第七話 甘くなかった異世界と死闘と祝杯と!
コイツら意外とカッコいい!!
1
ドラゴン。
それは、勇者の一行や超凄腕冒険者が、何年も何年も修行を積み、秘められた能力なんかに目覚め、やっとの思いで倒す、超ボス級モンスター。
そう、間違っても、俺達のような駆け出し弱小パーティーが戦うモンスターではない。
はずだったのだが……
「シンイチ!シンイチぃ!!ほーらみた事?
やっぱり!やっぱりよ!
私の予感は正しかったのよ!
ほら、わかったなら私にごめんなさいしなさい!」
「今そんなこと言ってる場合かー!!」
緊急クエスト 突如現れたドラゴンの討伐
「ひぃ!ドラゴン!?」
「何でわざわざこんな街を!?」
「皆逃げろおおおお!」
燃え盛る街と突如現れた巨大な影に慌てふためき、パニックに陥る街の人々。
そんな中でも酔っ払い達は寝ているんだから大したものだ。
だが今はそんなことより、逃げることの方が先決だ。
なに、あいつらの事だからドラゴンに踏み潰されようと、丸焼きにされようと、何とか生き延びるだろう。
そしてそんな俺に気づいた仲間達が俺に続…
「え、まさかこの状況で一人逃げようとしてるのこの人。
流石に引くんですけど。冒険者としてのプライドとかどこに落としてきたのかしら。」
「流石ですね。いいと思いますよ。
そりゃあ自分の命の方が大切ですよね。
冒険者だからって綺麗事言ってられませんもんね。
ホント、その姿勢尊敬しちゃいますよ。
まあ私は逃げませんが。」
「ここ逃げるんだぁ…」
こうとはしなかった。
「ウワァァァァァァ!!!
死にたくない!
もう一回死んだんだけど、二回目はヤダァ!」
初日の魔王討伐の決意はどこはやら。
必死に抵抗した俺が仲間達に引き摺られ、戦いに参加するのは、その五秒後のことだった。
2
「ったく、こうなったらもうヤケクソだぁ!
作戦の指揮は俺が取る。だからお前らは俺の指示に従ってくれ。」
俺は小高い丘から仲間達と数少ない残っている冒険者達に作戦を話していた。
こう見えて俺はネトゲでリーダーシップを培い、作戦を仲間とともに立てたことがある。
それに、よく考えたらこれはフラグなのではないか。
俺が素晴らしい連携でドラゴンを倒し、この先何にもしないでヌクヌク安泰に過ごすイベントの。
そんなイベントありませんか。
あ、そうですかそうですか…
ですよね。
だがそんなことはどうでもいい。
「作戦を確認するぞ。
まず、ドラゴンが休憩のために降りてくるのを待ち、降りてきたら、盗賊、アーチャー、戦士などの弓スキル持ちの奴が目を弓で狙う。
目を潰されたらドラゴンはまずまともに飛べないだろうから、頃合いを見て出せる限りの最大の威力の魔法と俺達の剣で滅多刺しにする。
もしそれでも倒せなかったら、トドメは俺に秘策がある。」
作戦と呼べるかわからないほどシンプルな作戦だが、それだけに中々の威力を持つ。
「あんな羽生えたトカゲ、あたしの魔法でイチコロよ。」
「フフフ。楽しみですね。看守のお兄さん、見てくれているでしょうか。」
「目を潰して滅多刺し…
大丈夫。私ならできる私ならできる。」
VSドラゴン もう逃げたい!
3
しばらくして
「おいお前ら、降りてきたぞ!今だ!」
「よっしゃ行くぞ!」
「『アーク・ボルト』ッ!」
冒険者達の弓から淡く青に輝く弓が次々とドラゴンに向かって飛んでゆき、そのうちの一つがドラゴンの目を潰し、真紅の鮮血が飛び散る。
「ーッ!---------ッ!」
声にならないドラゴンの悲鳴が未だ燃え盛る炎に赤く染まる闇夜に響く。
効いてる効いてる!
「今だお前ら!!」
俺がそう指示したその時、思わずその場にいた全員がしばし唖然とする。
潰れた目があっという間に落ち、新たな目が再生したのだ。
まぁ、そりゃそうだわな。
ドラゴンが弓一発でダウンするようなら、勇者は苦労しないよな。
よし、
帰るか。
4
俺の渾身の作戦が失敗し、今俺達は怒ったドラゴンに追い回されていた。
主にサクラが。
「ねえ、何でこっちにくるの!?
ドラゴンですらあたしの美しさに惚れたの!?
強引なやり方だと女の子にモテないわよ!!」
バカかお前は。
でも待てよ、今はサクラがアレを引き付けている。
ならば…
「ニア、出せる中で1番火力がある魔法をアイツに放ってくれ。」
「え!?正気ですか?そんなことしたらサクラが…」
「いいから頼む!
今しかないんだ!」
「……。
信じましょう。
ですが、サクラに何かあったら今度こそ許しませんよ?」
「あんな優秀な魔法使いみすみす失えるかバカ。」
「それもそうですね。」
「アリア、お前仮にも騎士なら、ドラゴンの足止めくらいできるな?」
「仮にもじゃないです!
ちゃんと騎士してます!
戦わなくていいなら、そのくらい…」
「信じてるぞ!
今、あのドラゴンを、俺達で倒す!」
作戦2開始!!
5
「ああああああ!!
何であたしだけー!!」
「サクラ、今助けに来たよ!
『リーインホース』ッ!」
アリアが何かを唱えると、アリアと俺の体が淡く光り、身体能力がみるみる向上していくのがわかる。
「よし、ありがとうアリア。
行くぞ!」
「-------ッ!」
咆哮を上げながら迫るドラゴンを前にアリアは落ち着き払った表情で目を閉じ…
アリアが目を開いた瞬間、アリアの瞳が青く輝き。
その青い稲妻は、目の前のドラゴンの翼を切り裂いた。
その瞬間、一瞬の隙も与えずに…
「『アーク・サンダー』ッ!」
「『インフェルノ』ッ!」
ドラゴンを爆発四散させた。
6
後日。
大物召喚首のドラゴンを討伐した俺達はギルドで表彰を受けていた。
何でこんな小さな街にわざわざドラゴンが来たのかとか、そういうことは気にしない。もっとも、どうせ大した理由もないのだろう。
「貴方様シンイチ御一行は、大物召喚首のドラゴンを…」
「要するに、俺達はチョー凄いからいっぱい褒めちゃうぞってことだろ?」
そんな長ったらしい説明が嫌いな俺はおっさんから賞状を奪い取り。
「おいお前ら!
俺達の活躍を祝って、パーティーしようぜ!!」
「「「「「イェーーーイ!!」」」」」
祝杯を上げた!
「あたしこういうの大好きなのよね!
皆でお祭り騒ぎよ!!」
皆で騒ぐのが大好きな愉快な魔法使いと。
「もちろんですよ!ただ、看守のお兄さんは…」
夢見がちで、そしてとっても頼りになる魔法使いと。
「怖かった…
すごく…
ブルブルブルブル…」
皆を守る騎士に憧れる、一番強くて優しいがビビリな騎士と。
「よぉし、祭りの本場日本から来た俺が、こういう時の楽しみ方を教えてやるぞ!」
「日本!?日本…」
調子に乗りやすくてダメな奴な俺と。
素晴らしい仲間達に乾杯!!
今度こそホントに『ベルミナの街編』完結!
自分よく頑張った!
ここまで読んできてくれた皆も、どうもありがとう!
次回予告 『アリア編』
大体のエピソード
魔法を覚えたシンイチはすっかり調子に乗り、それが癪に触ったサクラに決闘を申し込まれ!?
果たして勝負の行方は!?
またもやベルミナの街に来る刺客。
一体誰が送り込んでいるのか。目的は何なのか。
戦いを通じてアリアの過去が明らかになる!
お楽しみに!




