第一話 自称大魔法使いと他称チー牛と妄想夢女子と!
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「ここがギルドかな?」
川に入って汚れを落とした俺は、この町のギルドと思われる場所の扉に手をかけた。
中世風のロマンティックな街並みの中、まるで要塞のようにどっしりと構えるギルドの扉の上には、某恐竜映画のロゴのドラゴン版のようなものがつけられ、この建物の異質さを際立てていた。
「ぶ、不気味だな…」
だが、尻込みしているわけにはいかない。
俺はこれから魔王を倒すのだ。せっかく来たのならやってみたいじゃないか。魔王討伐。そしてそのためには仲間が必要だ。ギルドに来たのはそういう目的もある。
そう決意した俺はチキンハートに鞭打ち、大きな扉を開け放った。
扉を開けると、そこは薄暗く不気味な雰囲気を漂わせるギルドだった。
魔法使いが宴会芸をしていたり、飲んだくれた荒くれ者が顔にお酒が入ったコップをはめようとしていたり、何故か天井に吊り下げられた状態で何かを喚いているロリがいたり。
大丈夫なんだろうな。この国の冒険者は。
一抹の不安を覚えつつ、俺はテーブルに座る。
一旦情報を整理しようか。まだ頭が混乱している。
まず、俺はあいつらに見栄をはった。
そして、激辛カレーを食った。
そして、気付いたら異世界にいた。
ようやく理解できた。
なるほど。
分からん。
そんなことを渋い顔で考えていた俺は相当変な奴オーラを出していたのだろう。
「あんたどうしたのよ。苦虫を舐め回したような顔して。
大魔法使いサクラ様が治癒魔法『デプラビティ』をかけてあげましょうか?」
俺と同年代くらいと思われるみるからに変な奴が俺に話しかけてきた。
なんだコイツは。
黒髪ロングで清楚系、かと思いきや、
頭空っぽそうで‥.
でもなんか逆に癒されそうな…
いや、そんな事も無さそうな…
とにかく、ぶん殴りたくなる顔だ。
話してる内容も頭が悪そうだな。
あと色々ツッコミ所が多いな。
「それを言うなら苦虫を噛み潰した、だろ?
それにそのデブラビティってなんなんだよ?
て言うかあんた誰?」
「よくぞ聞いてくれたわね!
あたしはサクラ!
数多の魔法を操る大魔法使いよ!
っていうか、デブラビティじゃなくてデプラビティよ!」
「へ?」
サクラ?どっかで聞いたことがあるような…
懐かしさを覚える響きだ。
だが、それはこの目の前の変な奴とは何ら関係ないはずだ。
俺の迷惑顔失せろアピールも虚しく、聞いてもないのに目の前の自称なんたらかんたらさんはペラペラ喋り続ける。
「私の魔法『聖なる堕落』はね?
かけられると何にも考えたくなくなって、
悩みも全てなくなって、思う存分人生を楽しむことができるようになる素晴らしい魔法よ!」
なんつう魔法かけようとしてくれてんだ。
まあ適当に少し話して離れてもらうか‥.
「あ、俺はシンイチ。よろしく。」
「シンイチ!?
シンイチ…
まさかね…」
目の前の自称大魔法使いさんは俺の名前を聞いて少し驚き、何やらブツブツ唱えている。
呪いの黒魔術じゃないだろうな。
っていうかこいつ魔法使いって言ったか?
それならば…
気が変わった。
「なぁ、サクラ、って言ったっけ。俺の仲間になってくれないか?」
突然すぎるということはわかっていた。でもなんとなくコイツなら多少強く押せばイケるんじゃないかと思ったのだ。バカっぽいし。コイツ。
サクラは一瞬キョトンとした顔をし、そして…
「………るの?」
「なんて?」
「私を拾ってくれるの?」
え…
「ありがとうございますシンイチ様ぁぁぁぁ!!!
どこのパーティーにも断られて行き場がなかったんですぅぅぅぅ!!!」
え…
どうやらこいつはギルド内に悪名が響き渡っているらしい。
どうしよう。
とんでもないやつを仲間にしてしまったかもしれない。
「ありがとうありがとうありがとうありがとう…」
そんな俺とサクラを見てギルドにいた奴らはみんな帰っていく…
俺もちろんは助けを求めようとするが…
「あ…
みなさん待って…
あ…行かないで…
助けて…
ちょ帰らない…
お前ら待てって!!」
逆効果だったようだ。
ついにギルドは誰もいなくなってしまった。
もうこれ以上仲間を入れるのは絶望的だろう。
「みんな最強の私に怖気付いて逃げたのよ。大丈夫。そんな腰抜けはこのパーティーに入らないわ。」
こんのやろぉぉぉぉ!!!!
「クソッ。こうなった以上しょうがねえ。2人で魔王討伐を目指すか。」
「そうよそうよ!わかればいいのよ!」
あとで覚えてろよお前。
俺たちがギルドから出ようとすると。
バフン。
野生のロリっ子が現れた!
ロリっ子はしばらくみの虫のようにモゾモゾ動くと…
「今話してたの聞いてたんですけど…
魔王討伐するんですか?
もし良ければ…私も仲間に入れてくれませんか!」
嫌な予感がする。
俺より5歳は年下だろうか。
小学生?そんな感じだ。
ピンク色のかわいらしい髪に、子供らしい無邪気な顔。
別に俺はロリコンではないが、可愛らしい子だ。
だが。
天井に吊り下げられてたってことはコイツも問題児なのだろう。
それに、まだ小さいし戦力としてもダメだろう。
「ごめんな。ロリっ子は受け付けてないんだ。」
「!?」
ロリっ子は俺の言葉に軽くショックを受けると、フラフラとした足取りでその場を後にする。
おっと、サクラが俺をゴミを見るような目で見ていますね。
違う。断じて違うんだ。
あの子も問題児で、どうせ俺が断っても食い下がって反論してくるなら、いい加減な理由つけてもいいかなって思ったんだ!
なのにあんな純粋な子だったなんて…
「シンイチって、もしかしてクズなの?」
サクラの視線が痛い。
あの後サクラからお金を借り、俺らはとある宿に泊まった。
シーツには謎の染みがついていたが、それを除いて、よく眠れた。
次の日
朝一番にギルドに向かった俺達は、またもやあの少女と出くわした。
その少女は、自分の前を通る人を見つめながら
これはない…太り過ぎ…
これでもない…痩せすぎ…
などと道行く人にぶつぶつ評価をつけていた。
嫌な感じだ。
でも昨日のこともあるし…
ちょっとかわいそうだな。
声をかけてみるか。
「ちょっといい?昨日会った俺だけど…」
「ヒィッ!オレオレ詐欺!?」
「…………」
「あ、あなたですか!思い出した!
私と釣り合う自信がある人をオーディションするから無謀にも挑戦してみてもいいのよと言った私をロープでグルグル巻きにして天井に吊り下げた冒険者の方!」
そ、そんなことがあったのか…
っていうか俺はそんなことする奴と間違えられるほど凶悪な顔してるのか?
「違う。
パーティー加入を断った俺だ。」
「あぁ、貴方ですか。」
少女の対応が一気にそっけなくなる。
「この私がパーティーに入ってやらなくもないと言ってあげたのに断った血も涙もない人ね。」
なんだろう。この子…
さっきから妄想が過ぎないか?
一発ブン殴ってやりたい。
そう思い始めていると、そこに邪魔者が入る。
「あぁ!昨日の!
このクズが酷い断り方しちゃってごめんね!
このあたしがパーティーの加入を許可します!」
おい。
「本当ですか!
嬉しいです嬉しいです!
これから頑張ります!」
おいお前も。
俺はサクラをギルドの端に連れていき小声で話す。
「おい、あの子はやめとけ。あの子さっきから妄想ばっかの夢女子で全く現実が見えてないぞ。
脳内お花畑なんじゃねーのか?」
「何言ってんの?あの子あたしの友達よ?この美しくも気高いサクラ様の友達なんて、パーティーに入れるしかないじゃない。
それに、理想が高いっていいことでしょう?。シンイチがしているような卑猥な妄想とは一緒にしないでちょうだい。」
こいつは今度分からせてやろう。
それだけ言うとこのアホは首から俺の手を振り払い、あの少女の前に行くと…
「シンイチも可愛いロリっ子が来て嬉しいって!
よかったわね!」
おい、俺がロリコン変質者みたいじゃねえか!!
あのロリがこちらをニマニマしながら見ているのが腹立つ。
完全に下僕認定されたな。
モチベさんの蘇生のためにも星欲しい!
星5つくれたら狂犬大魔法使いがあなたの元へ行きます




