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バカとカレーと転生と!  作者: 夢見る物書き
第一章 『ベルミナの街』編
4/11

第三話 表裏一体の天然と自己中と!

           1

「今日は疲れたなぁ‥」

俺は床に着き、慌ただしく悪夢に満ちた1日を振り返っていた。

いつもバカなことばかり口走り、隣でガーガーチキンのような癖の強いいびきをかく2人。

そして今日の出来事によりダメニートという中傷を否定することができなくなった超弱い俺。


夜逃げしよっかな。


翌日

昨日のクエストの報酬を受け取りに、俺はまたギルドに向かっていた。

あの2人を連れているとギルドの連中は俺達を避け、中には俺達に向かって即死魔法をかけてくる奴もいるので、俺はアイツらを布団に縛り付けてギルドに来ていた。

「すみません!

昨日のヘマトファジー討伐報酬を受け取りに来ました!」

確か報酬は15万だったはずだ。

1人犠牲は出たものの、あれで15万はかなり美味しいんじゃないだろうか。

「あ、シ、シンイチさんパーティーですね…

で、ではこれが報酬の…」

ひどく怯えた様子の受付のお姉さん。

誰に怯えているんだろうか。可哀想に。守ってあげたいが俺は今忙しい。後で話を聞くことにしよう。

紳士な俺はこれやるからもう近寄るなと言わんばかりの表情のお姉さんから報酬を受け取り、家路に着いた。

           ※

俺は今宿のドアの前に立っているのだが、ドアを開けるべきか迷っている。

「何よこれ!縛り付けられてる!あたし達縛り付けられてるわ!これは陰謀よ!ええそうに違いないわ!

あのニートが帰ってくる前に早く逃げ出さなきゃ!」

俺はドアを蹴破りどっかのだれかに影響されたアホに吠える。

「おいゴラ表でろや!

あのなぁ、いくら俺が健全な男子だからって、相手を選ぶ権利くらいあるんだぞ!

そういうのキャラ被ってんだよ!

アホも休み休み言えや!」

「何言ってるんですかこの童貞は!

夜な夜なこの私の芸術的なまでに美しく釣り合いのとれたこの肢体をおか…

ちょっと!首絞めないで!」

          2

「良いかお前ら、今日はクエストに行く。俺が死なない程度の簡単なやつをだ。わかったな。」

「フン。勝手にして。」

拗ねてるコイツはそうだなあ。

池に沈めよう。

「全然構わないですけど、このメンツで大丈夫なんでしょうか?

サクラはともかく…シンイチは…」

俺を見るな。

でも確かにニアの言っていることは正しい。

ニアは魔法使い。

サクラは魔法使い。

そして俺は…

なんだろう。

まあとにかくバランスが悪い。せめて騎士とか剣士を1人欲しいところだ。

もっとも、優秀な騎士や剣士が俺らのパーティーに来るとも思えないが。

無駄だとわかってはいるが、募集をかけるだけかけてみよう。


数時間後。


来た。本当に来た。でも…なんか嫌な予感がする。

鎧のような防具を着ていて、見た目はザ騎士という感じなのだが…

水色の若干ボサっとした長髪からは寝癖が何本も出ていて、、目はとろんと垂れていて、どこか抜けてるような感じがする。

乙女ゲームのいっけなーい!遅刻遅刻ー!って言ってるキャラみたいな。

なんだろう。

優しそう?

いや、違う。

可愛い?

もっと違う。

間抜け?

そんな感じ。

少なくとも、デキる騎士という感じではない。俺の危険センサーがこいつはやめろと訴えかけてくる。

でも俺にはこの後の展開が読める。

このアホ2人がまたコイツと同調してなんだかんだコイツもパーティーに加入するんだろう。もういいよわかってるんだから。ほら、入るなら早くしろよ!もう何でも良いからさ!妄想癖が過ぎようと、怠け者で自己中だろうと、どんと来い!!殺すなら殺せ!

もうヤケクソだ!

           3

あの後の展開はもう言うまでもなく、俺達はクエストに向かおうとしていた。あの蚊にはトラウマを植え付けられたので、今日は街の外に出没している牛型モンスターの討伐クエストだ。

モンスターが出没する草原を見下ろす小高い丘に来た俺達は作戦会議をしていた。

「思ったよりいっぱいいるぞ。

おい、お前らはどんな魔法が使えるんだ?」

「私は主に回復魔法ね。でも、その他の私が生み出したオリジナルの魔法も使えるわ。」

オリジナルの魔法とやらは嫌な予感しかしないので、聞かないでおこう。

「私が得意なのはレーザーを出現させる魔法ですね。他にも色々と使える魔法はありますが、それはまたの機会に。」

普通に強そうだな。中身はともかく、コイツら性能はいいのか?

「わ、私は騎士なので…魔法は…」

まだ緊張気味のコイツも、律儀に質問に答えてくれる。

そう言えばコイツの名前をまだ聞いていなかった。

名前も聞かずにパーティーに入れるのはどうかと思うかもしれないが。

「わ、私はアリアと言います!」

と言ってペコリと頭を下げるアリア。

寝癖がピョコンと動く。


ちょっと可愛いかもしれない。


4

「よし、確認するぞ。作戦はこうだ。

まずニアが遠くからレーザーであいつらに攻撃する。倒せればそれでいいんだが、もし倒せなかった場合、俺とアリアであいつらに不意打ちをかける。それでも倒せなかったら逃げ帰る。サクラは俺たちが怪我をしたら回復させてくれ。」

お世辞にもかっこいいとは言えない作戦だが、これも生き抜くための知恵だ。

「わかったわ!」

「わかりました!」

「嫌ですよ?」

「よし、ありが…

今何て?」

「嫌だって言ったんです。

だって見てくださいよ、あの牛さん。

2人で楽しそうに身を寄せ合っています!

きっと、2人でピクニックデートしてるんですよ!

日光を浴びて、気持ちよさそうです。

私達も混ぜてもらいましょう!」

と、絶賛交尾中の牛さん達を指さして、熱弁するアホ3号。

あれにお前が混ざったらもう完全に絵面がアウトだからやめてくれ。見てくれだけはいいんだから。

それと、体を動かすたびにピョコピョコ動く寝癖が腹立たしい。


ちょっとわかった気がする。


コイツ、


自己中だな。


           5

俺の腕を引っ張るアリアを無視して、俺達はあいつらを討伐することにした。

俺は、クエストという目的の他に、日本で学校に行っていた時嫌という程見せつけられた幸せそうなリア充への私怨という強い原動力により、明確な殺意を持って牛を見ていた。

「ちょっと!考え直してください!見て下さいよ!

春の暖かな陽射しを浴びて、生を謳歌しているんですよ!もっと平和に生きようじゃありませんか!!」

「馬鹿野郎!あんな性欲のままにズッコンバッコンして退学になるような奴らがいるから、日本はダメだったんだ!

リア充に死を!

不純異性交遊に裁きを!

容姿端麗文武両道のイケメンに鉄槌を!」

一歩引いて、何かに取り憑かれたように叫ぶ俺を汚いものを見るような目で俺を見る2人の視線が痛い。

「性欲…?

ズッコンバッコン…?

どういうこと???」


純粋な自己中なんてどこまでややこしいんだ!

もうコイツとは関わり切れない。

「えぇい、もういい!ニア!

やっちまえ!」


「え…

了解…

しました…」

あいつに説得されてしまったらしいニアが、軽蔑するような視線を俺に投げてきながら、渋々魔法の詠唱を始める。


やめて。視線が痛いの。


その瞬間、辺りに暗い雲が立ち込め、ニアの爛々と輝く杖の先端に、輝かしい光の粒子が吸い込まれていき、ニアの周りを膨大な数の魔力の結晶が光っては消え、光っては消え…

これが魔力というやつか。

正直漏れそうなくらいニアの迫力がすごい。

もしかしてコイツ、かなり強いのかもしれない。

そんなことを呆然と考えていると。

突如ニアの周りに渦巻くエネルギーの流れが止まり、水を打ったように当たりが静まり返る。


『紅蓮の焔よ。』

ニアのやけに落ち着き払った声。

『我が怒りに答えよ。』

恐ろしいほどに気迫に満ち。

『灼熱の牙となりて喰らい尽くせ。』

それでいて母のような慈愛に満ちた。


『ファル・イグニス!!』


ニアの声を合図に、限界に達した杖の光が弾ける。

ニアの周りに数多の魔法陣が出現し、莫大なエネルギーが次々と放射される。

そしてそれは、何の罪もない交尾中の牛達に襲いかかった。

           6

やりすぎ。

オーバーキル。

過剰防衛。

理不尽な暴力。

そう表現するしかないような惨状に、俺は目眩を覚えていた。

ニアの小さな体から放たれたその魔法はもうどうしようもない程辺りを壊滅状態にし、命を理不尽に刈り取っていた。

俺は無言で後ろに立つニアを見る。目があったニアは気まずそうに目を逸らし…


バタッ。


死んだフリをした。


「ってバカ!」
















どうも。風呂好きな物書きです。

今回は魔法の詠唱とか魔法の名前を考えるのが難しかったですね。でも、厨二心が刺激されて、楽しかったです。

ところで、投稿頻度が遅い理由ですが…



推敲してます。



じゃんじゃん感想。レビュー。星。やっちゃって下さい。

この作品は、だんだん壮大になっていったり、仲間との恋が芽生えたり芽生えなかったり、しちゃうかもしれません。

最後までシンイチ一行の冒険を見守っていて下さい。

読んでくれてありがとう!

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