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ユナの旅【連載中】  作者: りな


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ユナは、小川に辿り着いた。

血のついた布を流し、手と顔を洗う。

「……この水は、飲めないよね」

独り言のように呟き、周囲を見回した。

ガルドが吹き飛ばされた時、水筒は割れてしまった。もう、水はない。

ユナは、急いでガルドの元へ戻った。

ガルドは、浅い呼吸を繰り返していた。胸が、小さく上下するのが、わかる。

けれど――。ユナには、もう、できることがなかった。森の中を歩き回ったが、口にできる果物も見つからなかった。知っている知識は、すべて使った。

ユナは、苦しそうに横たわるガルドを、ただ見つめる。

時間だけが、静かに過ぎていった。 


ユナは、おもむろにガルドの周りへ青草や、葉のついた枝を集め始めた。積むように、重ねるように。できるだけ、たくさん。

やがて、ガルドの身体は、森の色に溶け込むように隠れた。

「……お水、貰ってくる」

そう声をかけた。ガルドに聞こえているかどうかは、わからない。貰えるかどうかも、わからない。

それでも。ユナは振り返らず、村の方角へと歩き出した。

あたりは、すっかり闇に包まれていた。

村に近づくにつれ、ユナは異変を感じ取った。

灯りが少ない。人の気配が、おかしい?

ユナは物陰から物陰へと身を潜め、音を立てないように進んだ。

村の中央に、人々が集まっているのが見えた。

豪華な鎧を身にまとった男。そして、その周囲を固める、鎧姿の者たち。村人たちは――皆、地面に横たわっていた。

ユナの身体から、血の気が引いた。

「毒とは……卑劣な」

村長が、苦しそうに呻く。

「解毒剤が、ここにあります。像を渡せば、皆さんに配りますよ」

豪華な鎧の男は、そう言って小さな薬瓶を揺らした。

「像は、渡せん」

村長は、即座に言い切る。

「ほら、皆苦しんでいるでしょう?子どもや老人から、死んでいきますよ。あなた、村長でしょう?」

男は、楽しむように言った。

ユナは周囲を見回した。

……子ども、まで。

村長は、歯を食いしばっている。ユナは、そっとその場を離れた。ここにいても、ユナひとりでは、何もできない。

そのとき、耳に届いた。家畜たちの、かすかな鳴き声。ユナは、はっと顔を上げる。

そして、音のする方――家畜小屋へと、駆け出した。


ユナは、家畜小屋に辿り着いた。

「……ごめんね。でも、助けたいの」

そう小さく言って、途中でくすねてきた火を、家畜小屋の隅に置いた。

火が、ぱちぱちと音を立てる。

「向こうに……みんなで、固まって走って。お願い」

ユナは、一匹一匹に語りかけるように言った。火が大きくなるにつれ、家畜たちは怯え、落ち着きを失い始める。

その隙に、ユナは柵を外し、扉を開けた。

「こっちよ! 走って!」

叫びながら、一番大きな豚のそばへ駆け寄る。

「……乗せて」

ユナはそう言って、必死に豚の身体にしがみついた。次の瞬間、家畜たちは一団となって走り出した。

地面を蹴る音が重なり、闇の中へと雪崩れ込むように駆けていく。

ユナは、振り落とされないよう、歯を食いしばって掴まった。


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