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【第一部完結】レース編みは万能でした~女神の使徒? 私は飼い猫の異世界召喚に巻き込まれた、ただの飼い主ですよ?  作者: ざっきー
第五章 帝国へ女神様に会いに行くだけのはずが……

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第60話 女神との初対面


 私は、異世界転移したときと同じ、白い部屋にいた。

 ミケが慣れた様子でトコトコとどこかへ歩いていくから、置いて行かれないように後をついていく。


 突然、目の前に扉が出現する。

 なぜか自動で開き、私たちは導かれるように中へ入っていった。


⦅女神様、どこにいるの?⦆


「ワシは、ここにおるぞ。ニケ、お務め大義であった。リサ、よく来たな」


 ポンと現れたのは、幼稚園児くらいの女の子だ。

 背中まである長い薄桃色髪が特徴的な、愛らしい顔をしている。

 どこからともなくテーブルと椅子が出現すると、女の子がふわりと浮かび上がり腰を下ろす。

 それから、隣の椅子をポンポンと叩いた。


「立っておらんで、おぬしはここに座れ」


「は、はい!」


 えっ、もしかしなくても、この子が女神様なの?

 大聖堂にあった女神像は、大人の女性だったと思うけど……


「大聖堂の像は、『人』が勝手に作ったものだからな」


「そうなのですね」


⦅リサ、女神様は相手の考えていることがお見通しだから、気を付けてね⦆


 いつものように私の膝の上にのったミケが、教えてくれた。

 あっ、なるほど。

 私の心の声に答えてくれたんだね。


「そういうことだ」


 女神様がパンと手を叩くと、テーブルの上に湯呑が出てきた。

 中に入っているのは緑茶で、湯気が立っている。

 隣には、お皿にたくさん盛られたお煎餅も。


「これは、マイが好んで食べておった菓子だ。特に、この海苔巻きが好きだったかのう」


「懐かしいですね」


 おばあちゃんは「歯に海苔が付くわね……」と言いつつ、好んで海苔巻きばかりを食べていたっけ。


「遠慮せずに食べるがよい。ニケも食べるのか?」


⦅リサ、ボクは海苔の付いていないものにしてね。口の中にくっついて、あとが大変だから⦆


「ふふふ、ミケちゃんには何も入っていない醬油せんべいにしておくね。私は、ゴマ入りのにしようかな」


 小さく割って、ミケにあげる。

 私も一枚いただいた。

 パリッと良い音がして、香ばしいゴマの香りが口いっぱいに広がる。

 美味しい!

 久しぶりに飲む緑茶は、やや苦みと甘みを感じた。


「残った物は、アイテムボックスに入れて持ち帰ればよい。こちらの世界では、食べられぬ物だからな」


「ありがとうございます」


 喜んでいただきます。

 

「さて、改めて自己紹介をしよう。ワシが女神ミューゼだ」


「初めまして、リサです」


「おぬしとマイには感謝しておるのだ。この暴れん坊を(しつ)け、上手に制御しておるからのう」


「暴れん坊?」


「そこにおる、ニケのことだ。ああ、今はミケだったか」


「ミケちゃんは良い子ですよ? 悪さなんて、していません」


 私が膝の上のミケの頭を撫でると、ミケが⦅うん、うん⦆と大きく頷いている。


「おぬしは知らんだろうが、昔のこやつは手が付けられぬほどの暴れん坊でな……苦労したのだ」


⦅そんな大昔の話を、今ここでしなくてもいいでしょう!⦆


 ミケが猛抗議している。

 でも、ちょっと焦っているようにも見えるから、本当の話なのかな?


「本当のことだぞ」


「ミケちゃん、昔は悪い子だったの?」


⦅うん、まあ……『若気(わかげ)(いた)り』って、やつだよ⦆


 やっぱり事実だった。


「でも、今は良い子だもんね。そういえば……ミケちゃんって本当は何歳なの?」


 あっちの世界でも、十五歳は越えていたはずだけど。


⦅う~ん、きちんと数えていないからね……たぶん、五百歳くらい?⦆


「えっ、そんなおじいちゃんだったんだ!」


⦅ボクは、まだ年寄りじゃないよ!⦆


 プイッと横を向いたミケの頭を、「ごめん、ごめん」と再び撫でる。

 私にとってミケは、飼い猫であり、大切な家族なのだ。


「それでだ、おぬしにここに来てもらったのは、姿を戻す他に、大事な話をするためだ」


「大事な話、ですか?」


「ワシは回りくどいことは好まぬから、単刀直入に言うぞ。まず、おぬしは今代の聖女だ。偽物ではなく、本物だな」


 へえ、そうなんだ…………ん?


「聖女!?」


 まさか、まさかの、ラノベのように異世界召喚された女性は聖女様になってしまうという、お約束展開になった。


「次に、ワシが召喚魔法に便乗してニケをこの世界に連れ戻したことは間違いないが、おぬしは巻き込まれたわけではないぞ?」


「えっ?」


「あちらの世界から一緒に帰還させたのだ。おぬしも、この世界の者だからな」


「……へっ?」


「今のその姿が、おぬし本来の姿というわけだ」


「…………ええええええええええええ!!!」


 白い部屋に、私の絶叫が響き渡る。

 でも、驚いているのは私だけで、ミケは平然としている。


「ね、ねえ……ミケちゃんは、全部知っていたの?」


⦅そうだよ⦆


 あっさり、言われた!



 ◇



 こんな衝撃は、異世界に来たときと、おばあちゃんが聖女様だったと知ったとき以上かもしれない。

  

 頭の中がぐちゃぐちゃで、考えがまとまらない。

 落ち着け、落ち着け。

 一度、大きく深呼吸をする。


 少し冷静になったところで、今知った情報を整理していこう。


 『今代の聖女だった』

 これは、女神様が言うのだからそうなのだろう。

 ラノベでも、よくある展開だ。


 だから、次!


 『この世界の者だった』

 意味が分からない!

 私は、なぜあっちの世界にいたの?

 逆、異世界転移とか?


 あっ、おばあちゃんについて行ったんだ!


「正解だ。おぬしは事情があり、マイの帰還に合わせてあちらへ行かせた。姿を変えたのは、マイの孫とするためだ」


「『孫とするため』……では、私はおばあちゃんの孫ではなかったのですか?」


「そうだ」


「そんな……」


 これが、一番衝撃的な事実だ。

 本当の家族だと思っていたのに、血のつながりが一切なかったなんて。


 悲しくて、ぽろぽろと涙が溢れてきた。

 

「泣くことは、何もないぞ。孫ではなく、『ひ孫』だからな」


「……はい?」

 

 一瞬にして、涙が止まった。


「ひ孫ですか?」


「おぬしは、マイの息子の孫だからな」


 女神様の説明によると、おばあちゃんはこの世界で家庭を持った。

 その子供と結婚したのが、お弟子さんだったリーサさん。

 つまり、私の本当の祖母はリーサさんで、おばあちゃんは曾祖母だったというわけだ。


「以前、ゼットンが、おぬしに見覚えがあると言うておっただろう? あれは、おぬしが祖母によく似ていたからだ」


 だから、ミケがゼットンさんに⦅リーサによく似ているんだよ⦆って言っていたんだね。


「それで、おぬしらがあちらの世界に行った理由だが、二つある。一つはおぬしを守るため。もう一つは……マイが死ぬためだ」


「!?」




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