた。

そうして二人は、再び村へ戻り、申し出た。

「この村に、少し滞在させてほしい。村長と話がしたいんだ」

村長代理の男は、内心ではよそ者を警戒していた。

だが、ユナの様子――痩せた体と、旅慣れていないようでいて必死に踏ん張る姿を見て、ただの怪しい旅人ではないのかもしれない、と思い直した。

村人たちを集め、話し合いが行われた。その結果、条件付きで受け入れることが決まった。

「村長が戻るまでだ。それまでなら、滞在を許す」

こうして、ガルドとユナは、村長の帰りを待つ間、この村で暮らすことになった。


ガルドは、村の周囲で獣を狩り、男たちと行動を共にするようになった。

「弓もできるのか」

そう声をかけられると、ガルドは肩をすくめて答えた。

「少しだけだ」

「それだけできれば、十分だ」

そんな軽口を叩き合いながら、ガルドはあっという間に村の男たちに溶け込んでいった。

一方ユナは、畑の土を耕し、草を抜き、洗濯をして、村から出ない仕事を黙々と手伝っていた。

子どもであっても、ここでは立派な労働力だ。

ユナはほとんど口を開かなかった。

だが、手を抜かず、丁寧に仕上げるその仕事ぶりが、ユナという人間を雄弁に語っていた。


村で数日が過ぎた頃、村人たちの間に、はっきりとした違和感が広がり始めた。

「流石に、おかしい」

誰かがそう口にし、それに同意する声が重なっていく。ガルドとユナは、その輪の外で、静かに話を聞いていた。

「……そういえば、手紙が届いていなかったか?」

一人が思い出したように言う。

「けれど、あれはかなり前の話だろう?関係してるのか?」

「いや、それくらいしか思い当たりがない」

ガルドは少し間を置いてから、口を開いた。

「その手紙は、残っているのか?」

村長の妻らしい女性が、首を横に振った。

「いいえ。あの人が村を出る時に、持って行ったようです」

それで、皆が黙り込んだ。

どうやら、今のところ手がかりと呼べるものは、何も残っていないようだった。


ガルドが静かに問いかけた。

「その手紙を持って来たのは、どういう人物だった?」

村人たちは顔を見合わせる。

「普通……だったと思うが」

「いや、司祭じゃなかったか?」

「司祭、とは?」とガルドが重ねて聞く。

「少し離れたところに、大きな町がある。そこには教団があってな」

村人は記憶を辿るように言った。

「ごく稀に布教に来る、司祭に見えた。……いつもと服装が違ったから、最初は他人だと思っていたが」

その言葉を聞いた瞬間、ガルドの表情が引き締まった。ユナもまた、無言のまま視線を落とす。

二人の間で、言葉は交わされなかった。

だが、向かうべき場所は、はっきりした。

ガルドとユナは、町へ向かうことを決めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ