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【第一部完結】レース編みは万能でした~女神の使徒? 私は飼い猫の異世界召喚に巻き込まれた、ただの飼い主ですよ?  作者: ざっきー
第五章 帝国へ女神様に会いに行くだけのはずが……

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第61話 聖女の定め


「……『死ぬため』って、どういう意味ですか?」


「言葉通りの意味だ。この世界では、マイは長く生き続ける。だから、あちらの世界への帰還を望んだ」


 異世界転移(特典)で聖なる力を授かったため、おばあちゃんは老化の進行が遅かったのだとか。

 自分がゆっくり年を取る間に旦那さん(曾祖父)が亡くなり、子供たちが亡くなり、孫まで……

 身内を見送ることに、おばあちゃんは耐えきれなくなったのだという。


「きっかけは、孫夫婦がおぬしを残して事故死したことだな。おぬしは生まれたときから魔力量が多く、次期聖女の呼び声も高かった。つまり、国から目を付けられておったのだ」


 この頃から帝国は女神様との契約を破り、召喚魔法を使って周辺国へ侵略戦争を仕掛ける動きを見せていた。

 このままこの国にいれば、いずれ自分もひ孫も戦争の道具とされるかもしれない。

 おばあちゃんは危機感を持った。

 だから、幼い私を連れて元の世界に戻ったという。

 あっちの世界では、聖なる力は失われるから。


「よく、帝国が帰還を許しましたね?」


⦅マイは許可なんか取っていないよ。だって、絶対に許されないからね⦆


「だったら、どうやって……」


「大聖堂にお祈りに来たと称して逃げてきたマイとおぬしを、ワシが元の世界へ帰した。ニケの力を借りてな」


「だから、ミケちゃんもあっちの世界にいたんだね」


 どうして両親や祖父の写真が一枚もないのか、昔から疑問に思っていた。

 おばあちゃんに聞いたら「昔、住んでいた家が火事になってね……」と説明されたけど、本当は写真自体がなかったのだ。


「女神様、私たちを助けてくださりありがとうございました。ミケちゃんも、ありがとね」


⦅気にしないで。ボクも異世界に興味があったから、ちょうど良かったんだ⦆


「ミケちゃん……」


 思わずミケを抱きしめる。

 もし、そのまま帝国にいたら、私は人間兵器にされていたかもしれない。


 ふと、公爵家で膨大な魔力を暴走しかけた時のことを思い出す。

 経験したことのない、とても不思議な感覚。

 全能感で、何でもやれそうだと思った。


 うん、あの力に溺れて、きっとなっていただろう。

 

 私は、向こうの世界に行けて良かった。

 おばあちゃんと、平和な世界で穏やかに暮らすことができた。

 『レース編み』とも出会うことができたから。


 

「それでだ、今後のおぬしのことだが……」


「私も、おばあちゃんのようにこの国で聖女として生きていくのですね?」


 これは、聖女に課せられた定めだ。

 逃れることはできない。


 これまでヘンダームで築いてきたものは、すべてなくなってしまう。

 せめて、関わり合った人たちには私の正体を明かして、きちんとお別れをしなければ。

 そして、デール帝国で、おばあちゃんのようにレース編みを皆に伝えながら暮らしていこう。

 私も聖女だから、聖なる力で長生きをするのだろうし。

 

「いや、おぬしの好きなように生きればよい。サイエル王国で、穏やかに暮らすことを望んでおるのだろう?」


「えっ、でも……」


「ワシも学んだのだ。今の皇帝や皇太子は良くとも、子孫たちがどうなるかはわからぬ」


 帝国が昔女神様と交わした契約は、『授けられた力を悪用しない』という、とてもシンプルなものだった。

 最初は民を救うためのものが代替わりするにつれ、いつしか己の私利私欲の道具となってしまった。


 でも、前皇帝と現皇帝は約束を守り、召喚魔法自体を封印していたそうだ。

 それに不満を持った皇兄父子が暴走したのが、今回の騒動のすべての始まりだった。 


 召喚魔法のように、聖女の力を悪用しようと考える者がまた出てくるかもしれない。

 だから、厄災を(はら)った聖女はいなくなったほうが帝国のためになる。

 女神様はそう言った。


「ただ、これからも聖女の力を必要とする出来事が、他国でも起こるやもしれぬ。幸い、サイエル王国の厄災はおぬしが未然に防いだがな」


 そのときだけは、私に聖女としての務めを果たしてほしいと。

 もちろん、異論はない。


「だから、おぬしら自身がいつでも姿を変えられるようにしておこう。各国の都にある大聖堂に、おぬしとニケしか使えぬ転移門を設置しておく。そこを通るときに念じれば姿が変えられるし、各国への移動だけもできる」


 なんて便利な新機能!

 というか、それってワープゲートというものでは?


⦅へえ、女神様も太っ腹だね。まあ、ずっと城で暮らすのはボクも勘弁だから、素直にありがとう!と言っておくよ⦆


「ニケは、リサの言うことをよく聞いて、おとなしくしておるのだぞ?」


⦅女神様に言われなくたって、ボクは良い子だよ!⦆


 そうだよね、今のミケは良い子だもん。


「最後に、帝国で神託を広めてもらう件だ」


「それは、帰国前に必ずやりますので」


 ツァーリ殿下や宰相さん、大司教様とも約束をしたからね。

 国民の皆さんの前で、きちんと宣言をしなければ。


「これに関しては、ワシにある考えがある。ちと、おぬしの耳を貸せ」


 はい、はい、なるほど。

 よくわかりました。


「大司教へは、おぬしが明後日に大聖堂で宣言すると神託で伝えておくから、よろしく頼む」


 はい、お任せください!


「そうそう、言い忘れておったが、おぬしはマイほどは長生きはしないぞ。もともと、この世界の者だからな。他の者よりは少しだけ、という感じだな」


 私の場合は、あっちの世界にいたときに異世界転移特典があった、らしい。

 どんな特典だったのですか?と聞いたら、「おぬしが気づいていなかったのなら、内緒だ」と言われてしまった。


 う~ん、すごく気になるよ……




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> う~ん、すごく気になるよ…… (・◇・)ノ 私もすごく気になるよ! う~ん、なんだろう…… タンスの角に足の小指をぶつけない、指に逆剥けができない、髪の毛に寝癖がつかない、かな? (地味すぎるけ…
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