7話 エマ=ランシェ=クランドール
「私には上司というか相談役というか...上役のような方が居りまして、そこで昨日正式にセシル様の元で厄介になる事が決まりました」
テヘッ♪とでも言いたげな表情でサクヤが軽いノリで答えてきた。
「これに関しては...ほぼほぼ決定事項ではあったと言いますか、それ以外に選択肢は無いと言う結論には至っていたのですが...」
まるで昼食で何を食べるか決める時のような物言いである。
「まぁ最悪の場合セシル様が担ぐに足る者でない時は、いっそコチラで教育を施そうかという所まで考えておりましたよ?勿論、私はそうならなくて良かったと思ってます♪」
最後には不穏な事まで言う始末。まぁサクヤがワザとここまで言っているのは明白なので、私はジト目で眺める程度で済ませた。
実際先程やり取りした内容を鑑みて、やりたい事は同じだと結論は出ている。だがクレアは我慢出来なかったようで
「サクヤさん?!先程からの物言いはお嬢様に対して失礼ですよ!まるで...」
食ってかかろうとしたが言い淀んでしまう。そんなクレアを見てサクヤはクレアの手を取り、顔を覗き込みながら告げる。
「はい。私もセシル様の旅団に加わりますよ♪」
クレアの懸念を払拭する為の言葉を口にする。だが
「秘密裏に育て上げた旅団を悪巧み呼ばわりしないで」
私はサクヤのおフザケに釘を刺す。すると
「承知しました」
とサクヤが控える。クレアがまだ何か言いたげだが、時間もあまり無いので私は本題に入る事にした。
「先程見せた資料に、インバス領にあるニス湖に面した町があったでしょ?次の休日、そこへ行く予定なんだけど」
そこまで言った所でサクヤは
「あの詐欺事件を追うつもりですか?」
と聞いてきた。当然だと言わんばかりに私は頷き窓の外を見る。そこにある小さな池を見ながら
「二スティーなんて...居たらとっくの昔に討伐されてるか、既に見世物になってないとオカシイでしょ?」
「まぁ...噂通りの大きさなら、そうなると思われます」
次の休日に向かう予定地に居る恐竜?について語ると、私の隣に来てサクヤが私の意見に賛同した。
そこでサクヤが私の視線の先にあるモノを見ながら言う。
「変わった箱庭ですね」「これは庭園って言うのよ」「はぁ...あの、池に浮かんでるのは?」
私がサクヤと受け答えしていると、クレアも覗いてきて
「あ〜〜〜〜!!私のスティちゃんが!!!」
慌てて出ていき怪獣の置物を回収し戻って来る。
「酷いじゃないですか!お嬢様ぁ〜」「アナタの名付けもね」「はぁ」
私にクレームを付けるクレアに、サクヤがため息と共に愚痴もこぼす。
「アナタの部屋って物置小屋よね」「せめて『みたい』くらいは付けて下さい!」
相変わらずズレた反論をするクレア。とりあえず伝達事項は無くなったので
「だから皆、準備の方進めておいてね」「はい」「はいですぅ〜」
私はサクヤに退室を促し私服に着替える。その後クレアにも退室してもらい精霊核の元に向かった。
「お引越しの方は無事に済んだの?」「はい!お姉様♪」
私はゲビックに聞いたつもりだったがランシェが答えてきた。あの日以来事あるごとにリアの元に来ているようだ。まぁ肝心のホムンクルスは休眠状態なので、もっぱらゲビックとセバスが相手をしているようだ。
『マルバスも最初は不承不承だったのが、今ではすっかり受け入れておるのぅ』
『そうね。どうする?』『...このままで良い』『そう』
この部屋に入る時点で心構えはしていたので、突然リアが念話してきても慌てることはなかった。
どうやらリアはランシェが苦手なようだ。
『苦手ではない。面倒なだけじゃ!』『はいはい』『......』
「お姉様?どうかされましたか?」
リアと念話していたのが少し長かったようだ。心配したランシェが私の顔を覗き込むようにしてきた。
「どうもしないわ。ちょっと生態保全維持筒を眺めてただけ」
そう言いながらランシェの頭を撫でると妹は嬉しそうに微笑んだ。私も笑みを返しながらゲビックに向き直る。
「どんな感じ?(魔素は)取り込めそう?」
「丁度今から起動するところじゃい!見とれ!」
私の問いに答えながらゲビックは魔素循環機構を組み込んだ装置を起動させた。
『よっわいのう...』『アナタねぇ』
不満を口にするリアを余所に(まぁ聞こえないんだけど)ゲビックは満足そうに笑みを浮かべ言う。
「計算通りじゃ!これなら過剰供給も起こらんじゃろう」
『うっ!?』『強くしましょうか?』『せんで良いわい』
普段マウントを取ってくる相手にここぞとばかりにお返ししていると
「お姉様?やはり何かあったのですか?まさか学校で...」
「ないわよ?!大丈夫だから」『くふふっ...』
またランシェに心配された。しかも見当違いでありながら強ち外れてもいないので、ここは誤魔化すしかない。私のやろうとしている事に気付いたリアが『やめてく(プツっ!)...』何か言ってきたが指輪を外した為聞き取れなかったので無視する。まぁ言いたい事は分かったが...
「これを嵌めてみて」「いつもお姉様がされている指輪ですか?」
私はランシェの手を取り、指輪を嵌めながらこう伝える。
「心の中で(リアに)呼びかけてごらん。きっと答えてくれるから。諦めちゃダメよ」
特に最後の部分を強調しながら、リアを見てランシェの耳元で囁いた。その意味を察した妹は眼を輝かせながら生態保全維持筒にくっつき、中に居るホムンクルスを覗き込む。
何を念話しているのか分からないがリアの目尻がピクリと動き
「お姉様!今私の声に反応があった気がします!」
「そう?良かったわね。続けてごらん」「はい!♪」
嬉しげなランシェを可愛いと思いながら続きを促す。ランシェの意識を読んでいるであろうリアがギョッとしてコチラを見、妹が返事し終わると共に元の位置に戻る。そんなコントを見せられ思わず吹き出しそうになった所に、セバスがお茶を運んできた。
「姉御って嫌がらせを思い付く天才なのでは?」
「...セバス?」「ハイ!」「まぁ良いわ。それより...」
(天才も天災も嬉しくないと思いつつ)セバスを睨むと彼は姿勢を正した。そんな事より気になった方を私が見ながら問いかけると
「2柱ほど連れて参りました。挨拶は後程」「そうね」
作業場に居る見慣れぬ人影が、悪魔族だと確信出来た所でランシェを見る。
彼女に全てを語る日が来ない事を祈りながら、私はセバスを伴い妹とのお茶を楽しんだ。
エマ「お姉様!?どうしてタイトルが私のフルネームなんですか?!」
セシル「ソレは三歳に聞いて!?私は書いてないもの!」
三歳「逃げんなよ!?決めたのはソッチじゃねぇか!?」
リア「醜いなすりつけ合いじゃのぅ」
エマ「大精霊様!ココならお話して頂だけるのですか!♪」
リア「!?」
セシル&三歳「チャ〜ンス♪」
セシル「ランシェ♪リアと仲良くしてあげてね♪」
三歳「良かったなぁ♪友達が増えて♪」
リア「お主ら!?謀ったな!」
クレア「楽しそうですねぇ〜♪」
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